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花譜ファーストワンマンライブ「不可解」につきまして

いつも花譜を応援してくれてありがとうございます。

バーチャルシンガー花譜の運営チームから、今回いくつかのご報告があります。

花譜のファーストワンマンライブ「不可解」は今回関係者の皆様とクラウドファンディングで支援してくださった多くのファンの皆様のおかげで、無事にワンマンライブの実施へと辿り着くことができました。

最高の形で実施出来る事に運営チーム一同、心より感謝しております。

皆様からの応援に対して、感謝の気持ちや運営サイドとしてもお伝え出来たらと思うことがあり、プロデューサー個人として今回やや私的な文章を書かせていただきます。

少し長いですがお付き合いいただけますと幸いです。

花譜は複数の諸事情の中で、結果的にバーチャルシンガーという選択肢に希望を持ち、本来なら音楽シーンの中には登場すら出来なかったかもしれない未完成の才能です。我々は彼女の歌声にある種の必然性を感じ、

いくつかのハードルを乗り越え、今日に至ります。

花譜は昨今のVTuberシーン全体とそれを支えるVTuberファンの皆様の盛り上がりによって、奇跡的に観測された存在だと我々は思っております。

また花譜について、本当に15歳なのか?、これはキャラクターとしての設定ではないのか?、プロがやっているのか?、などのお問い合わせが今迄多数あったため、運営チームとしても回答の仕方をずっと保留してきたのですが、今回出来うる範囲で事実をお答えしたいと思います。

彼女は設定では無く紛れもない15歳の女の子で、そして才能はありますがプロとしての訓練を積んできたような子でもありません。※勿論、今後訓練を重ねていき徐々にプロフェッショナルになっていくのだと思います。

運営である私達は様々な偶然と(やや大袈裟ですが)奇跡的な出会いから、彼女に出会うことが出来ました。

場所は言えませんが、彼女は今も東京からは遠いところに居ます。

物理的な状況から東京での活動が難しく、出会った当時は13歳で中学生という立場、またそれ以外のいくつかの事情も重なって、当時本格的な音楽活動をするのは実質不可能な状況でありました。

そして、顔出しすることに強い抵抗感がある彼女の御両親に「バーチャルYouTuber」というカルチャーが存在する事を説明し、VTuberを支える文化やテクノロジーを活用していけば、遠く離れた場所でも未成年が安全に活動、運営が出来るのでは無いか?とお話をした結果、あるひとつの可能性が見えてきたのです。

※現在は御両親の温かい理解と協力の元、彼女は今も東京に月一回程度お母様同伴で上京し、レコーディングや収録などを行なっています。

彼女を見つけ、彼女が置かれている状況を理解した当時、実は私達は一旦諦めかけましたが、余りにも勿体無いと思い、もう一度考え直すことにしました。そして、彼女の為にもあまり「こと」を急ぎ過ぎたくないと思ったのです。またこういったある種のリスキーさをはらむ未知数すぎる才能に投資するのは既存の音楽業界の体制では無理なのかもしれないな、と同時に感じ始めていました。

これまでアーティストやクリエイターをコンテンツとして消費し、急ぎ過ぎることで結果的に使い捨てにしてしまう、投機的でビジネスライクな現場を何度も遠目で見てきたからです。

特別な才能を持つアーティストであったとしても、自分達と同じように日々を生きる1人の人間でもあり、また、彼らとビジネスをするということは、プロデュースサイドだけでなくアーティスト自身も仕事に自覚的でないと不幸になってしまう場合が多々あるからです。

勿論、大前提としてビジネスは大事です。大富豪の余暇としてでもない限り、それらが成立しなくては結果としてチーム体制を維持しながら長く活動を継続させることは難しいのです。

※活動する上で最も大事な、「ビジネスとマネジメントとチーム運営」という三位一体のことをあまりにも考えず見切り発車した結果、沢山のバーチャルYouTuber達が引退に追い込まれている現状があると思います。

ただ矛盾するかもしれませんが、「どれだけスピーディーに効率良くマネタイズできるか」が最重要になりがちな消費の為の平坦な戦場に、まだあらゆることに無自覚な13歳の子供を巻き込んでしまうのは、正直抵抗感がありました。

音楽は好きですが、業界の慣習に対しては嫌気が差していたというのもあります。※勿論愛がある素敵な人達も沢山います。

なので、どこかのタイミングで限界はあるかもしれませんが、通常の方法論になるべく縛られず今の時代の”やるべきこと”だけに拘り、花譜の今出来るペースに合わせてやれるところまでは自分達でやってみよう!と決意しました。約1年半前のことです。

私達は個人ではありませんし、ある分野のプロフェッショナルとして仕事をする創造的集団ではありますが、彼女は決して「企業」によってのみ作られた偶像などではなく、同時にプロとして活動するために長く訓練を積んできたわけでもありません。

技術的には全くの素人なのです。

一番良い例えがあるとするならば、彼女は恐ろしく引っ込み思案な性格の”美しい才能の原石”というべきなのかもしれません。

ではそれが果たして「アーティスト」といえるのか?

賛否両論はあると思いますが、これも一重にバーチャルYouTuberという文化が大いに盛り上がったからこそ初めて顕在化出来た、今の時代ならではの未完成な才能だとも考えています。

私達は、花譜のこの不確かで脆い才能が、インターネットやクリエイティブやテクノロジーが介在し、“今彼女が出来ないこと”を補完することで、今後どう変化してゆくのか?

いつの日かリアルのアーティストと肩を並べても遜色の無い、現実とバーチャルを越境出来るアーティストとなり得るのか?

表現者全体にとって、転換期であるこの時代だからこそ起き得る”出来事”に興味があります。唯一であり最大の欲望が有るとするなら、そういった事象をなるべく一番近くで観測していたいのです。

そこにビジネスだけではない、理屈だけではない何かがあると信じて。

そんな無謀な夢を抱きながら、私自身は同時に夢の無い人間でもあります。

「人は分かり合える」、「人は人を救える」なんて本気で思ってる人がいるとしたら、それは大概は勘違いだと思います。

自分自身が生きていくだけで誰しもが溢れてしまいそうになる今現在の「一人で死ぬ事を求められる社会」で、自分達の働きが誰かの救いになるなんてそんな甘い事はほとんど有り得ないんだと(自制の意味も含めて)当たり前のように考えてきました。

ただ、馬鹿馬鹿しいくらいクリエイティブを本気で考えている、ややこしくて面倒臭い最高の才能達や、ひたむきなスタッフ達に毎日向き合い続けているうちに、気が付いたら今迄の自分には無かった不思議な感情が芽生えてきました。

そして花譜がデビューしてから約8ヶ月、ずっとファンの皆様からは色々な事を受け取って、日々教えてもらってます。

いつのまにか私達自身が”救う”のでは無くむしろ救われているのだな、とある日ふと感じました。

だからこそ、そこから受け取ったものを少しずつお返ししたいと思っています。

私達は花譜との作品創りを通じて、「勝つか負けるかだけじゃない、感情的で不可解なものの中にこそ、誰かにとっての少しばかりの救いと魔法があるのだ」ということを証明したいです。

今回のライブ「不可解」は別に技術的に新しいことをやろうとしている訳では無く、むしろ昔からあった「アーティスト」を「アーティスト」らしく扱うという、ある意味でこれからの時代にとってはもはや古臭いかもしれないことに敢えて挑戦しようとしています。

また、花譜の初めてのワンマンライブには実験的にクラウドファンディングを導入し、沢山の方々にこの「不可解」の共犯者になってもらいたいと考えました。

そしてクラウドファンディングにお金を出す出さないだけではなく、この出来事を共同作業によって実現し、より沢山の方々に目撃してもらうことを“作り上げる”ことも含めて、皆様と共犯関係になりたいと思っています。

※共犯者は観測者の上位互換のつもりはありませんでした。ただ言葉として適当だと感じたので使わせていただきました。

私達は音楽や物語の奥底にある、人間自身が産み出す“不確かなもの”を信じています。

音楽で世界は変えられないのかもしれませんが、遠く離れた会ったことすらない人間が産み出した「物語」で、ずっと遠くにいる誰かの不幸な気分が少しだけ軽くなったり、悲しい出来事にも深く共感出来たりもします。

私達は現実には隣にいなくとも、ずっと隣にいることが出来るはずです。

美しくて不可解なものを信じるために。

クリエイティブの魔法をもう一度確かめるために。

許せない人を許すために。

花譜や仲間達や好きになってくれた人達と共鳴するために。

このライブを実現させる為に集まった素晴らしいスタッフ達とクリエイティブチームが皆様の応援のお蔭もあって、急速に結成されつつあります。言葉だけでは表現しきれない程の“出来事”を皆さんと一緒に創りあげたいです。

8月の花譜ファーストワンマンライブ「不可解」、ぜひ御期待ください。

皆様に観測してもらえる日を心から楽しみにしています。

いつも応援本当にありがとうございます。

バーチャルシンガー花譜運営スタッフ、プロデューサー

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