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「いぬじにはゆるさない」本編全15話、番外編3話

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私の処女作、「いぬじにはゆるさない」のまとめです。本編全15話、あとがき、番外編3話。
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2020年6月の記事一覧

いぬじにはゆるさない 第12話「ウォーキング(後編)」

「俺は女子アナと結婚する。」 友人の門田(もんだ)こと『モンちゃん』は、ちょっと危ないヤツだ。 基本的にはムードメーカーの愛されキャラなのだが、大体二年に一回の頻度で突発的に『やらかし』をする。 二年前は、スペイン語なんか一切話せないくせに「スペインで通訳者になる!」と言い出した。そして会社まで辞めてスペインに渡ったものの、わずか五日で返ってきたのだ。片道に丸一日かかるらしいので、実質三日だ。 そして今回は、どうやらコレらしい。 「絶対、女子アナと結婚する。」 二

いぬじにはゆるさない 第13話「脱皮」

※注意※ 初めての方、 また、前回の12話までをお読みで無い方は、 本編の前に引き返すようお願いいたします。 ↓各話一覧はコチラ 『真実』や『人の気持ち』というのは、一体、どこまでを知れば良いのだろうか。 そして、どこまで知る事が許されていて、どこまでを受け入れるべきなのか。 生きていれば知りたくも無い真実を突きつけられる事もあるし、勇気を出して開けた扉の先に希望が待っている事もある。けれど、相手があっての話ならば、無理に扉をこじ開けるのは問題だ。それが功を奏す

いぬじにはゆるさない 第14話「蛍」

きっと私は、心のどこかで期待していたのだ。私の勘が大外れで、初めてのメールが届いた時のあのやり取りのように彼が笑ってくれる事を。 「あんた面白いこと言うね」、と。 未来のある関係だなんて、最初から思っていなかった。単なる好奇心で立ち寄っただけの場所だ。充分楽しんだら、荒らさずそっと去るのがルールだろう。 なのに、彼の心の中にある一番繊細で柔らかい部分を無理矢理剥き出しにして、不用意に外気に晒(さら)してしまった。それも、ただ私の答え合わせという自己満足のために。 彼の

いぬじにはゆるさない 最終回・第15話「イイジマアキラ」

真面目な真面目なイイジマ君は、苦労人の人格者。 人目を引く高身長のスラリとしたスタイルの持ち主で、そこそこ異性にモテるくせに『ある意味で恋愛初心者』と称される、非常に不器用な大男。 真面目過ぎる人というのは、時としてとんでもない事をやらかしてくれるものだ。 “転勤願いを出した。” イイジマの一言で私達を取り巻いていた幻想世界は吹き飛び、一気に現実に引き戻された。 「……まさかと思うけど、それって私のせい?」 恐る恐るそう質問すると、イイジマは眉間の皺(しわ)を益々

「いぬじにはゆるさない」あとがき

こんな所までお読みいただいているのは、きっと私のtwitterのフォロワーさんで、そしてその中でも相当な物好きの方ばかりかと思います。 このたびは、うめじんたん(ふたごやうめじんたん)のつたない処女小説、「いぬじにはゆるさない」にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 この小説は「実話ベース」としていますが、もちろん実話ではありません。どこまで実話かを明かしてしまうと面白くないと思うので、各自妄想してニヤニヤして下さい。 皆様の励ましがあったからこそ、最後まで