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核融合ロケット研究(4)/磁場閉じ込め方式

 前回までは、レーザー・慣性核融合ロケットについて書きましたが、公平を期するために、磁場閉じ込め方式についても触れておきます。どこから始めるかですが、タンデム・ミラー方式のロケットについて紹介する方もいますが、今は、この方式の研究を行っているところを私は知りません。ただし、この方式では、磁力線が元々開放系になっていますので、プラズマをそれに沿って噴出し・漏れさせ、推力とする事ができる利点があります。漏れすぎて閉じ込めが悪くなるのは問題ですが。また、ST(spherical torus)方式のものは、参考文献2)で簡単に紹介しました。

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上の図は、概念図。こちらは、磁力線を工夫をして、閉じ込め性能を悪くしなくて、プラズマを有効に噴出させる必要があります。

最近、再び注目されているのは、FRC(Field Reversed Cofiguration: 逆転磁場配位)方式によるものです。

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黒の線が電流、これにより緑の閉じた磁力線が生成される

この方式の一つ目は、以下の参考文献5)を参照ください。D3He燃料使用。図1参照

図1Direct Fusion Drive(DFD) 概念図

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もう一つは、MSNWと呼ばれるもので、参考文献6)NASA reportを参照ください。こちらの方は、パルス型なので、我々の磁気ノズル方式と近く、彼らと情報交換を試みています。
       図2MSNW方式 水色のFRCをmetal(Li)linerで圧縮

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     図3MSNW エンジン部概念図  全体図は表紙図を参照

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 いずれにせよ、どの方式でも良いから、早く核融合の点火・燃焼を実現し、核融合反応の実用化を行ってほしい。もちろん、ベンチャー企業がやってもOKです。

5) A direct fusion drive for rocket propulsion
Yosef Razin, et al.
6) The Fusion Driven Rocket: Nuclear Propulsion through Direct Conversion of Fusion Energy : John Slough, Anthony Pancotti, and Akihisa Shimazu


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