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物議を醸した東近江市長の発言 不登校の歴史から考える差別や偏見に立ち向かうために必要なこと

 小椋正清・東近江市長の「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」、「不登校の大半は親の責任」という発言が、大きな物議をかもしています。しかし、これは今回にかぎった特別な事例なのでしょうか。じつはそうではありません。不登校の歴史をたどると、不登校をめぐり、国会議員や都道府県知事の発言がクローズアップされたことがあります。今回の件のみならず、そうした過去の事例を取り上げつつ、今、不登校をめぐって何が必要か、本紙記者が考えます。

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 「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」、「不登校の大半は親の責任」。10月17日、滋賀県東近江市の小椋正清市長の発言が物議をかもす事態となった。まずは、経緯をかんたんにまとめたい。

 18日、小椋正清市長は自身の発言を撤回しないとしたうえで、「議論が不十分なまま、フリースクールを支援することに警鐘を鳴らしたかった」と発言した。これに対し、市民側の動きは速かった。NPO法人Since(滋賀県近江八幡市)が「東近江市長へ不登校に関する発言の撤回及び不登校関係者との協議についての署名」を開始し、10月末現在、約3万6000人の署名が集まった。19日には「滋賀県フリースクール等連絡協議会」が発言の撤回と対話を求め、小椋正清市長あてに抗議文を提出。  

 一方、行政としても、看過できない事態となり、東近江市教育委員会が20日、「配慮に欠いた」とする内容の文書を、市内の全小中学校の保護者や教職員が登録する連絡網アプリに配信している。

 小椋正清市長は25日、自身の発言が配慮を欠いたとして謝罪の意思を示し、27日には県内のフリースクール関係者らに直接謝罪を行なった。しかし、発言の撤回はあらためて否定した。

不適切発言 過去にも

 今回のことで、私は3つの出来事を思い出した。

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