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ほんとの締切日(終末)を教えないでくれ[終末WC原案]

結局我々は永遠に現代を生きる人類なのであって、締め切りを守れないくそ現代っ子ごみかす地球人なのだ。絶対地球の終末の日が発表されても当日の朝まで何もせんやろ人類。

大変典型的なゆとり教育を受けた私は例に漏れずくそ現代っ子ごみかす20代であり、レポートの締め切りや仕事の納品当日に、ヤバTを聴きながら「\ほんとの締切日を教えないで/」などと小声でボソボソと呟いている。ゆとり教育を受けたのにも関わらず、ゆとりのない大人になっている圧倒的ねじれ。ゆとり教育を高等遊民育成教育と勘違いしていた。ねじれ教育。

夏休みの宿題である一行日記の2/3を「おばあちゃんちでジュースを飲んだ」という言葉で慌てて埋める幼少期を過ごし、晴れて私は締切日を敵に回す勝手な高等遊民と化した。遊民として毎日近所のジャスコ跡地を徘徊するなどして過ごしている。締め切りがどうとか言っているけれど、結局特に何も予定などないのだ。

先日、「結局特に予定などないのだ!」などと元気モリモリで家を出て、ジャスコの跡地にできたささやかショッピングセンターを巡回していたら、「おジャ魔女どれみ」のマスキングテープのガチャガチャがあった。なぜか財布も持たずに徘徊していたので、閑散としたガチャガチャコーナーの向かいにあるベンチに腰掛け、数分おジャ魔女どれみのガチャガチャを眺めるなどして過ごす。ショッピングセンターの軽やかなBGMを聴きながら、「いやまじで魔女になりてえな、、、」などと考える。

私は小さい頃、大変おジャ魔女どれみに惹き込まれていたキッズであった。可愛い女の子たちが、喧嘩しながらもMAHO堂というキラッキラしたところに集まって変身して…夢が詰まったアニメで、変身セットみたいなのも買ってもらった。
おジャ魔女の放送が終了して「明日のナージャ」が突然始まった時に自宅の階段に座り込んで声も無く涙を流すくらいには好きだった。テレビ局が締切日を教えてくれなかったせいで恨まれるナージャ。「明日のナージャ」とか、期日を示すのも怖い。絶対に期日としての「明日の」ではない。あんなに拒否感を示していたのに、ナージャのスクーターみたいなのをもらって、近所で乗り回していたのも怖い。

ベンチに座りながらそんな過去に思いを馳せて遠い目をしようと思ったが、私はまだ結構真剣に魔女になろうと思っているので、近い目しかできなかった。寄り目などを試みる。自分の鼻が見えて満足する。
幸い、普段から支離滅裂なことを言っていて、「魔女になりたい…」などと宣っていても、特に誰も咎めない環境にいるため、二十数年間、魔女への夢は着々と育まれ続けている。全然幸いではない。誰も止めない。夢想の締め切りを誰も教えてくれない。

といいつつ、将来的には魔女になるつもりでひとしきり魔術の本などを読んでみたりはしているが、錬金術は会得していないので、お金が必要だという現実ともそれなりにお付き合いはしている。大学時代「働いている姿が微塵も想像つかない」などと親しい友人どもの圧倒的誹謗中傷を受けながらも就職活動をしたが、最終面接でむつかしいことを言い渡されて萎えたので会社には勤めていない。自分勝手すぎるし、別にむつかしいことなんてなかったのかもしれない。けれど、面接を受けたこと自体が社会に対する頑張りである。えらい。

結局今は、自分なりに頑張れる分野だと思っている研究と書く仕事をしている。それもまたヨシ。しかし、得意を仕事にしようとするのはいいものの、圧倒的に締め切りの数が多い。他の業界は知らんけど、当人生比では圧倒的に多い。

発表、論文、記事の納品日と次々に締め切りが訪れる。早いものは数ヶ月前から締切日を提示してくる(くれる)ものもある。締切日を提示する締切日が世の中にはあるのかもしれない。締切日の鎖を辿ったら何の締切日にたどり着くのだろう、と締め切りを前に思いを馳せる。

現代日本には「締め切りに追われる」という言葉があるが、私はこのフレーズを使わない。なぜなら追われていないからだ。
そもそも「追われる」という状況は、己も走って初めて発生するのであって、特に何もせず締切日までのベルトコンベアに神妙な面持ちで胡座をかいている私にとって「締め切りに追われる」などという状況は発生しないのだ。むしろ私が締め切りに迫っているのである。

しかし、「よお締め切り!??!?アタイが迫っちゃうヨ!???!?」などと威勢のいいことを言っていたら、急に締切日の前日の夜になっていたりする。転送されている。そしてアワアワと資料や論文を作り上げ「夜分遅くに失礼いたします」、「当日のご連絡となってしまい申し訳ございません」、「発表直前のご共有となってしまいましたが」などという言葉とともに提出する。今、自分でも恐ろしいくらいスラスラと謝罪の枕詞が出てきて震え上がってしまった。

ここで一つだけ気づいて欲しいことがある。上の枕詞を見ていただくとわかるように、提出は「間に合って」はいるのだ。詭弁。
私という人間は結局少し、いやそれなりに頑張ってはいるのだ。実はちょっと資料を集めたり、書くことを決めたりしてみているのである。ベルトコンベアに泰然と座りすぎて、直前の焦っている姿しか印象に残らないけれど、胡座の横にはPCを置いている日もあったりする。
いい年こいているのかもしれないけれど、私はまだ現代っ子20代なので自己肯定感を高めたいし、褒められたいので、ソワソワ胡座していたことを伝えちゃう。

確かに締切日前にアワアワしていると周りの人間も「!?」となるので、それは己が悪い。でも、私は頑張っているし、頑張ったらできるから、みんな私を騙してくれ、と常に思っている。
大変申し訳ないけれども、本当の締切日を知ってしまうと私はあぐらをかいちゃう。お願いだから座らせないでくれ。

論文の提出日も、納品日も、旅行に行く日も、確定申告の日付も、できれば地球の終末の日も、本当の締切日を教えないでくれ。
いつ終末かは知らんけど、多分年代とかは関係ないので、おそらく私は終末でも冒頭で書いたみたいなことになると思う。「え!?!?来週地球終わる!?!?ガチ!???!?」などといいながら近所のショッピングセンターを徘徊し、帰宅後途中で集中力が切れて途中で観るのをやめていたドラマの続きをチマチマみるだろう。

でも何だか、それでもいいと思う。結局のところ、終末でなんとかするのは夢先延ばしマンの魔女だと私は思っている。多分全然良くないけど、先延ばしていいこともめちゃくちゃあると思う。

金関係の締め切りだけは先延ばしにせず、今日もほぼ全てを先延ばしにして生きようと思う。適当ベルトコンベア人間。


[お知らせ]


上の文章を原案にこうゆうこちゃんが漫画化してくれた『終末ウィッチクラフト』がcomipo歌漫画大賞で金賞を受賞しております!受賞を現在進行形にする妙な表現。

そちらの漫画が本日(11/25)からcomipo漫画アプリ、DLサイトで配信されています〜!どちらでも読めるのでお好きな方でたくさん読んでくれるとうれCです。

また、期間限定の無料配信中なのでたくさんの方に読んで楽しく元気になってくれたらハピです!期間という言葉は怖いけど、これはハピネスな期間。

(URL)
①comipo公式アプリより『終末ウィッチクラフト』
(アプリダウンロードを入れたら会員登録等なしですぐ読めます!!イエイ)

②DL site
(各種サービスアカウントでログイン後すぐ読めます!PCのブラウザなどで楽しまれる方はこちらが便利かもしれない。)

感想などいただけると大変嬉しいです。へへ。

楽しく書いた文章が楽しい漫画になって、楽しく世の中の人に届くのはとっても面白くて幸せだと思います。本当にありがとうございます。
ヤバT好きな方も、あんまり詳しくない方も愉快に読んでいただける作品かと思うので、よかったらぜひ。

こうゆうこちゃんのツイートから最初の数ページも読めます!すげーー!


テーマ楽曲の『くそ現代っ子ごみかす20代』も読む前に(後も)一緒に聴くと面白さ2000倍くらいになります。もちろん元気の出る曲です!!すげーーー!!!


最近は寒いから足などを大切にして眠ろう。この心がけもすごい。

それでは、また来週。

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