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【漢詩】李白その一「早発白帝城」

東間ねいと申します。

中華街に行ったり漢詩を読んだり(詠めません)するのが好きな、ちょっと中国文化に興味があるだけの一般人です。

巷で流行っていた中華BLというものを履修し始めて以降、和製中華ファンタジーを読むことも増えたり、水都百景録という素晴らしく面白いゲームに出会ったりして、よりその傾向は強まってきました。

その中で、漢詩や古事が元ネタにされていることも多々あるのですが……いかんせんど素人なもので、好きとは言いつつあまりにも中国古典に関して無知。

もっと網羅的な知識を身に付けたいと思い、noteに書きながら勉強していくことにしました。

有識者の方々においてはあまりにも当然至極、と思われる内容かもしれませんが、生暖かく見守ってください。

もしおかしいことを書いていたら、教えていただけると有り難いです。


ということで本題に入ります。
とりあえず有名どころからいこうと思ったので、最初に選んだのは盛唐の詩人・李白の詩です。高校の教科書にも載っているほんとに有名なやつです。

朝辞白帝彩雲間 千里江陵一日還
両岸猿声啼不住 軽舟已過万重山

朝に辞す白帝彩雲の間 千里の江陵一日にして還る
両岸の猿声啼きて住まざるに 軽舟已に過ぐ万重の山

李白「早発白帝城」

李白:字は太白、号は青蓮居士。壮大な詩風から「詩仙」と称され、杜甫と並び唐代を代表する詩人です。

安禄山の乱の時、反逆罪に問われ夜郎(今の貴州)に流刑となりましたが、のち恩赦によって許されました。この詩はその時のものとされています。

白帝城は今の重慶市奉節県の東にある古城で、長江に臨む白帝山上にあります。

江陵は今の湖北省荊州市にある長江沿いの町です。
白帝城からは千里、当時の一里は560mほどだったそうなので、その距離を一日で帰る……というのは、本当かどうかはさておきなかなかすごい話ですね。

江陵までの道中には「三峡」と呼ばれる大峡谷があり、急流の難所として知られています。

以前見たこの動画が印象的です。絶壁ですね……

ここは三つの中で一番白帝城側にある瞿塘(くとう)峡のようです。

詠まれた風景を実際に目にすると、より詩の世界を鮮やかに感じられる気がします。


ところで。漢詩はもともと中国語の詩ですから、当然ながら原語では返らずに上から下へ読むことができます。(この詩はほぼ返り点ないですが……)中国語はほぼ喋れませんが、ピンインを調べて音読してみるのは結構好きなのです。

朝辞白帝彩雲間 zhāo cí bái dì cǎi yún jiān
千里江陵一日還 qiān lǐ jiāng líng yī rì huán
両岸猿声啼不住 liǎng'àn yuán shēng tí bù zhù
軽舟已過万重山 qīng zhōu yǐ guò wàn chóng shān

口ずさむだけでより浸った気分になれます。楽しい。

ということで、短いですが今回はこのあたりで終わりにしようと思います。今後もちまちまと漢詩文に関する学びを綴っていくつもりなので、見かけたら何卒よろしくお願いします。


参考文献
探求 言語文化(桐原書店)
新訂国語図説(京都書房)

国語図説、弊一貫校で唯一中1から使い続けている教材なのですが、読み物として面白くてずっと好きです。

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