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書写で文字を綴る

思いつかないけど書きたいだけ


あいも変わらず、いや、前より少し文字を書けるようになってきた。
とは言っても、以前に比べて一度に書ける文量はずいぶんと減ってしまった。
こうして日々を綴る文字さえもままならない中、それでも文字を書きたい欲求を解消するため『書写』を始めることにした。

書写をするための文は、せいぜい百文字程度。
Xで探して出てきたお題を書き写すだけ。
ただ、書き写すときに使うものには少しこだわった。
気に入りの万年筆に、インク。そしてノート。
手書きした文字のうまさについては控えておく。

手で物書きをすることはだいぶ少なくなってきた。
このように電子で文字を入力することが増えた。本を読めど、手書きをしないせいでとくに漢字が書けなくなってきた実感がある。ひらがな、カタカナさえ危うくなりそうだ。
仕事をしているときの手書きのメモは、走り書きのせいにしても正直読めたものではない。
今後、意識的に手書きをしようとしなければもっと少なくなってくるだろう。
もはや、手書きするときは名前だけになってしまいそうだ。

書きたいものを書けないのは変わりないが、書きたい欲求は確かにある。そしてさすがに漢字が書けなくなってくるのは避けたい。ついでに文字が多少見られるようになったら好都合だ。加えて、気に入りの万年筆とインクを眠らせたままなのはもったいない。

何かと好都合だった。だから、書写を始めた。

まだいくらかもやってはいないが、ずいぶんと頭の中がすっきりしてくる。
耳はやはりいつものように音楽を聞いているが、手を動かして次の文字を良く見て書いているからか、いつの間にか無心になってくる。
ごちゃごちゃと考えていたものが、一時的に静まり返る。

頭を働かせる必要がない。
静かに文字を書き綴るだけ。
書いている時、読めるのにやはり書けない漢字に出会い、見たままに書こうとするがなかなかバランスがうまくいかない。おそらく書き順通りに書かなかったから、だと思う。
いくつかの万年筆を用いて書き写す。入っているインクも違う。
本日のお題に沿って、太さと色を変えてみる。
朝に、夜に。
頭をからっぽにして一日を初めて、頭をからっぽにして眠る。
いつまで続けられるかは分からないが、三日坊主はすでに通り越した。だからこれは思ったよりも続けられるだろう。

四月に入った。桜が満開になっている。
薄桃のインクはないが、春の空のように綺麗な青のインクがあるから、それで書こうと思う。

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