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「現実逃避」vs「気にしろ頭皮」feat. 天ポー先輩とメンズソフティモ(炭)

これは少し前に起こった出来事である。

同じ会社で働いている、とある先輩からもらった誕生日プレゼントの話をしたいと思う。

✩✩✩

衝撃の誕生日プレゼント

2020年4月某日。

「軽介さん、ちょっといいですか?」

誕生日明けのある日、会社に出勤すると、とある先輩(男性)がいきなり声をかけてきた。

どうやらオレに誕生日プレゼントを渡すために声をかけてくれたらしい。

「お疲れっす〜。どうしました?」

とオレが聞くと、彼はおもむろにビニール袋に入った黒い何かを取り出した。

「誕生日おめでとうございます。これどうぞ。」

と言って、彼はスタスタと仕事場に戻っていった。

余談になるのだが、この先輩はあまり感情を表に出さないことで社内では一目置かれている存在だ。

イメージしやすいように彼の「喜怒哀楽」をオレなりにまとめてみたので参考にしてもらえるとありがたい。

「喜」

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「怒」

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「哀」

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「楽」

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それぞれの表情から見てとれる微妙な違いをおわかりいただけただろうか。

ちなみにオレは1年半ほどこの先輩を観察しているのだが、彼の表情の変化をつかめたことは片手で数えられるくらいしかない。

彼にポーカーをプレイさせたら、おそらくカジノは一瞬で破産へと追い込まれてしまうだろう。それくらい彼が何を考えているかは周りの人間にはわからないのである。

しかも、どうやら意図的にポーカーフェイスを演じているわけではなく、デフォルトでそうなっているらしい。

つまるところ彼は「天然ポーカーフェイス」、略して「天ポー」なのだ。

尊敬の念を込めて、ここでは彼のことを「天ポー先輩」と呼ぶことにしよう。

✩✩✩

さて、話を元に戻そう。

そんな天ポー先輩からもらった衝撃の誕生日プレゼント…。

それが、コレだ…。

『コーセー・メンズソフティモ・リンスインスカルプシャンプー(炭)』

そう、オレは天ポー先輩から「メンズソフティモ(炭)」を誕生日プレゼントとしてもらってしまったのだ。

✩✩✩

彼はなぜメンズソフティモをくれたのか

誕生日プレゼントを受け取り、自宅に帰ったオレはどうしても気になってしまった。

なぜ天ポー先輩が「メンズソフティモ(炭)」を選んだのかという理由を…。

そもそもの話ではあるのだが、誕生日プレゼントに「メンズソフティモ(炭)」をもらったことがある人は、一体世の中にどれくらいいるのだろうか。

百歩譲って、シャンプーをもらったことがあるという人はいるだろう。最近はオシャレでユニークなシャンプーが売られているため、シャンプーを贈り物としてプレゼントすることも考えられる。

しかし、「メンズソフティモ(炭)」となればどうだろう。

少なくとも、受け取る側が「男」であることは明白だ。

✩✩✩

余談にはなるのだが、オレが暮らしてるのはタイの首都バンコク。

日本から遠く離れた異国の地。数少ない同郷の後輩を気遣って「メンズソフティモ(炭)」をくれたのだろうか…。

いや、よく考えろオレ。天ポー先輩はそんな単純な理由で動く人間ではないはずだ。ポーカーフェイスの向こう側にはきっと隠れた意図がある。

そう、オレには思い当たる説がいくつかあるのだ…。

✩✩✩

①短髪を薄毛と勘違いした説

素人考えで真っ先に思いついたのは、オレの短髪を薄毛と勘違いしたのではないかという説である。

どうでもいい個人情報になるのだが、オレは短髪である。髪の毛の長さは、1番長いところでも3、4センチ程度だ。

イメージ図を見てもらった方がわかりやすいだろう。

散髪直後のオレの髪型(イメージ図)

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髪を切ったばかりの時は、ヘアジェルをつけるため、確かに髪の毛の密度がスッカスカになったように見える。

そんなオレのヘアスタイルを見て、「髪が短いから(=薄毛だから)メンズソフティモ(炭)を渡そう」と天ポー先輩は考えたのではないかという仮説を立ててみた。

確かに、オレの髪型がジョニー・デップとブルース・ウィリスのどちらに近いかと聞かれたら、ブルース・ウィリスよりである点は否めない。

もしかして…天ポー先輩は「ダイ・ハード」なオレの毛根を気づかってくれたのだろうか…。

いやいや、待て。よく考えろオレ。

ポーカーフェイスの向こう側で考えていることはこんな浅いものではないはずだ。

✩✩✩

②Netflixギフト券のお返し説

「メンズソフティモ(炭)」を渡される約1ヶ月前の出来事だ。

少し前に誕生日を迎えた天ポー先輩に、オレはちょっとしたプレゼントとして「Netflixのギフト券」を渡していた。

外出自粛期間の間に何をしているか、天ポー先輩に聞いたとき「Netflixを見てますが、どうしました?(真顔)」という返答をもらったからだ。

どうやらポーカーフェイスの向こう側では、意外にも映画や海外ドラマを楽しんでいるらしい。

もちろん、オレが天ポー先輩にプレゼントを渡したのには他にも大きな理由がある。

彼は、事あるごとにプレゼントを配っている。オレの知人は天ポー先輩からカップ麺をもらっていたり、オレ自身も以前にマスクやドリップコーヒーをもらったことがある。

特にこちらが何かしたわけではないのだが、とにかく真顔でいろんなものをくれるのだ。

天ポー先輩という男は、ギブ&ギブの精神を行動で示す人間なのだ。

そんな彼への恩返しも兼ねてNetflixのギフト券を贈ってみた。

その矢先の出来事である。天ポー先輩はすかさず「メンズソフティモ(炭)」を贈り返してきた。

まさに電光石火。これにはピカチュウも驚きを隠せないだろう。

あ! やせいの
天ポー先輩が とびだしてきた!🔻
天ポー先輩の
メンズソフティモ(炭) こうげき🔻
こうかは ばつぐんだ!🔻
軽介は めのまえが
まっくらに なった!

もう、こうなる未来しか見えてこない。

電光石火で「メンズソフティモ(炭)」をくりだすポケモンがいたら、いろんな意味で伝説的な存在となるだろう…。

ただ、やはりこの説も天ポー先輩にとっては浅すぎるような気がする。

よく考えろ、オレ。天ポー先輩の心を読め!

普通の人間では到底理解できない隠された理由があるはずだ。

となると考えられるのはこれしかない…。

✩✩✩

③異次元の誰かからメッセージを受け取った説

最後の最後で現実離れした仮説が出てきたが、これにはちゃんとした訳がある。

1年半という時間を費やして、天ポー先輩の生態系を観察してきた結果、オレは1つ事実を突き止めた。

天ポー先輩は仕事に集中しているとき、よく謎の言葉を発する。もちろん無表情で、だ。

😶「あー、そーゆーことか。」
😶「えー、そうなんだ。」
😶「んー、こっちのほうがいいな。」

とまあ、こんな感じでパソコンをカタカタ操作しながら、半径1メートルくらいに聞こえるくらいの声で言葉を発する時がある。

オレが考えるに、このときに天ポー先輩は異次元の誰かと重要なメッセージのやり取りをしているのだ。

世間は「ただの独り言でしょ…」という言葉で片づけるのかもしれないが、オレはそうは思わない。

先ほどの話に戻るが、どうやら天ポー先輩はNetflix上にある映画や海外ドラマの見過ぎで、感情表現を捨てることと引き換えに超人的な能力を手に入れたのではないかとオレは結論づけた。

天ポー先輩がオレに「メンズソフティモ(炭)」を誕生日プレゼントとして渡したのも、異次元の誰かからのメッセージを参考にしたに違いない。

😈「メンズを探せ…」
😈「誕生日が近い奴を探せ…」
😈「将来薄毛に悩みそうな奴を探せ…」
😈「そして、そいつにメンズソフティモ(炭)を渡せ…」

きっと天ポー先輩は、一般ピーポーには到底理解できないような存在と、このようなやり取りをしていたのだろう。

こうして見事ターゲットとしてロックオンされたのが、オレというわけだ。

どうやらオレは、「メンズソフティモ(炭)」と運命を共にしなければならないようだ。

まさに…

NO メンズソフティモ(炭) NO LIFE.

これには、タワレコもビックリだろう…。

✩✩✩

天ポー先輩からのメッセージ

とにもかくにも今年の誕生日でオレは26歳になった。

確かによくよく考えてみれば、頭皮のケアを気にするべき絶好のタイミングなのかもしれない。

思い返してみると、父親譲りの乾燥肌の影響で、最近、頭皮のかゆみを感じることが多くなった。

しかし、そのことを天ポー先輩に伝えたことは1度たりともない。

なのになぜオレに「メンズソフティモ(炭)」を…?

気づかぬうちにオレの本心は読まれていたというのだろうか。

・検索履歴に表示される薄毛関連の記事
・スマホで「は」と打つだけで「ハゲ」と表示してくる予測変換
・ドラッグストアでヘアケア用品を物色していること

天ポー先輩には全てお見通しだったのかもしれない。

時代の数歩先を生き、他人を思いやる男、それが天ポー先輩だ。

もしかしたら、外出自粛のせいで元気がなくなっていたオレの毛根を純粋に励ましたかっただけなのかもしれない…。

現実「逃避」せずに、「頭皮」と真剣に向き合えという天ポー先輩なりのメッセージだったのだろうか…。

事実かどうかもわからないことについて、オレは御託を並べてごまかしていた。

真実から目をそむけることで精一杯だった。

オレが見るべきはスマホの画面ではなく、頭皮や毛根だったのかもしれない…。

もしそうだとしたら、髪の毛を洗い流す前に自分の心をキレイさっぱり洗い流したい気分だ。

天ポー先輩が、オレに伝えたかった本当のメッセージは一体何だったのだろうか…。

彼はポーカーフェイスの向こう側で何を感じていたのだろうか…。

考えれば考えるほど謎は深まるばかりである。

あぁ、考えすぎて禿げそうだ…。

#キナリ杯

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