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『旧市町村日誌』 47 近畿地方へ  文・写真 仁科勝介(かつお)

つい先日、旅を一日休んだとき、宿で冷房も付けて作業をしていて、昼食を食べようと外に出たら、ものすごく暑く感じました。毎日旅を続けているときとは違うような、暑さの感覚で。

 その翌日、また旅を再開して、最高気温も昨日と同じぐらいだったのですが、やっぱり、暑さの感じ方が違う。

 

旅をしているときの方が、長袖長ズボンで、防具も付けていて、明らかに厚着です。もう、全身の皮膚すべてから汗をかくという感じ。一方で、昼食に出かけたときは半袖半ズボン。

 なのに、旅のときの方が、暑く感じないと思いました。

 いや、当然すごく暑いわけですし、熱中症にならないように気をつけながら、ギリギリのラインを進んでいるとも言えますが、旅をしているときの方が、暑さを暑さとして捉えていないように感じられたのです。

 
これはどうしてだろう、と考えるに、気持ちの問題としか考えられないなあと。今日の目標を達成しなければ、今日の旅は進まない。そして、まだ900以上の旅先が残るこの旅を、決して完遂することはできない。

 だから、そういう気持ちを持って旅をやるぞ、とスイッチがオンになっているときは、汗でドロドロになろうが、やっていけるというか(もちろん、無理をしてはいけません)。一心に、自分にとって、やりたいことに向き合えることが、旅を進ませてくれているように思いました。

 

また、天気の幸運にもすごく恵まれていると感じます。主には入道雲。何度か土砂降りの雨にも当たって、雨宿りをしているけれど、それでも雨雲レーダーを見ていると、運がいいなあと感じることの方が多いです。

 たとえば昼間、入道雲が西から東へ流れてきて、その雨で一度雨宿りしました。夕方はその日最も行きたい場所に向かうタイミングで、西に大きな入道雲が湧き上がっていて、今日の傾向だと、雨をくらってしまうなあ、と思ったわけですが、不思議なことに東へ流れてこなかったり。

 先日も竹田城跡へ行きましたが、休養も含めると行けた日程が3日間あって、そのうち雲海が出たのはぼくが訪れた日だけでした。捉えよう次第ですが、すごくありがたいことです。

 

兵庫県に入って、周りから聞こえてくる声が関西弁に変わり、近畿地方へやってきたことも実感します。そして、地元の方と会話する機会も増えました。

 お店の店員さんも、すれ違う人も、すごく気さくに会話をしてくれるなあと。裏表がなくて、冷たさも感じない。むしろ、真っ直ぐで温かみがある。

 もちろん、人それぞれで違いがあることは当然ですが、身にまとう雰囲気や言葉に、まったくの邪気もないような方に出会うと、憧れるなあと思うばかりです。

 

さて、旅の進捗は、お盆前に友人の結婚式があるので、その日までに行きたい場所まで移動しきるのが目標です。

そこまで暑さに負けず、しぶとく、進んでいきます。




仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。



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