「おもしろいビジネスをやろう」と無責任なアドバイスをしてくる人たち

どうも、ふっさんです。


僕は23歳で法人の会社を作りましたが、実態としてはアフィリエイトの収益とコンテンツ販売の収益による会社でした。売上で7000万ほどありました。


当時はベンチャー起業家ブームでした。

白シャツに黒スキニーを履くファッションが人気になり、
フリーランス・ミニマリスト・ブロガーなど、
情報発信者も次々と現れてきました。


すると、いろんな起業家や投資家と遭遇します。

当然だけど、23歳で稼いでると言うと「どんなビジネスをやってるの?」と聞かれます。



僕は素直に「アフィリエイトをやっています」と言うのですが、、

それを言うと、露骨に退屈そうな顔をされるのです。

つまんねーなこいつ、という無言の圧力を感じる。


実際にそのときは「おもしろい事業をやるべきだ」という雰囲気が、SNSの起業家界隈には蔓延していました。


利益だけを取りに行くアフィリエイターという人種は、ヒエラルキーが最底辺です。

その社会圧がコンプレックスになっていたときもあります。



そして、そのコンプレックスが積もりに積もった結果、タピオカブームに乗じてタピオカ屋をオープンするという奇行に出てしまいました。


いま思えば完全にアホですが、、

お店をオープンしたてのときは大変気分が良かったです。


雑誌から取材がくるわ、ブロガーから取材依頼がくるわ、タピオカ屋やってるって言うだけで色んな経営者を紹介されるわ。


これがおもしろい事業をやることの大きなリターンか。

まじですげえなって思いました。

乾いていた承認欲求が、いまだかつてないほど満たされました。



ところが、いざブームが去ってしまうと、「おもしろい事業をやろう!」と言っていた人たちは、みんなこぞって掌を返します。


え、タピオカやってるの?
いま結構大変なんでしょ?
コロナ大丈夫?

みたいな、憐れむような目をしてくる。


そんな「おもしろいことやれ」と言ったアドバイスをしていた人たちは、ちゃっかりと株式投資で利益をあげていたり、仮想通貨をコツコツ買っていたりして、確実に資産を増やしています。


僕がお世話になっている投資家も、投資の相談をしようとすると早々に話を切り上げ

「若いんだからもっと挑戦しよう」

というアドバイスをくれます。


その投資家は、若手のベンチャー起業家に大変尊敬されている方です。僕も尊敬しています。

ただ、裏の顔は金融商品への投資です。

海外の年利の高い案件に、まとまったお金を投げるだけで、そこから毎月300万〜500万近い配当がもらえる。

しかも、その元となるお金は仮想通貨でバブル的に増やしたものです。

さらに、その元となるお金は、事業を作って売却したことによる利益です。


そしてその投資家の方はいま、好きなお店を開いたり、海外の不動産を買ったり、有望な若者に出資して勉強したりと、おもしろい事業ばかりをやってる。


その事実を知ったときに悟りました。


「おもしろい事業をやろう」というアドバイスは、あえてネガティブに捉えるなら、自分の代わりにおもしろいことをやってみて欲しい、つまり俺の代わりに実験台になってくれ、という意味なのだと気付いたのです。


別にそのアドバイスが悪いことだとも思いません。


資本主義である以上、会社の持ち主は、株式を持つ投資家です。

若手起業家は、彼らから出資を得て、知見を借り、会社を伸ばして投資家に得た利益を返していく。

そういう役割分担なのです。


だから、金銭的なリスクは投資家が背負うから、最前線で戦ってくれ、と。


株式会社の始まりはオランダの東インド社ですが、その会社は、現金を持っている貴族たちが船乗りに出資して、大陸を見つけてきてくれ、というものでした。

冒険家たちは貴族からお金を受け取り、命懸けで大陸を探しにいきます。

文字通り命懸けです。

当時、地球は丸いと思われてなかったし、外の世界は崖のようになっていて、海の果てに到達すると奈落に落ちると考えられてました。


つまり本当に死ぬわけなので、いまの起業とは厳しさの次元が違いますね。


資金調達をするというのはまさにこれくらいの覚悟が必要だったのです。


その本質に適ってるので、投資家が若い人に「おもしろいことをやれ」は、アドバイスとしてとてもクリティカル。



そして、投資をする側にまわった人たちは、たしかに最初はリスクを背負っています。

いまと違ってインターネットもアフィリエイトもなかったから、資本金を用意するだけで凄く大変な時代だったはず。


その時代に勝ち上がり、富を獲得し、経済の成長とともに富を増やし続けてきた。

だからこそ、若手に出資してアドバイスをする権利があるのです。



けど、問題点は、その表面だけを鵜呑みにしてしまうことです。

「おもしろい事業をやろう」というアドバイスを間に受けて、いきなりおもしろい事業をやると、無事に死にます。


おもしろい事業は、超上級者の起業家がやることなのです。

10回打って1回あたるかのレベル。


ベンチャーに投資してリターンを得るエンジェル投資は、センミツの世界と言われてます。

1000回打って、3回あたれば良いほう。


逆に言えば、997回は失敗するということです。

それだけ屍の山があり、挑んで討ち死にしていった人たちは存在すら忘れられます。


YoutubeやSNSの情報にも要注意です。


おもしろい事業をやってる人は目立つし、メディアにもガンガン取り上げられます。

イグジットに成功してご意見番にまわった人たちからチヤホヤされる。



すると、自然とそっちが正解だと錯覚してしまいます。


おもしろい事業をやらねば・・・・

という気持ちになってくる。


自分がいま打ち込んでいるビジネスに対してコンプレックスを感じ始めたら黄色信号です。


アフィリエイトやコンテンツ販売といった、貪欲に利益を取りにいくだけの活動はまったく注目されず、ともすると「お金目的の情報商材屋」という烙印を押されることすらあります。


でも、、

ここからは僕の意見ですが、別におもしろい事業を無理してやる必要はないと思ってます。


というか、どれだけおもしろいアイデアを持っていても、利益が出ていなければ、それは商売の本質からズレています。


商売の本質とは、利益を出すことです。

起業家も投資家も、貪欲に利益を出すことを最優先に持ってくるべきであり、「おもしろい」という要素は二の次でいいのです。


そして、利益を出しまくって、儲かりまくるビジネスこそが「おもしろい事業」に進化するのです。


逆に言えば、利益が出ていなければ、ビジネスは苦しいものになる。



だから、もし若くて勢いのある後輩が「起業したいんです!」と言って目の前に現れたら、僕がするアドバイスは「地味で利益の出るビジネスをやれ」です。


そのアドバイスは、若い才能を潰してしまうアドバイスかもしれません。

日本の技術革新を遅らせるものかもしれません。

つまらねえこと言う老害だな、と思われるのかもしれません。



でも、正直、僕の周りでも、起業家ブームにあてられておもしろいことをやろうとしてた人たちは、いま本当にキツイ思いをしています。


ブームが去って、資金調達が難しくなり、会社を畳み、転職を繰り返して、コツコツと給料をもらって暮らしています。


そんなの、夢がないじゃないですか。


おもしろいことをやれ!の圧力にやられて、謎なリスクを背負って、魅力的なビジネスの世界に絶望して欲しくない。


そして、僕もそんな無責任なことを言う人たちに消費されたくない。

若い時間は限られていて、そう何度もサイコロは振れないからです。


だから、無責任な「おもしろいことやろうぜ」の意見は、無視することに決めています。


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