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fell in ...


私より白い肌も、真っ直ぐで単純な性格も、犬のように懐いてくれるところも、それなりに好きではあった。だけど正直、君と付き合い始めた時点の私の気持ちは「まぁいいかな」で。

それが本気になったのは、今この瞬間、君の泣き顔が可愛過ぎたからで、それで私は自分の性格がねじくれ曲がっている事を改めて認識した。

いや、曲がっている事はどうでもいい。これは単なる責任逃れの開き直りでは無いし、受容出来ているなんて高尚な話でも無くて、もしかしたら脳に欠陥があるのかもと中二病っぽい事は考えてみるけれど、そんな事は本当の本当にどうでも良くて。

それよりも、君の泣き顔の何とキュートな事か!

何も言わないまま押し倒すと、多少の抵抗をしながらも結局は私の言いなりになる君があまりにも愛らしくて、私は今まで感じた事の無い高揚感を覚えながら、半ば無理矢理に君を自分の中に押し込んだ。

頬を伝うキラキラを舌で掬って、眉間に寄った皺にキスをして、そうする度に君の口から漏れ出る嗚咽に呼応するように鳥肌が立って。

脳の中で何かが大量に分泌される音を聞きながら、私の喉は獣のような声を出す。自分の見た目を整える事なんてどうでも良くて、ただ本能に揺さぶられるがままに君を貪って、なのに私に組み敷かれてぐしゃぐしゃになっているその顔がゾクゾクするくらい愛しくて、気が付くと私の口は愛の言葉を繰り返していた。

「浮気してるくせに!?」

そう吐き捨てるように言いながら再びあふれ出た涙を見て、私はやっとそれは単なる誤解だと説明するのを忘れていた事に気付く。

君を失いたくない。けれど、私が浮気なんかしていない事を知った君は、そして私が本当に君を好きになってしまった事を悟った君は、きっともう泣いてはくれないのだろう。どのみち、私は君を失うんだ。

そう思ったら急に酷く悲しくなって、でも、自分の胸に落ちてきた涙に戸惑いながら「泣かないで」と悲しそうに言う君の声が心地よすぎて、私も君と一緒に顔をぐしゃぐしゃにしながら、もう何度目かも分からない絶頂に達した。




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