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満月の周辺

8/27(日)
今日は老人ホームにいる祖母に会いに行った。
母とふたりでホームのエレベーターに乗って5階で降りる。エレベーター横のベンチに祖母がちょこんと腰かけて待っていた。
私たちに気づくと、お客さんって言うから誰かと思った!と言って、面白いギャグを見た時みたいに笑っていた。
前会ったときよりもだいぶ元気そうだ。お化粧もちゃんとしている。
冬ぐらいまで元気がなくてごはんもほとんど食べず寝てばかりだったのだが、春に行った家族旅行をきっかけに突然元気を取り戻したらしい。

部屋のベッドに腰かけて祖母は、預金のことや、家のこと、あれこれと心配していることを母に話し始めた。
母は、何も心配することはない、安心してここにいていいんだよ、と言って祖母をなだめるのだが、しばらくするとまた同じ話を最初から始めるのだった。
家で飼っていた猫のことは、もう忘れてしまっているようだ。
でも本当に忘れてしまったわけではないんだよね、と私は心の中で思った。

8/30(水)
仕事の前に京王ストアに寄った。今日はお弁当を作ってこなかった。
この暑いなか、職場のロッカールームにお弁当を長時間置いておくのは心配だから。
何か傷みにくそうな食べ物を探していたら、パンのコーナーで
冗談みたいなフリスビー大のメロンパンを発見した。

8/31(木)
今日は今月2回目の満月らしい。
最近『Moon』というゲームを思い出していた。
プレステのソフトで、小学生の頃同じクラスで仲の良かったEちゃんの家でよく遊んだ。賢者によって殺されたモンスターの魂を救いながら、世界中のラブを集めるというゲームだった。
BGMにドビュッシーの月の光が流れていて、それがすごく記憶に残っている。

Eちゃんとは当時、交換日記もしていた。日記帳は私が近所のスーパーで買った黄色いノートだった。
私たちは交換日記に、当時好きだったPUFFYのことや、TVゲームのこと、手作りのなぞなぞを書いたりした。
Eちゃんのお母さんは少し厳しい人で、いつもカリカリしていた。
Eちゃんは勉強がよくできる子だった。

ある日、私の姉が中学校から帰ってくると、なぜかEちゃんとの交換日記を手に持っていた。
姉がEちゃんの家のすぐ下を歩いていたら、Eちゃんのお母さんの怒鳴り声とともに交換日記が上から降ってきたのだという。
きっと勉強もしないで交換日記を書いているのを見つかって、怒られたのだろう。
次の日、私は小学校に日記帳を持って行ってEちゃんに渡してあげた。
Eちゃんはすごくびっくりしていたけど、ほっとしたようだった。

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