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未来を読み解くための「革新的変化」モデル

産業革命など、ヒトの生活を根底から変える事象には共通のパターンがある。「革新的な変化の前兆」をモデル化して、ざっくりと捉えて未来を読み解く参考にしようというお話し。

●「革新的変化」モデル

〇「革新的変化」モデルの視点

1.環境に適応すべくさまざまなネットワークを広げるうちに超えることのできない【巨大な壁】につきあたる
2.【巨大な壁】の内側で多数のネットワークが集散、拡大、刈り込みを繰り返し、環境変化に適応しながら【ネットワーク・プラットフォーム】を形成する
.あるとき発生した【急激な変化・大災害】をきっかけとして、ネットワーク・プラットフォームをベースにネットワークの形を変え【突破口】をうがち、
4.【突破口】をとらえていっきに【巨大な壁】をつきやぶり、爆発的な速度で新たなネットワークを形成し始め、【革新的変化】が爆発する


 ex. 生命誕生、産業革命

「革新的な変化」モデル

〇「革新的な変化」モデルの問い

「大きな壁」: 
 何が時代に停滞させているのか?
「ネットワーク・プラットフォーム」:
 
次の時代のベースとなるネットワークは何か?
「大災害」:
 転換のきっかけとなる大災害は発生しているか?
「革新的な変化」:
 ・壁を突破した後に広がるネットワークとは?
 ・新しい「文化」は?
 ・ヒトがアウトソースしたものは?

●サンプル:「産業革命」を読み解く

「革新的変化」モデルを使って、「産業革命」の過去、現在、未来を読み解いてみる。

詳細はこちら


○何が【巨大な壁】となっているのか

17世紀のヨーロッパでは国家を形成して、より肥沃な土地を手に入れるための陣取り合戦を繰り返していた。土地の分配を基盤とする封建社会にとっての【巨大な壁】は、居住し、繁殖するために有利な土地に限りがあることだ

そして、【革新的な変化】「土地の限界」の壁を打ち壊す方向へと向かう。

○【ネットワーク•プラットフォーム】となったものは

【巨大な壁】の手前で、封建制度と重商主義を基盤とする多数のネットワークが網の目をなし、次の世代に繋がる多数の【ネットワーク・プラットフォーム】を形成する。

交通ネットワーク: シルクロード、海の道、大航海ネットワーク
商業ネットワーク: 行商人・市場経済・資本主義ネットワーク
情報ネットワーク: 情報貨幣・科学革命と書籍・コーヒーハウスネットワーク

○【急激な変化・大災害】は何か

【急激な変化・大災害】が発生しているのならば、今が【巨大な壁】に穴を開ける転換点なのかもしれない。

黒死病によりヨーロッパの人口の1/3を死に至らしめる。ヨーロッパの多くの地域では、15世紀までに人口は回復し始めていたが、イギリスでは16世紀半ばまで人口は極めて低い状態を維持したままだった

やがて【急激な変化・大災害】をきっかけとして始まる変化が、次の時代をつくる【突破口】を開けていく。

〇何が【突破口】となるのか

イギリスで起きた黒死病は、空き地の開拓者に高賃金化をもたらす。高賃金化は、エネルギーと機械自動化の需要をうむこととなる。
(低賃金の国々では機械自動化の需要がない)

農民の高賃金化⇒中産階級の増加⇒都市への人口集中⇒森林伐採・エネルギー需要の増加⇒石炭需要の急増

〇【革新的な変化】はどのようなものなのか

高賃金化が自動機械の発明と導入のメリットを高め、自動機械による大量生産が資本家たちの新たな投資先となりそれまでに構築したネットワーク・プラットフォームを統合して「産業革命」を世界に広げていく。

「産業革命」後の主な変化:
・機械化による工業自動化 ⇒大量生産と資本主義経済 ⇒資本の集中
・情報金融商品の活性化 ⇒物理的なマネーの仮想化 ⇒繰り返す金融恐慌
・蒸気船、蒸気機関車による陸海・運河交通網 ⇒飛行機による航空交通網
・グローバル資本主義
・中央集権トップダウン型の会社組織
・論理偏重思考


●サンプル:2050年の【革新的な変化】

産業革命後におきたコンピュータ革命やインターネット革命はでは、『「産業革命」後の主な変化』を変えるような大きな変化はおきていない。従って、

コンピュータ革命やインターネット革命は、次の【革新的な変化】の前兆であり、【ネットワーク・プラットフォーム】を構築している準備段階にすぎない。

グローバル資本主義による産業のフラット化を【巨大な壁】と見立て読み解いた【革新的な変化】のサンプルを次に示す。

【巨大な壁】となる、グローバル経済の行きづまりについて。


18世紀、
物理的な土地という【巨大な壁】
を突破した「産業革命」をきっかけとして、資本主義=「マネーの奪い合い」という新たな競争空間へ移行した。

2050年、
リアル空間における資本主義という【巨大な壁】を突破する「マルチバース革命」をきっかけとして、「マルチバース」における「ヒトの有限時間=欲求充足トークンの奪い合い」という新たな競争空間へと移行してゆく。



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