フットサル/ポルトガル代表について

フットサルW杯の出場を掛けたアジア選手権大会を迎えるにあたり、最後の親善試合がPORTUGAL遠征でのポルトガル代表との2試合になります。

W杯出場を決めたポルトガルとの対戦は非常に興味深いです。今回はこのポルトガル代表について少し書いてみることにします。


【ポルトガル代表選手について】

まずはポルトガル代表もメンバー召集された選手を確認します。

https://www.fpf.pt/pt/News/Todas-as-not%C3%ADcias/Not%C3%ADcia/news/43330/contextid/602

Guarda-redes:
Edu / El Pozo Múrcia (27)
André Correia / CR Leões Porto Salvo (25)
Fixos:
João Matos / Sporting CP (36)
André Coelho / FC Barcelona (26)
Tomás Paçó / Sporting CP (23)
Fixo/Ala:
Afonso / SL Benfica (26)
Universal:
Erick / FC Barcelona (28)
Alas:
Pany / Sporting CP (34)
Pauleta / Sporting CP (29)
Diogo Santos / Sporting CP (21)
Bruno Coelho / SL Benfica (36)
Kutchy / SL Benfica (21)
Lúcio Rocha / SL Benfica (19)
Carlos Monteiro / SL Benfica (21)
Tiago Brito / SC Braga (32)
Pivô:
Zicky / Sporting CP (22)

このメンバーをみると4点、注目したいことがあります。
1.まずは、①30歳台のベテラン選手、②二十歳台後半の中堅選手、③10歳台~20歳台前半の若手選手、と非常にバランスが良く、Ricardinhoが代表を引退した時に感じた、世代交代の危うさはもはや見当たらない。
2.次に、やはり若手の台頭が非常に気になりました。Lúcio Rocha(19)、Kutchy(21)、Carlos Monteiro(21)、Diogo Santos(21)、Zicky(22)、Tomás Paçó (23)辺りの若手が召集されたが、W杯欧州予選の最終節でゴールを挙げたHugo Neves(23)の召集は見送られたし、GKも2名ということでBernardo Paço(23)が外れた。Benficaで活躍しているSilvestre Ferreira(24)も直近では召集が掛かっていないようです。これだけ若手が台頭してきているというのが今のポルトガルなのかと思います。
3.もう1つは、FPに関しては、国内のビッグクラブであるSporting CPとSL Benficaの選手(あるいは以前在籍した選手)で構成されているというのもポイントだと思います。代表チームであっても、すぐに連携が取れるという利点があると思います。
4.選手選考の特徴として、最後に、アフリカオリジンと思われる選手がチームに勢いをもたらしているという部分があると思います。Zickyをはじめ、強さ、速さ、靭やかさを兼ね備えた印象がある。誰がマッチアップするのか、非常に気になるところ。このようなアフリカオリジンの選手が活躍するという意味では、他にはフランスも同様かと思います。

【ポルトガル代表のフットサルの特徴について】

では、ポルトガル代表のフットサルはどんな感じのフットサルなのでしょうか?「守備では近年、かなりの割合でマンツーマンです。攻撃では、(中略)近年は1対1とピヴォ、あとはクラブレベルでもGKを活用する戦いを多く見せている国です。特に1対1、アイソレーションや個人のアタックに対する質の高さが顕著です。」と日本代表監督の木暮氏は述べています。

こういう見方もありますが、自分は鵜吞みにはしていません。「1対1、アイソレーションや個人のアタックに対する質の高さ」って、世界のトップオブトップでは標準装備しているもので、別にチームの特徴ではないと思うからです。なぜかというと、クラブチームでそれを武器としている選手がポルトガルにはいないからです。Sporting CPではMerlim(イタリア代表)、SL BenficaではArthur(ブラジル代表)、BragaではRobinho(ロシア代表)でアイソレーションを仕掛けることが多く、ポルトガルの選手はどちらかというと相手ゴールから15mくらいのライン、得点圏内に入ったところから、ゴールへ向けたアプローチとしての「個」の強さを感じます。そういう意味で標準装備と書きました。

また、「1対1とピヴォ」というと、ボールをキープするイメージを持ってしまいますが、自分はそういうイメージを持っていません。直近ではW杯予選など、ポルトガル代表からすると格下との対戦が多く、そのため相手が引くことで結果的にポルトガルがボールをキープする時間帯が多かったということなのかと思います。Sporting CPやSL Benficaの試合を観ていて感じるのは「縦の速さ」です。

後日、もう少し詳しく書きますが、一般的なフットサルの捉え方と自分のそれは異なります。前者は【攻撃、ネガティブトランジション(ネガトラ)、守備、ポジティブトランジション(ポジトラ)】というように局面を分けています。一方で自分は、ボールの保持/非保持とゾーン1~3を軸に6つの局面に分けています。①ゾーン1でのボール保持(前プレ回避局面)、②ゾーン2でのボール保持(定位置攻撃・ビルドアップ局面)、③ゾーン3でのボール保持(フィニッシュ局面)、④ゾーン3でのボール非保持(前プレ局面)、⑤ゾーン2でのボール非保持(定位置守備局面)、⑥ゾーン1でのボール非保持(ゴールディフェンス局面)です。ボールの切り替わりやゾーンの移行は「局面の変化」と捉えています。このボールの切り替わりではなく、「ゾーンの移行をどのように行っていくか」という部分に注目すると、例えばスペインはバランスを取りながら押し上げていく印象があります。一方でポルトガルはこの押し上げていくスピードが非常に速い。すぐにピヴォあてたり、オープンな展開でボールを前に運んだり。格下との対戦ではこの辺りの印象は薄れますが、ポルトガルの特徴の一つだと思っています。

いじょう、おしまい。
(続編は以下よりご覧ください)


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