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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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書籍『フューチャーリテラシー 』関連情報リスト

Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために 本マガジンは、2022年12月12日に出版を契機にリスタートいたしました。 書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』に関連する情報を掲載していきます。 【記事】1)『フューチャーリテラシー』出版記念トークイベント開催(12/20) 【読書のポイント】1月)宇宙・生命・脳の進化に見る、ネットワーク連鎖の入れ子構造

ロールプレイングゲームという仮想世界

 ゲームは、人と人の知的コミュニケーションとイマジネーションのツールとして紀元前より深くかかわりを持ってきた。現代の花形、ロールプレイングゲームは、なぜヒトを魅了し続けるのだろうか。 ロールプレイングゲームという仮想世界 最も古い時代の遊戯盤は紀元前3000年頃のものが残されている。例えば、古代エジプトで遊ばれたツタンカーメンのゲーム盤として有名な「セネト」は、1対1で対戦する双六、バックギャモンのルーツであり、相手の移動を阻むことができることから、偶然だけではない戦略性が

【閑話】:ヒトと道具の共生って?メディア論おさらい

 「ヒトと道具の共進化」がヒトを進化の枝から分岐させ、「脳と道具(メディア)の共進化」「言葉と脳の共進化」がヒトの「思考」を変化させる。「ヒトと道具(言葉)の共進化」は「文化」をつくる。世代を超えて「文化」を伝える遺伝子として「ミーム」を提唱したドーキンスの着眼点に今更ながらに唸る。[3] 整理してみよう 【ヒトと道具の共進化】 ・ヒトは環境変化に「道具」を発明・改良して適応する。  ・「道具」は「文化」を形成し、世代を越えて伝えられる。  ・「道具」は、利用の学習に

知的生産のための道具:MacとHyperCardの描いた小世界

 それは、未来につながる「新しい言葉」の始まり、言語を描くためのキャンパスだった。 ●MachintoshとHyperCardの描いた小世界 2人のアーティスト、スティーブン・ジョブズとビル・アトキンソンらの手によりAltoを道標としたMachintoshが(1865年)、ハードディスクを搭載したパーソナル・コンピュータMachintosh Plusが発売され(1986年)、さらにマルチメディア・オーサリング環境HyperCardが搭載される(1987年)。 【Machi

知的生産のための道具:ヒトとコンピュータの共生

 ディスプレイとキーボードをつないで「コンピュータと対話する」ことが笑われる時代に「ヒトとコンピュータの共生」の実現に向けたチャレンジはじまる。 ヒトとコンピュータの共生[1] ソ連のスプートニック号打ち上げ成功(1957年)を契機に、1958年NASA(アメリカ航空宇宙局)とARPA(アメリカ国防高等研究計画局)が設立され、アメリカの科学技術を大きく加速する。ARPAには、リックライダー(1962年)、エンゲルバート(1962年)、アランケイ(1966年)らが集結し、タイ

知的生産のための道具への道:記憶の拡張装置Memex(メメックス)

 1945年終戦の年、ENIAC完成の前年、計算に電子コンピュータを使うことすら確信のないとき、コンピュータを「思考のための道具」に導く衝撃的な論文が発表される。 ●われわれが思考するごとく(As We May Think)[1] 研究開発局の局長として、6千人以上のアメリカ人科学者の管理にあたっていたヴァネヴァー・ブッシュ(Vannevar Bush)は、大戦という局面において重点化すべき課題を的確に見極め、それを革新する技術・技術者を見いだす。一方で、重要な成果が大量の

エジソンの光がコンピュータとヒトの未来を灯す

 計算機の演算速度と精度の加速に連動して社会構造や道具の複雑度が加速し、相互作用の螺旋にのって近代社会が急激に変化する。 ●真空管が電子機械の扉をあける エジソンの電球実験(1883年)から生まれたフレミングの二極真空管(1904年)、次いで電子スイッチや増幅器(アンプ)のもととなるフォレストの三極真空管(1906年)が電子機械の扉をあけた。  ・ホレリスのパンチカード式集計装置(1890年)をIBMが受け継ぎ(1911年創業)データ処理入力の標準方式として広め、  ・ベ

正確な計算を行う機械:苦悩の歯車コンピュータ

 ヒトの営みが複雑化するに伴い、高速に、正しく演算することの需要 -- 数学・物理学・天文学などの科学演算、収穫を予測し、正しい航路を導き、商業を営む必要 --が、計算装置を生み出した。 歯車で稼働する苦難のオートマタ  農業によって巨大化した王国を統治する必要が、初期の計算装置を創らせる。納税を計算し、それを予測するための河川の測量、天体観測、また巨大建造物を建築するために小石や算木を並べ、計算結果を数表として使い、さらに算盤「アバカス(ソロバン)」が使われる。以降、長き