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「人生の終わりだと思った」進学校から通信制高校へ転校した元優等生の葛藤

 「人生の終わりだと思った」。高校3年生の秋、全日制高校から通信制高校へ転校した古川寛太さん。最後の最後まで握りしめていた「よい高校に在籍している自分」というプライドを失ったとき、大きな絶望に直面したと語ります。高校を転校した不登校経験者の本音を語っていただきました。(連載「前略、トンネルの底から」第9回・写真は古川寛太さん)

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 高校3年生の秋、それまで在籍していた全日制高校を辞め、通信制高校に通うことが決まった。人生の終わりだと思った。

 1年、2年次とかろうじて進級するたび「来年こそは」と担任から言われていた。続く言葉は「今年は大目に見てやるが」だった。学年末のテストでろくな点が取れない俺には、11教科すべてに課題と補講と追試が用意された。救済措置をありがたく思う余裕はない。擦り減った心にムチを打ってひたすら手を動かす。結局、内容をまったく理解できないままこなすなか、恩情で進級させてもらったようなものだ。

高校3年生までは進級できたが


 ところが、進級はだましだましでもなんとかなるが、卒業となるとそうもいかないらしい。高校3年生になった俺があいかわらずひとりうつむいていると、梅雨前線よりも先に転学の話が来た。

 地方とはいえ、進学校だ。同級生たちはすでに、よい進学先を勝ち取るための臨戦態勢に入っていた。

 「ここにあなたの居場所はないですよ」

 授業に遅刻し、後方から入った教室にいるクラスメイトの背中を見ていると、そんな声が聞こえてくる気がする。そんなことは知っているに決まっているだろ。けれど、勉強しか脳のない俺が地元で名の通った進学校にまだ在籍できているという事実すらなくなったとき、俺に何が残る? その場に立っていられる自信はなかった。

前向きな転学ではなかった

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