いぬじにはゆるさない 第1話「イイジマ(1)」
「今日、営業先で恋愛トークになってさ。」
イイジマが語り出したのは、食後のデザートがテーブルに運ばれてきたタイミングだった。
車の営業をしているこの男友達は、毎日いろんな場所に出向く。
そして、私にとってのイイジマは、“夕方にそっちの近くでアポが入ってるから、終わったら久々にご飯食べない?“と誘われれば、深く考えずにOKする程度には気心の知れた友人の1人だ。
「社用車を4台まとめて買ってくれるって事で話が進んでたけど、あっちの提示してきた値引率がえげつないの。で、俺が