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不可解、深化、旅立、未来

KAMITSUBAKI STUDIOプロデューサーのPIEDPIPERです。

花譜のライブシリーズ「不可解」が昨日開催した「不可解参(想)」をもって完結致しました。
今迄沢山の方々に支えて頂き、心から感謝をしております。

今回沢山の反響があった

「不可解完結について」
「SINKA LIVEについて」
「カンザキイオリの神椿卒業」
「花譜の今後について」

に関してプロデューサーとして文章を纏めさせて頂きました。

「不可解完結について」

不可解参(想)

「不可解参(想)」なんとか無事完走出来ました。
制作を強く牽引してくれた演出の緒方さんをはじめ、沢山の若きクリエイターの皆様のおかげで「締め括り」に相応しい素晴らしいライブになったと思います。
皆様本当にありがとうございました。
多分今迄観たことがないレベルのバーチャルライブになってるとは思うのですが、
自然と涙が流れる感動的で稀有な体験を創れたのではないかと思います。※僕らも本当に泣きました…。

2019年から始まったこの「不可解」というライブタイトルには僕自身もとても思い入れがあります。

リアルのアーティストだとライブタイトルがライブのたびに変わるのは普通だったりするのですが、バーチャルのアーティストには「リアルアーティストの当たり前」を適用したくないという気持ちが当時ありました。

「ゲームシリーズのようにある程度の期間を同じタイトルで運営していく」という裏テーマを持って神椿のバーチャルアーティストに関しては「タイトルを積み重ねていく」という方針を守ってきました。

最初は自分の中にしかなかった不可解のテーマ性が時間をかけて花譜本人やカンザキ君、関わってくださっているクリエイターの方々、そして沢山の観測者の方々に深く浸透して親しんでもらえるようになった事がとても嬉しいです。

不可解でやりたかった事は「固定概念に囚われすぎない事」だったので、ライブとしてのフォーマットを壊していく事を最も重要視して、通常の音楽アーティストでは行われないような体験を意識的に作ってきました。

固定概念に囚われすぎない事。

よく物議を醸し出すワンマンライブに沢山ゲストを登場させるとか、変身シーンがあったり、アンコールの方が長かったり、映画のような長い尺だったりエンドロールを必ずつけるなどが、例えばそれに当てはまるかもしれません。

「ライブとはこうあるべき」みたいな事は当たり前ですが本来ルールがあるわけではないので基本的には何をやっても自由だと考えています。
この考え方は今後も変わりません。

ただ回数を重ねていくうちに良くも悪くも神椿の「フォーマット」が出来つつあり、それはある意味体験としての完成度も上がっているという事でもありました。
良かった部分を採用し、やってみてイマイチだった部分は再考してきた結果「神椿のライブといえばこうだ」というやり方がかなり固まってきた現状があります。
そういった意味でも「不可解」というライブシリーズは一区切りつける時期に近づいていました。

「不可解」というライブシリーズは終わりますが、当たり前ですが花譜のライブは続いていきます。
そしてライブとしてひとつの形態に拘らない事だけは決まっています。

「SINKA LIVE SERIES」について。

昨日発表した「SINKA LIVE SERIES」は仮想世界である神椿市を舞台にしたメタバースライブとも言えるような「コンセプトライブ」です。
バーチャルライブだった「不可解参(想)」と同じ「制作体制」で臨む本シリーズは「不可解参(想)」の延長線上にある存在なので今回のライブを「エピソード0」という位置付けにしました。

SINKA LIVE SERIES

またこの「SINKA LIVE SERIES」としての枠組み以外でも花譜のリアルでのライブは当然考えています。

ここ数年に渡り神椿では「ライブ会場を活用したリアルでのLIVE」、「無観客会場でのAR LIVE」、「仮想空間でのバーチャルライブ」などいくつかの方向性のXR LIVEに挑戦し続けてきました。

なので全ての方向でのライブの可能性は当然ありますので、全部を「SINKA LIVE」に集約する訳ではありません。

ただライブに「連続性」や「ストーリー性」を持たせる事で、目指しているメタバース的世界観の輪郭を形作り、2030年代のバーチャルライブ表現を突き詰めるという目指してきた目標に到達したい、という強い想いはあります。
所属バーチャルアーティスト同士が連動したりコラボレーションしていく、ある種の「マルチバース的展開」はこれはこれでアーティスト本人達にとっても観て頂く方にとっても面白い展開を産みだせると考えています。

自分自身すら観たことがない世界に辿り着き、所属アーティストや観測者の方々と一緒にその景色をいつか観たいと考え続けています。

カンザキイオリの卒業について。

まずは観測者の皆様に花譜のプロデューサーとしてこういった事態を招いてしまった事を率直に申し訳ないと強く思っています。

不可解参(狂)の半年前くらいにカンザキイオリからは卒業に関して相談されて、僕自身今後の事で色々悩ましい部分もありましたが、基本的には彼の希望を全て了承しました。

僕らは沢山の事を話し合った結果、今は納得をしています。むしろ必然にすら感じています。

率直に感じた事は「僕の好きなカンザキイオリ」らしい葛藤だなと思いました。

勿論、花譜とカンザキイオリの共創は出来る事ならばずっと続けて欲しかった。
でもこの判断こそが「カンザキイオリ」だなとも思います。

僕ら運営としてはアーティスト、クリエイターが安心して仕事が出来る環境を作り上げるのが最低限のミッションであり、その結果彼らの報酬が増えていく事にはある意味で誇りを持ってきました。

アーティストの幸福度を上げるのは事務所の使命だと信じていますし、それは今も変わりません。
ただ孤独や痛みを感じないと産み出せない「作品」というものが確実にあって、それは自分自身の中にも強くあるので彼が言ってる事には正直共感すらしてしまいました。

寂しさや悲しい気持ちもありましたが、この「寂しさ」は僕自身にとっても花譜本人にとってもプロジェクトにとっても必要な転機なのかもしれないとも感じました。
勿論観測者の方々を悲しませる事になる事はわかっていましたが、これはどうしても乗り越えなければいけない事でもあったのです。

もうひとつ思う事があります。
これまで会社の同僚が独立したり、転職したりする事は沢山ありましたが、彼らと今現在も仕事をしていたりする事は実は多いのです。
契約関係などが無くても信頼関係がある仲間であれば、仕事をしたり遊んだり助け合ったりも出来ます。

大事なのは「仲間である事」だと考えています。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、僕自身は今迄それをずっと重要視してきました。

なにが言いたいかというとカンザキ君とはもうとっくに「契約を超えた仲間」なのです。

その彼が悩んでいるならやりたいようにやって欲しいですし、彼が今やるべき事に最速で集中するべきだと思います。
その邪魔になるような契約はもはや要らない。

そして彼が卒業して花譜や神椿が成り立たなくなるほど、僕らはもう弱くありません。
沢山の仲間がいますし新しいパートナーも模索しています。

そしてすこし時間が経ってカンザキ君がやるべき事を形にして、また提供が出来る気持ちになった時に、再び花譜とのコラボレーションを実現させたいと考えてます。そしてそのタイミングは僕ではなく当然彼が決める事だと思っています。

「不可解参(想)」でカンザキイオリ卒業を発表した件に関しては色々な御意見を頂いています。
卒業後にすぐに一緒に活動出来る事には恐らく難しいと思うので、ああいった形にさせて頂きました。もう少しやり方があったのかもしれませんが、
本人達としても僕としてもどうしても実現したかった事なのです。どうか御理解頂けたら嬉しいです。

カンザキ君には本当に心から感謝しています。

追記:

カンザキイオリとは、「花譜のコンポーザーのカンザキイオリ」ではなく「アーティストカンザキイオリ」と「神椿スタジオ所属ラスト」として見送るワンマンライブを5/1に予定しています。
ぜひ楽しみにしていてください。

2nd ONE-MAN LIVE
「別れなど、少年少女に恐れなし」
2023年5月1日(月)at LIQUIDROOM

先行チケットが本日より発売が開始されています。
https://l-tike.com/kanzakiiori/

花譜の今後について

花譜の今後についてですが、しばらくは組曲シリーズが続いていきます。
第11弾は東京ゲゲゲイとのコラボレーションになります。
その後も様々なアーティストと準備中なので御期待下さい。
※3周年記念プロジェクトが2年目に突入してる件はすみません。。

そして本編にあたる今迄カンザキイオリが作ってくれた花譜のアルバムに関しては、今後は一人のコンポーザーで全て作るのではなく「集団制作体制」へと移行するような構想を持っています。
そのパートナーは現在選定している最中になります。

本音を言うと本当はもう一枚だけカンザキイオリとは花譜のアルバムを作ってみたかったのですが、もう充分頑張ってくれたという気持ちの方が今は大きいです。

もしかしたらその作品は別の世界線で実現するかもしれないし、10年後にいきなり産まれるかもしれません。
未来の事はわかりませんが、関係性は変われどカンザキイオリとは引き続き少しずつ作品創りをしていきたいなと思ってます。

最後に「バーチャルシンガーソングライター」としての花譜自身のオリジナルソングに関してなのですが、とても良い楽曲が既に色々あるのですが、これに関してはあまり急ぎすぎずにゆっくりと制作を行っていく予定です。
彼女と共にデモソングを作り続けながら良いタイミングで出していくつもりです。

もう少し詳しい理由を説明すると彼女自身のオリジナル曲は「ある種の機能性を強く求められるタイアップソング」などよりも、花譜のアーティスティックな世界観100%で作り上げた方が良いのかもしれないと思っているので、もう少しだけ時間をかけた方が良いのではないかと考えています。
彼女のクリエイターとしての稀有な才能を信頼しているからこそ、もう少し模索させて欲しいです。

他補足

問い合わせが多かった御伽噺の件。
バーチャル演劇「御伽噺」に関しては止まっている訳では無くてずっと作り続けています。
かなり難航しているのですが、もう少しでなんらかお知らせが出来るかもしれません。
とても時間がかかってしまいすみません。

最後に

この「不可解参(想)」をもって花譜のライブシリーズ「不可解」は終了しますが、これは彼女にとっての新たなスタートでもあります。

花譜の物語はまだはじまったばかりです。
そして皆さんのおかげでどんなに辛い事があっても、どうにか乗り越えれるようになりました。
彼女はとても素敵な女性へと成長しつつあります。
観測者の皆様には本当に感謝しています。

世界の何処にでもいる普通の女の子の「可能性の拡張」の続きを、是非お楽しみください。

いつも応援、本当にありがとうございます。
KAMITSUBAKI STUDIOプロデューサー  PIEDPIPER




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