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ホーム最終戦で敗れたボアルース長野 試合後の監督、選手コメント

2シーズン連続で入れ替え戦へ向かう長野

 対戦相手のペスカドーラ町田のチームスタッフは、「今シーズンのアウェーゲームでは、間違いなく最高の雰囲気でした」と話した。2月5日、ことぶきアリーナ千曲で行われたボアルース長野戦の試合後のことだ。

 1,000人を越えることが珍しくなったFリーグの試合に、この日は今シーズン最多の1,223人の観衆が集まった。会場の入り口には、GMを先頭に選手たちののぼりも立ち、売店は地元のお店の出店で賑わっていた。試合前にいただいたカレーは、これまで全国各地、どこのスタジアムやアリーナで食べたものよりも美味しかった。

 町田の元日本代表FP金山友紀のFリーグラストマッチということで、初めて訪れた長野のホームゲームでの取材では、スタジアムの演出などのピッチ周りに極めてポジティブな印象を持たせてもらった。だが、肝心のピッチ内の長野のプレーには、拍子抜けした。

 この日の試合は、町田にとっては金山のFリーグラストゲームであり、勝てば4位、負ければ6位に順位を落とす一戦だった。一方の長野にとっては、引き分け以上で最下位を脱出して、入れ替え戦を回避できるという超重要な試合だった。

 試合前は、このホームアリーナがF1残留を決めて盛り上がる姿が見たいと思っていたが、開始10分が過ぎる頃には、決して試合数が多くないF1に、来季もこのチームが在籍していることで強化の面で大きなマイナスになるのではないかと感じてしまった。全員がハードワークして守ってはいるものの、試合を接戦にできたのは、今季限りでの現役引退を表明しているGK山口友輔の好セーブに救われた側面が大きい。

 よりガッカリしたのは、攻撃面だ。ほとんどの場面でパスが3本とつながらない。ほとんどのチャンスは、GK山口のロングスローからだったが、良いところにボールが出ても、前線でボールが収まらない。GKのロングスローにダイレクトで合わせたボールが、ゴールマウスに飛ぶのを期待する、あるいはGKを押し上げて5人で数的優位を作った場合しか、長野に点が入りそうな予感はしなかった。

 入れ替え戦の第1戦の朝というタイミングだからあえて書くが、おそらくこの試合を最後に、長野はしばらくFリーグ・ディビジョン1の舞台から離れることになるだろう。昨年、入れ替え戦であれだけ劇的な試合を見せた長野だったが、今のチームにはミラクルを起こせる気配がない。

 試合後の会見で、柄沢健監督は「私自身は入れ替え戦を覚悟していた」と口にした。入れ替え戦を意識して、出し切れなかったものがあったのかと思わず期待して監督に質問したが、「次への意識は全くない。町田さん、目の前の相手に120%を出しました」という答えだった。

 長野の奮起を強く期待して、意識して厳しく書いているが、残留には奇跡以上のものが必要だ。試合後、FP田村佳翔はしながわと自分たちの実力差について、「持てる力を出し切っても、五分五分以下」と言い、早くも「地獄」と表現する入れ替え戦を戦う恐怖に苛まれていた。獅子奮迅の活躍を見せたエンガワことGK山口は、自身にとってFリーグラストの2試合に向けて、個人のリベンジを誓った。

 以下は、入れ替え戦へ出場することが決まった直後の長野の柄沢監督、FP米村尚也キャプテンの記者会見でのコメント、田村、山口のコメントだ。

柄沢健監督「必ずF1の舞台に残したい」

――今日の試合を振り返ってください。
柄沢 今日もありがとうございました。大分さんの結果次第で私たちは残留ができる。同点か、勝つか、っていうなかで、やはり同点にできなかったことが、今の我々の力だと思っています。ただ、そのなかで私自身入れ替え戦は覚悟していたので、どう戦って、どう敗れていくか。立川さんとの試合での残り5秒、間違いなくすごくインパクトがあって、町田さんもしながわさんも、間違いなく研究してくるなと思っていましたし、間違いなくしながわさんも研究していると思っています。

 そのなかで我々は選手を2セットに分けて、役割分担を決めました。シュートも何本かチャンスがあり、ひるむことなく、前を向いて戦ってくれたので、良いところだけこの短い時間ですけども、しっかりと選手に自信を持たせて、しながわ戦に臨みたいと思います。

 またホーム最終節、今シーズン最終節のFリーグを関係者の皆さん、そして多くのサポーターの皆さんが足を運んでくれて、非常に感謝しています。その感謝を、もう一歩、そしてもう二歩、戦いきって、トレーニングの中で駒沢に向かいたいと思ってます。選手たちは、これだけプレッシャーがあるなかで、誰一人文句言わず、下を向かず、戦ってくれました。そんな選手を私はすごく誇りに思っています。誰かのせいにしたり、何か環境のせいにしたり、そういうことが一切ない。彼らを必ずF1の舞台に残したいと思っています。

 いつもいつも『弱いチーム、弱いチーム』って言われていますけれど、そうではないことを入れ替え戦のところで、クラブとして証明したいと思っています。今日はありがとうございました。

FP米村尚也キャプテン「」

――今日の試合を振り返って?
米村 柄沢監督同様、先に大分さんが試合を終えた状況で、かなり自分たちにアドバンテージがあるなかで試合を進めるなかで、今回も勝ちきれずに試合を終えてしまったことがすごく悔しいです。そしてファン・サポーターの皆さんは、ホーム最終戦、リーグ最終戦というなかで、今シーズン、トップに入るくらいの観客数が会場に足を運んでくださいました。ウォーミングアップ中でも、試合をしていても、今日はたくさんの人に足を運んでくださっているなということが分かっていたので、なおさらその人たちの前で、自分たちが残留する姿をお見せできなかったことは、非常に悔しく思います。

 試合内容に関して言えば、本当に前半に関しては自分たちのプラン通りというか、チャンスを作り出していましたし、失点をしないというところが自分たちのベースとしてあったので、その良い状態で前半を終えることができたと思います。後半の途中でも、目立ったピンチもなかったと自分は感じています。そのなかで、本当に一つの相手のチャンスのところで失点が生まれてしまって、本当に前節の立川戦での戦い方をおそらく町田さんも研究して、スカウティングしているなかで、パワープレーを始めるところで非常にプレスが強く、ボールを持たせてもらう時間は少なかったですが、チャンスを作り出したシーンがいくつかありました。やはり、少ないチャンスを決めきれるかどうかっていうところが、他のFリーグのチームと僕たちの差かなっていうふうに思います。今回も全くチャンスがなくて、太刀打ちできなかった試合というよりも、決めるところを決められずに向こうが決めきるところをしっかり決め切ったっていう本当に細かいところの差が出た試合だったかなと思います。とはいえ、もう時間はないので、今週1週間、また自分たちのプレーを見つめ直して必ず勝って残留して、長野に帰ってきたいと思います。

 以下、質疑応答

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