見出し画像

カンザキイオリの神椿卒業に関しての公開書簡


これはカンザキイオリの神椿卒業に関しての公開書簡です。

いつものような「形式的な文章」だと今回ばかりは本当に言いたい事が伝わらないので少し悩んだのですが、普段僕らが話しているような言い回しで敢えて手紙のように書きました。
プロデューサー目線というよりはとても感情的な「カンザキ君への個人的文章」ではありますが、皆さんにも見て頂けたら嬉しいです。

PIEDPIPER 


カンザキ君へ。※カンザキイオリではなくいつも呼ぶ言い方にするね

先日はワンマンライブお疲れ様でした。
「別れなど、少年少女に恐れなし」
お世辞抜きで本当に最高だった!

君が立派に皆の前で文字通りの「ワンマンライブ」が出来る日が来るなんて。
出会った当時のことを考えると、
とてもじゃないが想像もつかなかったよね。

ライブは本当に素晴らしいものだったし僕の想像を超えていた。こんなものを観せられたらだいぶ言語化が難しくて。本当どうしたらいいんだろうね。

ライブが終わった後、君とのこれまでの出来事を沢山思い出した。


「命に嫌われている」を聴いて感動してすぐに連絡をとった日のこと。

君にしつこく連絡してようやく会ってくれたこと。

最初に出会った時のお互いの緊張感や面白い感じ。

花譜の歌を初めて聴いてもらった時のこと。

カンザキ君が立ち会った花譜の一番最初のレコーディングの日のこと。

隠し持っていた君の文学性を認識した時の驚き。

君の昔話を真剣に聞かせてもらった時のこと。

などなど。
本当に色んなことを思い出した。

そして沢山花譜やV.W.Pに曲を提供してもらったね。※忘れちゃいけない、VALIS、CIELにも!

君が創る曲達は全てがあまりにも美しかった。

カンザキ君の才能は言うまでもなく素晴らしい。
そして同じくらいシンガーとしての花譜、そして理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜、V.W.Pのメンバー皆の才能もすごかった。

この素晴らしい才能同士のコラボレーションに立ち会えたこの五年間、僕は本当に幸せだった。
当たり前の関係性が本当はとても特別だったのだと10年後に間違いなく思うのだろうな。

だいぶ前の話。
君の「初のセルフボーカルアルバム」を出そうとした時、色々話し合って結局延期したよね。
あの時点では結果としてはまだ人前に出せるレベルではないと皆で判断をした。
でも話し合って延期したとはいえ、
あの時の君はとても傷ついていたように見えた。

僕が本当に驚いたのは、2021年7月の1stワンマンライブ「不器用な男」の時だ。
歌の努力を積み重ね、過去の挫折からもう一度立ち上がってきて凄まじくレベルアップを果たし、普段の面白い君からではとても想像がつかないような「主人公過ぎるカンザキイオリ」を見せつけてくれた。

そして青い号哭を聴いて、それまでずっと君の事を天才と呼んできたけど、その時から軽はずみに天才と呼ぶのはやめた。
君の努力に対してそんな言葉だけではもはや失礼な気がしたから。

少なくとも僕が出会った頃の君はボーカリストとしては全然天才なんかではなかった。
そんな君に「歌で感動させてもらったあの日」の衝撃は今も忘れられない。

そして22年の春くらいだよね、退所の相談をされたのは。
その話を最初はマネージャーからこっそり聞いてとても落ち込んだ。

なんで、と思った。

僕らは中々うまくやってきたじゃないか。
お互いの人生を変えたと自負しているし、
君は久しぶりに僕が心を開いた人間でもあった。
だから正直言って本当に悲しかった。

でも今なら君の苦しみがなんとなくわかる。
表現がとても難しいのだけど、僕らは多分うまくやりすぎた。クリエイティブもビジネスも。

誰が悪い訳でもなく只皆が一生懸命やった結果だ。

僕たちから離れて、嬉しいことや楽しいことだけではなく、痛みや苦しみ、失敗も含めて全て自分自身で受け止めると決めた君の気持ちは(全部はわからないかもしれないけど)僕自身共感してもいる。それこそが僕の好きな君でもあるからだ。

その上で勿論悔しさやある種の責任も感じている。
君の気持ちは分かるけど、このまま一緒にやる事で観れた「別の景色」もきっとあったはずだ。

未だに思う。
どうにか方法がなかったのかなって。

花譜と僕、マネージャーのアンハサウェイ氏(カンザキ君しか言ってない呼称だが)も含めて、僕らは相性が良すぎたのだ。

だからこそ僕は当分の間悔やみ続けることだろう。
でもこればかりはどうしようもないことだ。
「成功する権利」も「失敗する権利」も、これからは君だけのものだ。

「別れなど、少年少女に恐れなし」

このライブだけは「はじめての気持ち」でカンザキ君の有観客ライブを初体験したかったので、リハーサルなども敢えて観たくなくて僕自身はこのライブ制作に一切関わってはいない。
有能なアンハサ氏が全てしっかりと整えてくれた。

それでもエンドロールで僕の名前を入れてくれた優しさが、とても嬉しかった。
自分自身だいぶめんどくさい人間なので普段はそういう「配慮」はあまり好きではないんだけど、今回は素直に感謝している。
僕をこのライブの仲間に加えてくれてありがとう。

多分君のだいたいのことを知っている自分としては、カンザキ君は本当に「アーティストになるべくしてなった人」だと思っている。

音楽で既に多くの人達を救ってきた君ならば、更なる沢山の少年少女達を救うことが出来るはずだ。
それは僕自身が神椿で今後やるべき仕事でもある。
それぞれが全く違うやり方で泥だらけで足掻いて、かつての自分達のような人達を少しでも多く救って、お互い納得して終わる時が来るその日まで、なんとか頑張ろう。
それが僕らにとって最も重要な仕事であり、生きるということそのものだから。

「IKIRU SHELF」
創作を飾る棚。生きる。

ずっと苦しんできて、なんとか死なないでここまで辿り着いた君らしい、とても良い名前だね。

「創作をしている限り、そばにいる」

その通りだと思う。
僕らはこれからは歳の離れた友人であり契約を超えた、上下関係の無い仲間。

そう信じることでなんとか全部を受け止めることができた。

今後はカンザキ君の一ファンとして、活躍をとても楽しみにしてる。

そしていつか必ず新しい関係性で、
もう一度邂逅しよう。
「狂想」や「邂逅」の名前をつける時にさ、レコーディングスタジオで君と花譜と三人でそんな話をしたのを覚えてる?

カンザキ君。
ほんとうに卒業おめでとう。

PP

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?