【超解説】未経験からフリーランス広報になるための5つのステップ
こんにちは、あい(@aitabata22)です。
わたしはフリーランスとして広報のお仕事を始めてから約4年ほどになり、現在は複業で5社での広報契約、プロジェクトごとの広報サポートを行っています。
プロフィール:多葉田愛 / Ai Tabata
青山学院大学在学中にブログを立ち上げ、月間30万PVまで読まれるように。卒業後、国内外でまちづくりをプロデュースするUDSに新卒入社。広報と新規旅行事業の立ち上げを兼務。 その後独立し、オーストラリア・メルボルンを拠点にワーホリ×フリーランス生活を送る。帰国後2021年より旅を広める会社TABIPPOに入社にセールス&企画を担当。 並行してフリーランスとして、アートイベント、D2C、シーシャラウンジ、コワーキングスペースなど多数の広報支援を行う。2022年1月にフリーランス広報ユニットサービス「ふたり広報」を立ち上げる。
Blog:https://www.aitabata.com/entry-profile
ふたり広報:https://futari-kouhou.com/
フリーランス広報の仕事について発信する中で、「フリーランスの広報ってどうやったらなれるの?」という質問を1番多くいただきます。
広報の仕事は多岐にわたるので「実際にどんな仕事をしているの?」というところから疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
わたしの場合は、運よく新卒で企業広報を担当させていただきましたが、企業において広報職は若手にチャンスが少なく(勤続年数が長い人が広報に異動、PR代理店経験者が広報配属のケースが多い)、広報という仕事に興味はあっても、その実態を知ったり、実務を経験する機会は多くありません。
では、広報に興味がある人は、どのように広報キャリアをスタートすれば良いのでしょうか?
先ほど「“運よく”広報になれた」と言いましたが(そして配属に運の要素があることも否めませんが)、実はわたしも「種まき」をしていたから広報になることができました。
後述しますが、「種まき」とは広報に結びつく、基礎力・専門スキルを独学で勉強・実践することです。
今回の記事では「未経験からフリーランス広報になりたい人」に向けて、種まきの内容やプロセスを解説しますが、広報になりたいあらゆる人の参考になればと思い、内容を考えました。
▼こんな人におすすめの記事です
・未経験からフリーランス広報になりたい人
・現在フリーランスで、新しく広報の仕事にも取り組んでみたい人
・違う部署から広報配属になりたい会社員の方
・新卒入社や転職で広報を担当したい方
では早速、本編スタートです!
未経験からフリーランス広報になる方法
フリーランス広報になる方法を再現性の高いプロセスに落とし込みました。
1. 広報の全体像を把握する
2. スキルセットを整理する
3. 個人でできること、チームでできることを考える
4. 広報業務を実行する
5. 新たなスキルを身につける
1→5とステップを進めていき、3→5とPDCAを回しながらスキルアップをしていけば、自分なりの広報としての道が見えてくるはずです。
ひとつずつ解説していきます。
1. 広報の全体像を把握する
広報がコミュニケーションを取る相手は大きく3つに分けられます。
社内(経営者、社員)、社外(クライアント、ユーザー、採用応募者)、メディア(マスメディア、ウェブメディア、インフルエンサー)です。
その3種類のステークホルダー(利害関係者)ごとに広報の仕事をブレイクダウンしてみました。
企画戦略から運用実務まで、めちゃくちゃ業務範囲が広いですね...。
ただ、全てを網羅していないと広報として仕事が始められないのか、というとそういうわけでもないのでご安心ください。
実際企業広報として活躍されている方も、「メディアリレーションは得意だけど、SNSは全くわからない」「採用広報に特化している」など、それぞれの強みを活かして、ある程度領域を絞っていることがほとんどです。
また会社に属する場合は経営企画部や人事部、制作チームと、フリーランスの場合は様々なクリエイターと役割を分担することもできるので、最初のステップでは広報の全体像を把握できればOKです。
ここではステークホルダーごとに業務を整理しましたが、他の視点から広報業務を整理することもできます。この2つの記事はとてもわかりやすくまとまっているので、ぜひ参考にしてみてください。
✍️仕事内容別
「業務範囲が超広い!広報PR担当者の仕事内容を整理」
✍️プロセス/アプローチ別
「広報とは?今さら聞けない広報部門7つの役割と必須スキルを徹底解説」
また広報の仕事の全体像を掴むためにおすすめの本もご紹介します。
📕『戦略思考の広報マネジメント』
8つの視点から戦略的広報活動に必要なスキルを学ぶことができます。
📘『サニーサイドアップの手とり足とりPR』
広報の様々な業務・アプローチを具体的に解説。「PRの全体像」を一冊で掴むことができます。
2. スキルセットを整理する
広報に活かすことができるスキルは様々です。マインドセット・基礎広報力・専門スキルの3つに分けて可視化してみました。
これらのスキルのうち、現在自分が習得しているものをチェックしてみてください。
マインドセット×基礎広報力があれば、広報として必要最低限な仕事はできますが、フリーランスとして活動するのであれば、差別化を図るために「専門スキル」も身につけたいところです。
反対に広報に携わったことがなく、マインドセット×専門スキルの場合は、「基礎広報力」を上述の本などを通じて学ぶことができれば、広報の活動に手を広げることができます。
スクールに通う方法もありますが、独学の場合「どうやって勉強したらいいんだろう?」と迷ってしまうと思うので、それぞれのスキルをゼロから独学で身につけるためにおすすめの方法をご紹介します。
💡マインドセットの伸ばし方
✔︎ SNS発信をする
SNSは広報に必要な「情報収集力」「情報発信力」のトレーニングに最適です。まずは普段使っているSNSの中でひとつで良いので、「仕事」「自己ブランディング」として取り組んでみてください。トレンドを掴む力やリサーチ力も鍛えることができます。
✔︎ イベントやコミュニティに参加する
広報は様々なステークホルダーと会話をし、情報収集をする必要があります。イベントの運営や司会を任される機会も多いので、自分自身でイベント
に参加したり、初対面の人と話すコミュニティに参加することは「主体性」や「コミュニケーション力」の練習として効果的です。
💡基礎広報力の伸ばし方
✔︎ ライティングスキルを磨く
先ほどご紹介した広報の仕事の全体像を掴むための本と合わせて、広報の仕事に必要不可欠なライティングを学ぶことをおすすめします。
📕『新しい文章力の教室』
文章を構造的に書くための方法をわかりやすく教えてくれる入門書です。初心者の方はこの本から読んでみてください。
📘『沈黙のWebライティング』
最近の広報実務ではコーポレートサイトやオウンドメディアの運用などを任されることもあり、Webライティングの機会がとても多いです。マーケティング寄りの知識ですが、読んでおいて損はない1冊です。
📗『書く習慣』
そもそも書く習慣がない、抵抗があるという場合はこちらの本を読んでみてください。書くことへの不安がなくなるはずです。仕事に限らず様々な文章を書いて、書くことに慣れていきましょう。
💡専門スキルの伸ばし方
企業広報の方は、基礎広報力を追求するケースがほとんどですが、活躍の幅を広げたり、個人として選ばれる広報になるためには、専門スキルが大切だと考えています。
わたしは大学生の頃に自分のブログをWordPressで立ち上げ、運営していた経験があるので、新卒で広報になりたての時も、Webの基礎知識があることを重宝されました。その後も資料作成・マーケティング・デザイン・英語とスキルを増やしていき、今ではその専門スキルがフリーランス広報の仕事にとても役立っています。
わたしも実際に読んだ、広報業務と親和性が高い各専門分野の基本書のおすすめをご紹介します。
📕『いちばんやさしいWordPressの教本』
全ウェブサイトの約43%を占めると言われているWordPressについてわかりやく学べる本です。「WordPress使える?」と聞かれることは予想以上に多いのでWebの基礎知識として身につけておくと良いと思います。
📘『ノンデザイナーズ・デザインブック』
「デザイナーでない人のための、デザインの定番基本書」と呼ばれている1冊で、ビジュアルが重視される近年のデジタルコミュニケーションの中で、広報としても押さえておきたい知識が詰まっています。
📗『沈黙のWebマーケティング』
ライティングスキル習得のために『沈黙のWebライティング』を読んだら、併せてこの本も読んでみてください。Webマーケティングの基本的な考え方が身に着きます。
💻マーケターのよりどころ「ferret」
普段の情報収集におすすめのマーケティング知識が学べるサイトです。アップデートが激しく、あまり書籍に情報がまとまっていないSNSに関する情報もたくさん紹介されています。
3. 個人orチームでできることを考える
スキルセットを整理したら、改めて冒頭で紹介した広報の業務内容を見てみましょう。
自分のスキルで、できることは見えてきましたか?記事ライティングや、SNS運用、イベント運営などは中でも取り組みやすい業務なので、まずはそこができるようにスキルや経験を習得できると良いと思います。
また2つ目の視点として、自分ひとりではなく、誰かとパートナーシップを組めば取り組めそうなことも考えてみてください。
例えば、こんな感じです。
自分:ライティングスキル・資料作成スキル
パートナー:デザイン・ブランディング
→ブランディング策定・SNS運用
ひとりだと難しいことも、パートナーと一緒であれば実現できることが見つかるはずです。必ずしもひとりでタスクに取り組む必要性はないので、まずは得意領域を磨いて、足りない部分はスキルのあるパートナー(知人やクラウドソーシングなど)に補ってもらいながら広報としてできるアウトプットを考えましょう。
4. 広報業務を実行する
いよいよ実行フェーズです。まずはやってみる!に尽きるのですが、どんな広報業務においても大切にしている3つのことをお伝えしたいと思います。
1. 目的・5W1Hを明確にする
広報のアプローチには様々な手段があるため、目的・5W1Hを設定しないと、途中から何のためにやっているんだっけ...?という事態になりかねません。
2. 理想のシナリオと達成可能なシナリオを描く
マーケティングと異なり「これだけリソースを使えばこれだけリターンがある」という仮説を定量的に立てることも難しいことも覚えておく必要があります。
そのため、わたしは施策に取り組む時に2つのシナリオを描くようにしています。
1つ目は「理想のシナリオ」。
これはとにかくこうなったらいいなという理想のストーリーを考えます。成功している他社事例を参考に、サクセスイメージを描きます。
2つ目は「達成可能なシナリオ」。
理想のシナリオが叶うには、「SNSでバズる」「メディアに取り上げられる」など不確定要素も含まれます。ですが、広報は広告と異なり、それらをお金で買うことができなければ、コントロールすることもできません。
「コーポレートサイトに記事が○本ストックされ、採用応募検討者の目に留まる」というようにアウトプットの定量目標・アウトプットに紐づく定性目標を置くことが大切です。
3. 多長根で考える
新卒の時に代表に言われてから大切にしている「多長根」という視点があります。
「多長根」:多角的・長期的・根本的
限られたリソースで、短期間での結果を求められているように感じたとしても、一度視座を高くして、その施策が「多長根」で考えて意味のあるものか考えてみてください。短期的な結果が出しにくい広報だからこそ、意識できると良いと思います。
では最後に実務にあたり、そもそも「どうやって広報の仕事を獲得するの?」という問いにも答えたいと思います。
【パターン①】複(副)業支援サービスで仕事を獲得する
柔軟な働き方が広まり、様々な複(副)業支援サービスが人材を募集しています。広報ポジションの募集がないかチェックしてみましょう。
【パターン②】ライティングから広報の仕事を獲得する
広報の仕事と最も相性の良い仕事はライティングです。そのためライター・編集者として活動されているフリーランスの方は、担当している案件から広報の仕事に幅を広げることができないか考えてみてください。(ない方は、クラウドソーシングでライターの案件で実績を積みましょう。)
Web制作会社の仕事の下請けやSEOメディアのライターの場合は難しいですが、直接企業とやりとりをしていてオウンドメディアのコンテンツ制作を任されている場合、広報の専任がいない、手が足りていない可能性があります。
まずは記事の仕事を引き受ける→プレスリリースやSNS運用など始めやすい業務をサポートする→より幅広い広報業務を任せてもらう、という流れは比較的作りやすいです。
わたしは基本的にこの方法で(わたしの場合は、単発の依頼でも最初から広報戦略を提案することもあります。笑)仕事を獲得しています。
【パターン③】専門スキルから広報の仕事を獲得する
既にデザインやマーケティングスキルを身につけている方は、クライアントに広報も勉強中であることをアピールしてみましょう。
広報がコスト部門(利益を直接的に生まない部門)と呼ばれることも多いように、基本的に会社はより利益に直結した部門の人材からリクルーティングします。そのため広報は採用枠が少なかったり、兼任することが多いのですが、他のスキルがあり広報ができる人というのはその分非常に重宝されます。
「広報業務も+5〜10万円の金額でやりますよ」と言ったら、響く経営者は多いはずです。
【パターン④】SNSやWebサイトを運用しポートフォリオから広報の仕事を獲得する
SNSのアカウントを「名前 / フリーランス広報」に変えて、広報に関わるトピックスや実績を発信しながら、様々な経営者・ビジネスパーソンと交流を図ることも仕事を得るきっかけとなります。
わたしの場合は、個人ブログをWordPressで整え、実績が見やすいようにしています。ブログの更新頻度は高くありませんが、定期的にブログ経由でお仕事が決まるのでポートフォリオをWeb上に置いておくことは強いなと感じています。(ご参考までに私のポートフォリオはこちら「【サービス一覧】広報・企画・デザインの単発依頼からトータルサポートまで」です)
いきなり見ず知らずの人に広報戦略を任せる人はいないので、その際には最初に依頼しやすいサービス(プレスリリース制作代行や記事制作)を用意しておくことも大切です。
5. 新たなスキルを身につける
広報業務を実行したら、ひたすらPDCAサイクルを回してレベルアップしていきましょう。
ここで大切なのは、ACTION(改善)において、現在の実務のレベルアップはもちろん、専門スキルを身につけてより広範囲の広報業務ができるようになることを目指すことです。
フリーランス広報の場合、自分のカバー範囲が、そのままクライアントへの広報戦略の際の提案範囲になり得るので、なるべくたくさんのアウトプットができるようになることが必要です。
Web知識の基礎を身につけたら、SEOやデータ分析を学んでみるなど、それぞれの専門分野を深めていくことも大切です。
また「広報会議」や「宣伝会議」のような広報・マーケティングの業界誌を読む、自分が携わる業界の専門誌を読む、「PR TIMES」でプレスリリースをチェックする、SNSでトレンドを追うなど、日々様々なニュースや事例に触れることで広報力は着実に磨かれていきます。
他のあらゆる職種と同様に広報の仕事にも終わりはありません。PDCAを回して提案力のある広報を目指していきましょう!
✍️
長くなりましたが、以上が「未経験からフリーランス広報になるための5つのステップ」となります。
わたしもまだまだ勉強中の身ですが、フリーランス広報として最初の1歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!