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ブックロス?

出版界には「返本」という仕組みがあります。

売れ残ったら「返品」できるのです。その代わり、粗利(儲け)は定価の二割です。かつての薄利多売の時代はそれで何の問題もなかったのですが、昨今の出版業界は「多売」ではなくなっています。ごくたまに「鬼滅の刃」のような多売はありますが、それは本当にごくまれなことであり、このような現象を口を開けて待つばかりの状態が続いて、またまれな現象に頼るしかないのが現状です。故に街から本屋さんがなくなっていくのは当然の結果であると言っていいでしょう。

今、世界中で謳われる「SDGs」の観点で言えば、返本された本は断裁され、あるいは燃やされでいます。コンビニの雑誌などは、今や返本率が8割だということです。これでは紙の無駄遣いと言われてもしょうがない現状です。まさに食品ロスならぬ「ブックロス」状態なのです。

ですから、出版業界で何の疑いもなく今でも平然と行われている「返本」という制度を止めることでしか、出版業界が生き残る道はないと断言せざるを得ません。返本という制度をやめてしまえば、粗利も当然良くなるし、出版社でも本当にいい本を作ろうというふうにならざるを得ませんし、本屋さんも今までは本が配本され、ただ売り場に並べているというような無責任な態度では入れないはずです。飲食業では、味見もしないで料理を出すなんて店はありません。提供者が自分で食べて「これはうまい!」と思う料理しか出していなのと同じで、本屋さん自身が味見をしてから店に本を陳列する。そういう世界に出版業界は進めなければならないでしょう。

一冊の本との出会いで人生が一変する出来事は、確実にあることです。そんな責任を伴う出版界に変化することこそ、文化を担う出版業界の今後のあり方としては、当然のことでもあるし、やらねばならない使命だと思います。

どうか、これをお読みの出版に関わる方はご連絡をください。本を買ってくださったお客さんに喜ばれ、出版社の方にも喜ばれ、そして粗利のいい儲かる本屋像を一緒に目指しましょう!

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