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関係人口、はじめました。(Vol.1)

〜なぜ官民連携ビジネスマッチングが地方に悲劇を呼ぶのか〜


■関係人口って何だろう。

ここ数年自治体周りの関係者が右往左往している「地方創生」。地方自治体とともに歩んだ長年の仕事の中で、こんなに様々な領域の民間企業が自治体や地域に関心を持つことになろうとは想像だにしませんでした。

この地方創生の一環で国は「交流人口」と「定住人口」を増やす方針を打ち出したのは誰もが知るところです。で、毎年地方創生交付金を1,000億円あまり用意し地方に撒いて取り組んで来たところ、成果がほとんど上がらずという残念な状況に。

 それもそうだよな、と思います。

 これは東京にずっと住んでいる人に「もし地方への移住を勧めたら?」と考えたら自ずと答えは出ようというもの。仕事関係や子供の学校関係者との付き合い、日々の生活などでの周りとの関係性を全部ゼロリセット。家も暮らしも引き払い、知り合いは誰もいない、仕事も探さなければならない、そして土地勘も全然ない場所へ引っ越す。こうした行動に踏み切るには余程強い動機がないと誰もが躊躇するのではないでしょうか。都会から移住してきて欲しい地域の側がどんなに観光名所や子育て支援策などをアピールしても、人はホワイトボードのマグネットよろしく集中しているところからまばらなところにぱちぱちっと動かしゃいいというものではありません。人は生身で感情がある生き物。感情と表裏一体となっている暮らしのルーティンや前提はそう簡単には変えられないものです。

そうこうしているうちに、地方創生の飛車角ともいうべき交流人口と定住人口がいつの間にやら影が薄くなり、替わって出てきたのがこちら。

「関係人口」。

総務省のサイトにある「地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと」とされています。いまいちイメージが湧きませんね。でもサイトを見ていくとこんな図がありました。なるほど、こういうことか。

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「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。

つまり「必ずしも移住しなくても地域づくりの担い手となればいいよ」というわけですが・・・って、ちょっと待った!

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