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短期大学部70年の軌跡②

短期大学部の主要進路「編入学」について

 近畿大学短期大学部生の主要進路は、4年生大学への編入学となっています。年度によって就職希望者が増えて変わることがありますが、平均すると、編入学と就職の割合は7対3程度になります。短期大学部にとって、三年次編入学の合格率を高めることは「生命線」ともいえるほど重要な目標となっています。この20年間の推移を見ると下の表のようになっております。
 編入学先については、近畿大学が最も多くなっております。その他、(編入学者の多い順に)京都産業大学、桃山学院大学、大阪経済大学に編入学する学生が、ほぼ毎年います。毎年ではありませんが、神戸大学、和歌山大学など国立大学を目指す学生もいます。私立大学では、関西大学、同志社大学などへの編入学試験に合格する学生もいます。
 近畿大学を含む多くの大学で実施されている編入学試験では、英語、専門科目の試験が行われます。学部、大学によっては、面接が行われることもあります。短期大学部の学生は2年間、編入学試験を意識して学習に励んでおります。一部の大学では、TOEICのスコアの提出を求められることがあります。そうした大学を受験する学生は、その対策を練り、複数回受験できるよう計画的に学習を進めています。加えて専門科目を学習するという厳しい条件で試験を受けなければならないわけですが、優先順位をつけて、集中して取り組んでいます。

「低迷期」と回復に向けての取り組み

 過去20年間の編入学実績を5年刻みで見ますと、第2期の終わりから第3期の初めにかけて、近畿大学への編入学生が大きく減る「低迷期」が到来します。外部の短期大学や専門学校からの編入学者が増えた、この時期は短期大学部にとって苦難の時期であったといえます。
 短期大学部ではこうした事態を非常に重要な問題として認識し、本学の学生の弱点を分析しました。その結果、英語力の低さが敗因となっていることを突きとめました。短期大学部内では、学生指導の方向性・方法などを徹底的に議論しました。それらを通じて改善策を練り、実行に移しました。
 実際の改革は、①開講科目の配当年次の改定、②卒業要件の見直し、③1年次の基礎演習での英単語テストの導入、④1年次春期休暇中の英文読解の課題設定、➄2年次の演習での英文読解の課題設定、⑥編入学対策講座の細分化、⑦1年次春期の外国文献講読の開講などを行いました。
 学生も自身の置かれている状況をよく理解し、しっかりと付いてきてくれました。その成果が現れ、編入学合格率は復調しました。改善活動に終わりはなく、今後も編入学指導に力を入れていきたいと思います。
 短期大学部では、女子学生の増加に伴い、就職を選ぶ学生も増えてきました。次回以降でその様子を見ていきたいと思います。

短期大学部の編入学実績(平成15~令和4年度)

文:広報室建学史料室研究員・近畿大学短期大学部教授  井田 泰人
写真:近畿大学東大阪キャンパス 入学試験場の看板が立てられた西門(2022年2月撮影)

短期期大学部70年の軌跡①を読む

                          (2024年3月29日公開)

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