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核融合ロケットの研究(8)/ single vs. multi-coils

図1レーザー核融合ロケット概念図/ IHI伊勢さん提供
図2断面図

それにしてもキャッチ画像・表紙の図のネタ切れです。どうしても図がボケる。
 
 VISTAもそうですが、我々の提案の概念図を図1に示しますが、形状は同じものです。図2の断面図に示しました通りに、一つのコイル(SCM)を採用しています、こちらの方が、軽く、ある程度の推進効(~65%)が得られるからです。
SCM(超伝導)コイルを用いると核融合中性子(それと構造材との反応によるガンマ線)の遮蔽材、中性子による発熱を廃棄するためのヒートパイプなどで、どうしても重くなります 。
(断面図から分かるように、船体構造物は、この遮蔽材の後方、影の部分に置くことになります。)
 もちろん、コイル数を増やして、効率を上げること(~80%)も考えられます。ただし、それだけ、遮蔽体の数も多くなりますので、重くなります。推進効率向上と質量増大の兼ね合いです。それと、どのくらいの核融合エネルギーに対処するかにもよると思います。 実際に、多数コイル(multi-coils)で検討されているものは、

Pulsed fusion space propulsion: Computational Magneto-Hydro Dynamics of a multi-coil parabolic reaction chamber    Gherardo Romanelli , *, Andrea Mignone , Angelo Cervone
が有ります。解析には、MHD (電磁流体)codeを使用。結果として、コイルの間からプラズマが抜けたりしていますので、(Fig.6) 磁気ノズルとして上手く機能したのかは疑問。コイル配置は、
Z-Pinch Pulsed Plasma Propulsion Technology Development Final Report
R. Adams, et al. (Adamsさんは、今はPuFFを研究中)
からの採用です。このレポートで、構造計算もされているようです。コイル8個。

図3multi-coils


図4磁気ノズルでのプラズマ挙動・概念図


図5 2個のコイル/Sakaguchi

我々も随分前に、Sakaguchiくんと検討しました。図5を参照。
Thrust Efficiency Calculation for Magnetic Nozzle in Laser Fusion Rocket
http://art.aees.kyushu-u.ac.jp/research/LFR/lfr-publications.htm

一個目のコイルの位置を固定し、2個目のコイルの位置を変えて、推進効率をチェックしました。結局、2個目は、プラズマの真上に置くと良いらしいことが分かりました。

Control techniques of thrust vector for magnetic nozzle in laser fusion rocket /Kajimura
論文中のFig.4にあるように、 推進効率の最大値は、78% 、一個だと65%程度。

さらに増やすには、ヒューリスティックheuristic/発見的な方法(自分で勝手に付けているが)で、検討するのも一案。坂口くんの2コイルシステムから、少しずつ増やしていく。
コイルを増やしたことによる、質量増加と推進効率増加の効果を調査しながら。随分前に四個のコイルを提案しました。放物線状に配置し、左二個は、カスプ状に(つまり電流を反対方向に)して、コイル間からプラズマを排出。そうすると軸状に流れるプラズマがなくなり、左の壁が防護される。
右のコイルは、プラズマの真上に置く。
普通は、放物線状にコイルを配置し、焦点にプラズマを置いて、磁力線に沿ってプラズマを排出しようとするがなかなか上手くいきません。プラズマの動きが、放物線状ミラーの反射光線のように単純ではないのです。


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