見出し画像

未来出版研究が考える『書店連盟』(3/3)「売れている本はいらない」

(3)書店を人が集う場所に

○I(版元代表)
昔は「書店」「取次」「出版社」の三位一体と言われていました。作る人、流通する人、売る人が力を合わせてやりましょうということだった。でも、今はありませんよね。取次も物流業者みたいで売上があがらないと嘆く時代にですから。直取引の世界になりつつあることを考えれば、新しい仕組みを考える必要があるでしょう。
もう一つ強大なのは、Amazonです。リアル書店に対する強大な敵といえます。うちの本でも、広告を打つと需要があるのはAmazonです。うちは、Amazonは直接やっていないから日販経由ですけどね。

○K(編)
どれくらいの割合ですか?

○I(版元代表)
1500の注文だったら、だいたい600がAmazonです。残念ながら、リアル書店ではなかなか置いてくれない。置いてくれても、せいぜい一週間。あとはなくなっちゃいます。もう一回リアル書店の拠点が、本を売ってくれる場所になればいいと願っています。最近は業界紙でも特異な本屋さんがよく紹介されていますよね。そのような書店が各都道府県にできたら面白いと思います。

○K(編)
この前も雑誌ブルータスが書店の特集を組んでいましたが、ユニークな書店は全国各地にありました。そういう書店と、まずは連盟を組織していきたいですね。

○S(書店長)
ほかの店舗のことはわからないけど、うちは必然的に今の経営スタイルになっていったよ。その時に話題になっている本は大手の書店に回されるから、うちのような小さな書店には入ってこない。だけど、そこにいつまでも不満を言っていても何も始まらないんだよ。だからこそ、「だったら売れている本はいらないよ」という方向に舵を切った。未来出版研究会が連盟の母体になって、書店に加盟を呼び掛けたら、売れてない本屋さんなんかはうれしいと思うんだけどね。

○T(NPO法人理事長)
仲間をつくるためにも、今のこのゆがんだ現状をなんとか知ってもらわないといけないでしょうか。例えば、今書店では売れない本を当たり前のように返本していますよね。出版社もそれで困っていると。ならば、返本ばかりされてしまう出版社同士が集まって、「返本の積読」と謳って、ギネス記録を取るっていうのはどうですか。そういう企画の方がユニークで、世の中の人に「こんなにたくさんの本が人目にふれずにかえってきちゃんだ」ということを知ってもらうには面白いと思います。

○K(編)
知られずに世の中から姿を消してしまう本を救うかもしれない妙案ですね。

○T(NPO法人理事長)
そうして「見える化」することで、同じような状況で困っている出版社同士、あるいは書店同士をつなげていく方が、未来の出版業会を考える我々の取り組みには相応しいように思います。

○S(版元WEB担当) 
「見える化」するのはとてもいいと思います。今未来出版研究会は、書店の一角をお借りして開催していますが、こういう場をいろいろな場所につくるのがいいんだろうと思います。全国の書店の中にもすでにあるのだとは思いますが、知的好奇心を刺激する心地よい空間と、機会を提供するのは大切だと思いますね。自分が感動した本について人に話せるというのは、多くの人が求めることだと思うし、応えてくれる人がいることで、そこから新たな世界や価値が広がってくるところが、本の良さの一つだと思いますから。

○K(編)
どれくらいあるのかはわかりませんが、書店がスペースを提供して読書会や勉強会を開催しているというのはありそうですね。

○S(版元WEB担当)
そうした機会を増やしていくことに、未来出版研究会としても協力していけるといいですね。そのためには、この場での話し合いや勉強会の様子を、積極的に発信していくことも必要かもしれません。それが他の書店さんの助けになることもあると思います。
僕たちは、あまり大衆ウケはしないかもしれないけど、ニッチな方々や、本を通していろいろな人たちとの出会いを楽しみたいと願う人に本が届けばいいという、ある意味での割り切りも必要かもしれないです。もちろん、100万部、200万部売れれば、みんなハッピーかもしれないけど……

○I(版元代表)
それは宝くじ並み。はっきりいって、そうそうありえないことです。
すでに書店をそういう場所にしようという試みはいろいろとなされていますよね。最近だと、代官山の蔦谷がユニークなことを始めました。リッチな人を集めて、おいしいコーヒーを飲みながら本を読んでもらうという取り組みです。ゴージャスな装いの本屋で、扱っている本も高価なものが中心。集まっているのはある程度のお金と時間をもっている年配者です。これは理想であって、ちょっと例外的かもしれないけど。

○K(編)
皆さん、ありがとうございました。今回は出版業界の現状から、出版社・書店・読者という3つのポジションの可能性について議論できたと思います。次回もよろしくお願いします。

(了)

ーーーーーー

未来出版研究会は(原則)毎月第三木曜日19時より開催しています。

興味のある人は以下まで連絡くださいませ。
future.publishparty@gmail.com

場所は東京・篠崎です。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

スキありがとうございます。一緒に、本の魅力を考えていきましょう!
3
我々は出版の未来について考える会です。書店主、編集者、印刷会社の営業から、民族学者、経営者まで出版業界の垣根を越えて人が集い、毎月活動しています。一緒に語り合い、読書の魅力などを発信してきませんか? コンタクト:future.publishparty@gmail.com
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。