不登校の状態を図にしてみた

 「不登校ってどういうこと!?」「どうしたらいいの?」
子どもが不登校になると、まわりの大人は戸惑い、考えます。
10年以上前に長男が小学校2年生で不登校になって以来、3人の子どもが不登校を経験し、現在もその渦中にいる私も、不登校について否応なしに色々考えてきたものの一人です。
一緒に悩み、考える仲間が欲しくて2年前に「親の会」をはじめました。

 そんな中で感じてきた、不登校の位置づけや解釈、大切だと思うことを、私なりに書いてみたのが下の図です。

「共通の軸(縦軸)」で語りませんか?

 横軸は学校に行くかどうか、縦軸は子どもの状態が良いかどうか(well-beingの大小)を表し、子どもの状態をA~Dの4つの場所に分けています。

「A」は学校に登校していて子どもが良い状態。
カリキュラムが合っている、友達と楽しくすごせている等、学校に居場所があって安心して学ぶことができている状態です。
ただし、現在の学校環境や文化の中では、どんなに現場の先生方の力量や工夫があっても、みんながこの状態でいられるのは難しいのではないでしょうか。

「B」は不登校で子どもが良い状態。
心身共に元気で、その子に合った育ちや学びの環境があれば、不登校であっても安心して主体的に学ぶことができます。
学校に行くことが当たり前で不登校自体が問題視されてしまう日本では、このイメージは持ちにくいかもしれません。

「C」は学校に登校していて子どもがつらい状態。
カリキュラムや学校文化が合っていない子や、合わせることに非常に負荷がかかる子は、学校で安心して学ぶことができません。この限度を超えるとDに移行し不登校となりますが、不登校できない(過剰適応)でいると自害(自死・自傷・依存・精神疾患等)や他害(いじめ・暴力等)のリスクが上がります。我慢を強いられている子は配慮されている子や不登校の子に対し「ずるい」という感情が起こりやすくなります。
また、この時の体験(大人からの扱われ方)を大人になった時に次の世代に強いてしまいがちなのです(連鎖)。

「D」は不登校で子どもがつらい状態。
一般的な不登校の状態です。教育を受ける権利が守られていないだけでなく、自己評価の低下、将来への不安、孤立感など様々な困難を抱えます。周囲から学校復帰を望まれがちですが、すでに限界を超えたからこそ不登校となっているのですから、基本的には学校側の環境が変わらないままで再登校できることはありません。

この図から改めて大切だと思うことは、以下のことです。
★Dの不登校はC→D→B(→A)という回復への必要なステップのひとつ。   
★まず目指すのはBであり、C(学校)に直接戻そうとすることは子どもへの支援とはならない。 
★学校に行くかどうか(横軸)よりも、子どもの状態が良いかどうか(縦軸)がだいじ。
★子どもに関わる大人が目指す方向は、立場が違っても同じ(上方向)でありたい。


 子どものしあわせ(Well-being)に向けて、何より大切だと思うことは「安心の保障」です。子どもは安心できる居場所(存在に条件をつけない場)があれば、自ら育つ力を備えているのだと思います。
それは不登校の子に限らず、学校に行っている多くの子も同じことです。
そのためには、不登校の問題を「学校に行く/行かない」で考えるのではなくて、子どもが安心して育つにはどんな環境が必要なのか、私たち大人が立場を超えて、一緒に共通の軸(縦軸)で語っていけたらと思うのです。

 

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