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ドル円為替相場の変動幅について   反転のポイントは?

ドル円の変動幅について、ボリンジャーバンドを使って分析してみました。過去の相場では、200日の3σの範囲内でおおむね推移していました。2020年3月の急激な円高が進んだ日でも終値ベースでみれば、3月9日で、終値102.52、3σの下104.45、4σの下103.16、3月10日では、終値103.71、3σの下104.33、4σの下103.00ということで、しっかり止まっていました。
最近はドル円相場が膠着状態で非常に変動率が小さくなっています。

過去のデータで、ボリンジャーバンドを計算してみました。1983年からのグラフを見てみましょう。

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チャートからはおおむね3σ内で変動が収まっているようです。
では、この期間で3σの下を割り込んだ日をまとめてみました。(下の表参照)元データは、1983年3月25日から2020年7月6日までの日次データです。

3σの下

3σの下値を割り込んだ日数は88日でした(表になかのピンク枠)。4σの下値を割り込んだのは、7日でした。データを取り始めたのが、1983年3月25日ですから9364日が実データ数です。3σの下を割り込んだ確率は、0.9398%、4σ割れは0.0748%でした。通常正規分布では、3σの確率は、99.730%(0.270%)、4σの確率は、99.94%(0.0060%)ですから、ドル円の相場は、正規分布よりもテールは広いことになります。

同様に、3σの上値、4σの上値を超えた日をまとめてみました。(下の表参照)

3σの上

3σの上値を超えた日数は、128日ありました(表の中の緑枠)。4σを超えた日は、5日でした。1983年3月25日ですから9364日が実データ数です。3σの上を超えた日の確率は、1.36694%、4σ越えは0.0534%でした。通常正規分布では、3σの確率は、99.730%(0.270%)、4σの確率は、99.94%(0.0060%)ですから、ドル円の相場は、正規分布よりもテールは広いことになります。4σ越えはほぼ同じです。

こうしてみると、ドル円については、200日の3σを超えたところは、反転するポイントと判断していいでしょう。最悪3σ越えが起こったとしても、4σを超えていくことは無さそうです。トレンドフォロー戦略でスキャルピングをやっているトレーダーの方は、3σに近づいたら、慎重にトレードを進めた方がいいでしょう。一方、逆張りを好まれる方は、3σ近辺はトレードに入る絶好に機会です。4σまで耐えられるようであれば、反転を狙ってみるのも面白いと思います。
過去の反転ポイントを中央銀行の介入実績(財務省の発表参照)と比べてみましたが、ボリンジャーバンド上値での反転に関しては、あまり関係無いようでした。
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/feio/data.htm
ただし、円高が進んで下値を試す展開の時は為替介入が大きく入っていました。
1995年3月は、1兆6771億円ドル買いを行っていました。95年4月は、4986億円ドル買いを行っていました。95年9月は、1兆6831億円ドル買いを行っていました。2003年9月は、5兆1116億円ドル買いを行っていました。2003年10月は、1兆6687億円ドル買いを行っていました。2011年7月は、介入していませんが翌月8月4日には、4兆5129億円ドル買いを行っています。その後2011年11月を最後にドル買い介入は行われていません。(下のグラフ参照)
日本の為替介入に関しては、変動率を考慮したものというよりかは、横軸で見た為替レートの絶対水準で、介入が行われている傾向が見て取れます。具体的には110を割れて100を割りそうになったらドル買い介入が入り、140を超えたところではドル売り介入が入るというふうに見えます。これは過去の話です。

為替と介入

2020年の夏は、これまでに無いほど、変動率(ボラティリティー)が下がっています。3σ、4σの下限上限とも狭い範囲で推移しています。近い将来、変動率も上がってくると予想されます。大きく為替相場が動いた時には、200日のボリンジャーバンドを確認してみることをお勧めします。
 2020年7月6日時点の、3σ、4σの値は以下の通りです。

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参考までに、いろんな期間のチャートも添付しておきます。参考になればうれしいです。

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データは全て、NYクローズから拾ってきています。FRED(FRED Economic Data: St. LOUIS FED)のデータをもとに計算しました。

※当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的としてFuture Researchが作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当方の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資に関する決定は、お客様ご自身で判断なさるようお願いいたします。

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