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「不登校の原因を説明できないのはなぜか」不登校経験者が語る「説明できる言葉」が存在しない理由

 不登校は「行かない行為」ではなく「『行く行為』の欠損」だ――。詩人・ライターの喜久井伸哉さんはそう言います。喜久井さんが不登校していたころ、大人から不登校の原因・理由を聞かれても、答えられなかったそうです。なぜ、当事者は理由を言えないのか。そもそも不登校とはなんなのか。喜久井さんに書いていただきました(※写真は喜久井伸哉さん)。

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 私は、「学校へ行きたいのに、行けない」経験をしてきた。頭では「行きたい」と思っていても、身体が動かないせいで、「行けない」状態になっていた。

 そのため、親や教師から、「原因」を聞かれても、答えようがなかった。「行けない」のは、「私の頭(意思)」で考えた結果ではなく、「私の身体」のせいだったからだ。

 私が「行けない」ときに起きていたのは、「行かない行為」ではなく、「『行く行為』の欠損」だった。みずから、意思のある「行為」をしていたならば、「なぜ行かないのか」という「原因」を、説明することができただろう。しかし、「行為の欠損」では、説明できない。

吃音の事例から

 「行為の欠損」とは、どのようなことか。一例を挙げると、吃音がある。

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