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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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#ミクロ・マクロ・ネットワーク

書籍『フューチャーリテラシー 』関連情報リスト

Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために 本マガジンは、2022年12月12日に出版を契機にリスタートいたしました。 書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』に関連する情報を掲載していきます。 【記事】1)『フューチャーリテラシー』出版記念トークイベント開催(12/20) 【読書のポイント】1月)宇宙・生命・脳の進化に見る、ネットワーク連鎖の入れ子構造

「未来を読み解く」ためのお勧め本/『人工知能のための哲学塾 :未来社会編 〜響きあう社会、他者、自己〜』

今回は、「「未来を読み解く」ためのお勧めの11冊」追補本を紹介します。 はじめに2020年に出版された本なのですが、ChatGPT、Midjourneyが注目され、「個」としてのAIが急加速する今日、2023年だからこそ、立ち止まり、「AIを他者」としてとらえ、新たなインフラとして、AIとヒト、AIどうしのコミュニケーション・社会について考察することが必用となる。 本書は、AIのコミュニケーション・社会を考えるためのヒントがちりばめられており、他に類を見ないガイドラインと

あとがき_『フューチャーリテラシー』

書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』からの抜粋です あとがき●本書がお伝えしたいこと 1)歴史を相互作用の流れとしてとらえる 私たちがふだん目にする書籍や記事では,インパクトのある表面的な部分だけが強調されていて,歴史のつながりや環境,他の因子と絡み合う相互作用としてとらえることが困難です。例えば,つぎのような。 前編では,9章に示すモデルを逆方向にはたらかせることにより,相互作用とネットワ

まえがき_『フューチャーリテラシー』

書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』からの抜粋です まえがき 本書は、「未来を読み解く」ことを、誰でも学ぶことができる学問と位置づけています。そして、読者が「最低限の論理」を用いて 「未来を読み解く」能力を身につけられるよう導くガイドとして生まれました。 本書の構成と読み方について解説します。 前編は「未来を読み解く」ための導入編として基礎知識を,後編は「未来を読み解く」ための手順とサンプル

Futures Thinkins(未来思考)関連記事:未来へのロードマップを描く『金融』

Futuristコミュニティに参加して、Futures Thinking(未来思考)についてSho Tさん(Sho T|note)と検討を進めています。 そして、「起こりうる可能性を洞察する」ための羅針盤として、中長期まで(例えば10~100年後程度)の「未来へのロードマップ」をいくつか例示しています。 「お金」は空気のように「存在を感じないモノ」になってきています クレジットカード、スマホ、PayPayなどのキャッシュレス決済があたりまえになり、顔認証などを利用して商

Futures Thinkins(未来思考)関連記事:未来へのロードマップを描く【農業】

昨年末からFuturistコミュニティに参加して、Futures Thinking(未来思考)についてSho Tさん(Sho T|note)と検討を進めています。 前回の記事では、中長期まで(例えば10~100年後程度)の「未来へのロードマップ」を作成することにより、「起こりうる可能性を洞察する」ための羅針盤として活用することについてお話しました。 今回は、その具体的な仮説思考として、「農業」の中長期的な「未来へのロードマップ」を作成してみました。 詳細は以下を参照して

【閑話】Futures Thinkins(未来思考)関連記事:『未来へのロードマップ』を描く方法について、他

昨年末からFuturistコミュニティに参加して、Futures Thinking(未来思考)について検討を進めています。現在は、『未来へのロードマップ』を作成中です。 関連記事を2つご紹介。 Futures Thinking(未来思考):『未来へのロードマップ』を描く方法について中長期的(例えば10~100年後程度)な『未来へのロードマップ』を作成することにより、「起こりうる可能性を洞察する」ための羅針盤として活用することを目的とします。 本記事では、『未来へのロード

7.コンピュータ小史

1.歯車で稼働する苦難のオートマタヒトの営みが複雑化するにともない,高速に正しく演算することへの需要 (数学・物理学・天文学などの科学演算,収穫を予測し,正しい航路を導き,商業を営む必要 )が計算装置へのチャレンジをうみだす。 ●時代の必要が歯車計算機をつくらせる 農業によって巨大化した王国を統治する必要が,初期の計算装置をつくらせる。納税を計算し,それを予測するための河川の測量,天体観測,そして巨大建造物を建築するために小石や算木を並べ,計算結果を数表に記録し,算盤「ア

6.言葉と思考の共進化

1.言葉によって考えるということヒトは外界や体内からの入力,「言葉」と「イメージ」の「記憶」をもとに「感情」で即応し,「言葉=論理」で判断して行動する。 ●考えるってどういうこと? 「五感(外界)」「内臓」「骨・筋肉」で受けた刺激を情報として「脳」に運び「全体イメージ」として大脳皮質で統合・編集し,「言葉」に翻訳して「意識」する。同時に発生する「イメージ」には「感情」「意識」や「記憶」している「経験」から再編集されるもの,「イメージ」の相互作用により新たに構成される「イメ

資本主義社会の誕生と行きづまり

1.産業革命はなぜ18世紀にイギリスではじまったのか上下水道や舗装道路など高度な技術を利用していた古代ローマが産業革命をおこさず,18世紀のイギリスでなぜ産業革命という急激な変化がおこったのか。 奴隷などの安価な労働力を有する国々(古代ローマや18世紀のヨーロッパ諸国)は機械による自動化という発想がなかった。一方,18世紀に世界の中心となったイギリスは「高賃金の労働者」と「低コストのエネルギー(石炭)」を保有していたため,蒸気機関などを使った機械による自動化のメリットがあり

集団の巨大化とネットワークの共進化

1.1万年前になぜ農耕民が誕生したのか小規模な狩猟採集民が農耕生活に移行し人口を巨大化していったのは,気候変動などにより定住生活に誘われそこからぬけだせなくなった「定住化の罠」にはまったためだった。 ●気候変動と農耕コミュニティの形成【豊かな狩猟採集民】 1万5000年前までのヒトは,10~20人程度の小集団で獲物を追って移動する狩猟採集により生活していた。 最終氷期の1万4000年前頃,気候が湿潤になるにつれて,森や海・河川・湖が近く天然の動植物が豊富な地域に定住し,

ヒトと文化・メディアの共進化

1.「集団とコミュニケーション能力」の共進化へ●人類進化の源泉,オルドヴァイ渓谷 今も続く進化のホットスポットのひとつ「アフリカ/グレート・リフト・バレー」。多くの哺乳類の進化をうながし,類人猿からヒトへの分岐は西リフト・バレーと東リフト・バレーに囲まれたオルドヴァイ渓谷にはじまる。 1000~500万年前,地下マントルの上昇によってアフリカ大陸を引き裂くように巨大なグレート・リフト・バレーの谷とそれを囲む高い火山がうまれ,そのいくつかから放射性元素を含むマグマが噴出する

生命のネットワークと「脳」の共進化

1.微生物のコミュニティ38億年前,核のない単細胞の細菌(古細菌,真正細菌)が誕生した。最も単純な生命である細菌はコロニーをつくり,細菌間のコミュニケーションにより協調して環境に適応しながら生存競争を生きのびたのだった。 ●細胞間での最初の情報交換=遺伝子交換 生命初のコミュニケーションは,細菌間での遺伝子の交換だ。細菌は,細胞分裂により増え続ける。細胞核が存在しないため,細菌間での遺伝子の交換が発生しやすく短期間に遺伝子が伝搬する。遺伝子の交換は細菌の接触による交換だけ

相互作用の連鎖の重なりが宇宙をつくる

1.ビッグバンとともに誕生した4つの相互作用 138億年前,宇宙は超高温高密度のエネルギーの塊から一瞬にして膨張して火の玉宇宙の膨張=「ビックバン」が始まる。 膨張とともに冷えていくなかで,集合-分散を繰り返しながら少しずつ宇宙の物理法則とそのかたちをつくっていく。宇宙の膨張・冷却という環境変化とともに質量をもつ素粒子(陽子,中性子,電子)や重力・電磁気力などの相互作用がつくられる。 過去から未来に向けて連鎖するネットワークのもとは4つの相互作用であり,138億年のとき