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広報あるある?フューチャースピリッツ×イー・エージェンシー広報対談、ここだけの話【前編】

こんにちは、フューチャースピリッツの石丸です。
京都で創業したフューチャースピリッツとイー・エージェンシー。90年代のインターネット黎明期より長い付き合いを重ねてきた両社の広報チームでこのたび対談を行いました。

広報の視点から見たWeb業界の歴史は、デジタル技術の進化だけでなく、情報を伝える手段にもさまざまな変化があり、インターネットの普及と共に、多様な展開が求められるようになりました。
情報伝達手段が進化する中、広報としてどのようなことを大切にしながら活動をしているのか。対談を通じた両社の取り組みが同じような悩みや課題を抱えている広報のお仕事をされている方のご参考になりますと幸いです!

対談は前編、後編の2部構成となりまして、
前編はフューチャースピリッツ社のnoteにて、後編はイー・エージェンシーのnoteにて公開をいたします。
対談を通じて両社のことを知っていただけますと嬉しいです。


両社の歴史とコラボ企画実施の経緯

── 本対談の進行を務めさせていただくフューチャースピリッツの大前です。本日はみなさん、よろしくお願いします。まずは両社についてのご紹介と今回の対談に至った経緯をお聞かせください。

多田(フューチャースピリッツ)
株式会社フューチャースピリッツ(以下、FS)は1996年に現在の礎となっているWebソリューションの提供で創業しました。現在は、「"つながり"から未来をつむぐ」というミッションの下、基盤となるサーバーインフラから業務支援を実現するクラウドサービス、事業を支えるWebコンテンツやシステム構築まで、お客様が事業推進する上で必要とするITソリューションをワンストップ(FSだけで完結可能な事業体制)で提供しています。
それに加えて、新規事業開発支援や日系企業の中国やアジア進出へのIT環境構築支援にも注力しています。

甲斐<イー・エージェンシー>
株式会社イー・エージェンシー(以下、eA)は1995年に前身の会社であるジャパンサーチエンジンを創業し、日本初の検索エンジンをリリースしました。その後1999年にイー・エージェンシーを創業しまして、広告事業、Web制作事業を行い、現在はデータ起点によるデジタルマーケティングでお客様の支援をしている会社です。

── そんな京都創業という共通点を持つ両社の広報メンバーがこのたび対談をすることになった経緯を教えてください。

多田(FS)
元々、FSでは外部に対してサービス以外のコーポレート情報を発信するブログ的なものが無かったので、オウンドメディアのプラットフォームとしてnoteによる発信を始めたいというのがありました。

しかし、いざ準備し始めると「そもそもどうやって始めるの?」「社内調整はどうやったらいいの?」「どういう情報出したらいいの?」と運営面での不安が大きくなっていったところ、会社としても仲良くさせてもらっているeAさんがすでにnoteで情報発信されていたので、これは一回相談してみようということになって、お声がけをさせていただきました。

五十嵐 <eA>
FSさんからお声がけをいただいたときに、どれくらい参考になるのかなというところはあったんですけど、FSさんとお話しをする中であらためて自分たちのやってきたことの整理にもなりましたし、きっと同じような課題や悩みは他の広報の方も持っているんだろうな、ということで、あらためてその内容を対談を通して公開してみようじゃないか、ということで今回の対談に至った感じです。

甲斐 大樹 <eA>
自分たちの取り組みが外からどのように見えているか知る機会はあまりないので、参考にしたいと思ってくれたというのが純粋に嬉しかったしね。

── eAさんは情報発信のプロだなという印象を持っていて、どんどん周りの人がeAさんのことを好きになっていくというか。参考にさせてもらえるところは大いにあります。

多田(FS)
最初にお話しを伺ったときに、eAさんがnoteを昨年7月から始めたということに驚きまして、その充実した内容からもっと長くやっているのかと思ってました。Facebookで発信されて、それをnoteに繋げるという流れがしっかりされていて面白いことされているな、って思っていたんですけど、始めたのは割と最近からなんですね。

五十嵐 <eA>
僕らは今、広報を2人でやってるんですけど、このチームができたのが丸2年前なんです。1年間活動をしてきて、その活動をアウトプットするメディアとしてnoteでの情報発信を始めましたが、やはり当時のFSさんと同じような課題を持ちつつ、厳密にルールとか決めないまま、やりながら整備していく感じで割と勢いで始めたのがきっかけです。

広報としてまずやったこと

── お2人で広報をやられる前は、eAさんの広報はどのような感じだったのでしょうか?

甲斐 大樹 <eA>
僕らがアサインされるまでいわゆる広報チームというものは無かったんです。4、5年前まではマーケティングチームが広報的な役割を担っていたんですけど、そのマーケチームが事業部門に移管された際にコーポレート全体の広報は空白となっていました。

五十嵐 <eA>
内部的なことを言うと、eAの事業は大きく3つあり、事業毎に広報やマーケティングの手法・体制を確立しているんですけど、それを全社的に横断し、集約・発信する機能が無かった、ということになります。

僕らはそれまで、自治体さんとコラボした地域活性の取り組みとして、地域の人たちを巻き込んだイベントを全国でやっていました。だからその地方に向けていたエネルギーを一旦、社内に向けてやってみたらどうかということで、2年前に広報としてアサインされました。

そんな中で、会社としての課題をどういう風に解決していくべきなのか、なにが正解なのか、明確な筋道もない状態でしたので、どういうことを伝えれば、社員のみんなやお客様がもっとeAのことを好きになってくれるかをゼロから考えていきました。

甲斐 大樹 <eA>
広報やPRとして、何をやっていいのか最初は戸惑っていましたが、この部署は「コミュニケーションデザイン部」という名称なんですけど、その名前にはすごく共感を持っていました。コミュニケーションをデザインするということであれば、今まで地域活性でやってきたことと同じじゃないかと、そのコミュニケーションをデザインする対象が社外か社内かの違いだけで。

── eAさんの取り組みを見ていると、お2人が広報という言葉の定義に縛られない何かを体現されているというのを感じています。

五十嵐 <eA>
僕らがアサインされたとき会社から言われたのは、「このチームは広報っていう名前だけど、二人に対していわゆるプロフェッショナルな広報は求めてないよ、そういう広報だったらプロの人に頼むので」という不思議な前提でアサインされたんです。(笑)

ただ、その前提は非常にありがたくて、枠に収まったいわゆる『広報』の経験のない二人で、いわば素人として僕ららしさをどう活かしていくのかを考えることができました。

── FS側は会社から広報への期待感とかありましたか?

多田(FS)
私たちは最初にどこまでの範囲を業務としてやるのかみたいなことを定義していく中で、取り組みの優先度をつけて今必要だと思うことを会社に提案して、これをやっていきますね、という感じでコンセンサスをとってやっていっています。
コンセンサスをもとにしたアウトプットが会社としての期待につながっていると思います。

広報として会社の課題感を解決していく

── 具体的な取り組みについても聞いていきたいと思います。広報は対外的には会社を知ってもらうPRの役割と、内部的には会社の課題を解消していく役割もあるかと思います。課題感やそれに対する取り組みなどありますでしょうか?

多田(FS)
さまざまな取り組みを行っていく中で明確な課題として上がってきたのが、コロナ禍でリモートワークが始まってどうやって社内が繋がっていくかみたいなところで、社外ではなく社内に向けての発信が必要に迫られていました。

五十嵐 <eA>
僕らも本当に一緒ですね。2年前に最初に注力したのが、インナーブランディング。コロナの影響で分断されがちな組織の風通しを良くしなくてはいけないと。だからといって、急に社員にフィーチャーしても、戸惑うと思ったので、徐々に攻めていこうとなりました。

まずは社内に散らばっている情報を社内報としてまとめて発信すること。社内報の作り方もドキュメントではなくて動画をつくり、その中で我々がキャスターとして進行するというニュース番組的なカジュアルな見せ方にしました。

そしてコロナで完全リモートになったので、スタッフの顔が全然見えなくなってしまったという問題も起きてました。新しく入社した人たちもSlackでは挨拶してくれるけど、文章だけでは実際どういう人なのかは分からない。

じゃあ、社外に公開しない前提で、社内だけに知ってもらうためのインタビュー動画を作ろうというので、これもすぐ始めました。

5分くらいの動画なんですけど、過去の仕事や趣味だったり聞いて、もう50名ぐらいインタビューしています。

鳥の雛が最初に見たのを親と認識するように、入社された方が、インタビューする僕たち二人を見てeAってこんな人たちが集まった会社なんだ、と判断されるのも怖いですけど(笑)

多田(FS)
最初にそういう接点が持てるのはいいですよね。

甲斐 大樹 <eA>
入社された方の最初の一歩をどのようにエスコートしてあげるかっていうのは、僕らとしては大事な任務かもしれないですね。

阿部(FS)
FSでは、Web社内報での自己紹介ページの作成をお願いしています。
テンプレートは用意されており、それに沿って情報を入力するだけです。
入社された方の人柄や趣味、写真などを通じて、社内での紹介がよりスムーズに行えるように工夫しています。

あと、FSでは毎月全社員を集めた全社会議をオンラインで行っていまして、直近で入社された方の紹介をしてみんなの前でお話しする、という取り組みを行っています。

ここでもう1つ、eAさんがやられているように入社された方にインタビューを通して積極的に話を聞くというのは、入社オンボーディングとしてもすごい有効だなって思いました。

── パクりましょう(笑)

社員を味方につける信頼関係が大事

多田(FS)
オンラインでやっている月一回の全社会議は、140名くらいが参加して、1時間で実施しています。海外の現地法人スタッフも同時通訳で参加していますが、こちらの雰囲気やカルチャーも体感して欲しい、という要望がありますので、手探りで試行錯誤しながら行っています。

甲斐 大樹 <eA>
毎月やっているんですね。毎月となると実施するのも大変かと思いますが、参加へのネガティブな声とかは無かったですか?

多田(FS)
最初は、月一回1時間とはいえ、これだけの人数のリソースを取って、どれだけのコストをかけているんだ、と言われたりしましたね。やり始めた最初の方のアンケートの結果もちょっと酷かったです(苦笑)

それでも、アンケートのどんな意見にも回答しようと思って、意見をくれた社員に個別にヒアリングして、翌月の全社会で、前回のアンケートでこのような意見をいただきましたってQ&Aをやるんですよ。なんとか、この時間を有意義だと思ってもらえる信頼関係づくりを真摯にやってましたね。

甲斐 大樹 <eA>
社員との信頼関係は大事ですね。今は社員も応援してくれてるんですか?

多田(FS)
そうですね、応援してくれてる社員は多いと思います。もちろんオープンにしている活動については評価されますし、オープンにしていない活動には、なにしてんの?って言われることもありますが、色んな意見に対して真摯に対応してきたつもりなので、今は温かい目で見ていただけているのではないかと自負しています(笑)

── eAの他の社員さんはお二人の活動をどのように見てるんですか?

五十嵐 <eA>
今はeAの対外的なカチッ!としているイメージから、親近感を持っていただけるようにシフトチェンジしているところなので、違和感を持っている人もいるかもしれません。

ただ、見せ方や取り組みに相違がある場合でも、その活動に信念があるかどうかって他の社員も分かると思うんですよね。「ああ、この人たち本気でやってるんだな」って。だから信念を持ってやるというのを常に意識しています。

阿部(FS)
私たちも味方を作ろうというのは意識して活動をしています。「ちょっと参加してみようかな」「ちょっと手伝おうか」、とか、お互いにそういう良い関係を作っていくのが一番大事。社員に嫌われちゃったら何もできないので。

── 広報としては究極のミッションだと思いますね。味方を作るというのは。

甲斐 大樹<eA>
もし社内に「別に会社のファンにならんでいいし」みたいな人がいる場合でもその人たちも、味方にしていかないとダメなんでしょうね。それが広報として難しいところでもあるんでしょうけど。

── 会社に在籍している以上、会社のファンではあると思うんですよね。どうしてもイヤだったら辞めるじゃないですか。会社にいるということは、嫌い嫌いも好きのうち、というか(笑)

⇒eAさん担当パートの後編へ続く


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