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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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#宇宙

書籍『フューチャーリテラシー 』関連情報リスト

Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために 本マガジンは、2022年12月12日に出版を契機にリスタートいたしました。 書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』に関連する情報を掲載していきます。 【記事】1)『フューチャーリテラシー』出版記念トークイベント開催(12/20) 【読書のポイント】1月)宇宙・生命・脳の進化に見る、ネットワーク連鎖の入れ子構造

相互作用の連鎖の重なりが宇宙をつくる

1.ビッグバンとともに誕生した4つの相互作用 138億年前,宇宙は超高温高密度のエネルギーの塊から一瞬にして膨張して火の玉宇宙の膨張=「ビックバン」が始まる。 膨張とともに冷えていくなかで,集合-分散を繰り返しながら少しずつ宇宙の物理法則とそのかたちをつくっていく。宇宙の膨張・冷却という環境変化とともに質量をもつ素粒子(陽子,中性子,電子)や重力・電磁気力などの相互作用がつくられる。 過去から未来に向けて連鎖するネットワークのもとは4つの相互作用であり,138億年のとき

【閑話】「脈動する宇宙」を「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の視点で読み解く

 無限の多元宇宙(マルチバース)の中で138億年間続いたこの宇宙は、4つの相互作用の絶妙なバランスにより、停滞・霧散することなく複雑化しながら新たな構造をつくり続ける。 ●ミクロ・マクロな宇宙のネットワーク 陽子(+)と電子(-)が出合ってゼロにならず、水素をつくるだけでは終わらず、中性子を介して反発する複数の陽子をつなぎとめ、弾け散り、集まり、燃え、新たな元素を生成し、爆発し、さらに多くの元素をまき散らし、恒星を、惑星をつくり、ブラックホールとなり、銀河を銀河団の誕生と死

元素に富んだ岩石惑星「地球」誕生(45億6000万年前)

 豊富な元素を含む「地球」が誕生したのは、宇宙誕生から130億年の銀河の辺境で銀河の衝突が発生したという絶妙なタイミングだったからだ。 ●ナイスタイミングで誕生した太陽系 宇宙は、膨張が進みすぎれば銀河を形成する間もなく膨張し続け、逆に収縮に転じる速度が早ければつぶれてしまう。ビッグバン直後からやや減速しつつ膨張し続け、ファーストスター爆発の後、大量の銀河が誕生・衝突・統合を繰り返し、太陽系が存在する「おとめ座超銀河団」の「天の川銀河」を形成した。そして、銀河の統合により宇

恒星の生と死の繰り返しのなかでつくられた豊富な元素

 元素表の元素を生成するためには、巨大な恒星内の核融合よりも莫大なエネルギーが必要だ、離散融合を繰り返す宇宙は、さらなる元素生成の実験場を誕生させた。 ●鉄より重い元素をつくろう! 恒星の中での核融合反応が止まると、核融合による「膨張する力」と重力による「落下する力」の均衡がくずれ、鉄の層は中心部に向かって光速の2割ものスピードで落下しはじめる(重力崩壊)。中心部は超高圧のため鉄原子に電子が押し込められ、陽子が中性子に変わり(弱い相互作用)中性子のコアができる。中性子のコア

ファーストスターが銀河の種をつくった --- 鉄までの元素の作り方

 今私たちがあるのは、初期の宇宙のわずかなゆらぎが水素とヘリウムのネットワーク=ファーストスターを編み出し、集散離合のリズムの中から今ある元素を生み出したからだ。 ●ファーストスターが宇宙空間に光りをもたらした 水素とヘリウムで満たされた宇宙では銀河を作る材料もなく、薄いガスが静かにただ広がるだけのはずだった。しかし、実際には水素を超える大量のダークマターが宇宙に広がり、重力により影響を与え合っていた。  「宇宙の晴れ上がり」から1億年の時をかけて、太陽質量の100万倍の

ビックバンの冷却とともに徐々に形づくられる宇宙(2) -- 初めての元素の作り方

 最初の元素が誕生するまでの宇宙はあまりに熱く、水素とヘリウムの原子核、光子と電子が激しく暴れる荒ぶる宇宙が広がっていた。 ●水素とヘリウムの原子核が広がる暗黒の宇宙[1] ビックバンからおよそ3分後、宇宙の温度が10億度に近づくにつれて陽子や中性子に作用する「強い相互作用」「弱い相互作用」の影響が強まり、ビックバン原子核合成がはじまり、水素とヘリウムの原子核が合成されはじめる。  宇宙が急速に広がり冷えていき、それ以上の核合成が進む前に、水素の原子核(75%)とヘリウム

ビッグバンの冷却とともに徐々に形づくられる宇宙-- 4つの相互作用の均衡が宇宙を作る

●ビッグバンとともに誕生した4つの相互作用[1][2] 138億年前、宇宙は超高温高密度のエネルギーの塊から一瞬にして体積が指数関数的に膨張し熱エネルギーが解放され、1000キロメートルほどの火の玉宇宙の膨張=「ビックバン」が始まる。  膨張とともに冷えていくなかで、集合-分散を繰り返しながら少しずつ宇宙の物理法則とそのかたちを創っていく。ビッグバンの直後は1000兆度を超え超高温高圧であったため原子すら存在できなかったが、宇宙の膨張・冷却という環境変化とともに質量をもつ素