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住民の声を聞いてまちづくりしようと思ったけど、進まないのはなぜかを考える。

なぜタイトルの問いに至ったのか。

 ある地域で住民の声を聞くワークショップを行なった。その声を実現させたいと考えた若手住民有志が集まった。色々と夢を描いて有志で話し合って地域を巻き込んで活動を始めた。が、なんとなく前に進まないので、知恵を貸して欲しい。ということから、2年ほど一緒に活動してます。最近はご無沙汰になってますが。住民の地域の困りごとや将来の不安の声があって、解決活動に自分の力が活かせそう。なんなら気持ち小遣い稼ぎに繋がれば最高。と、いう思惑もあったそうです。
 で、2年に渡り私も話し合いに参加して、何がどうなって話が進まないのかをずっと考えてきました。都度都度、議論を整理したり、助言をするのですが、3歩進んで2歩下がる。いや、3歩下がる。あれ、4歩下がった、という感じ。
 なぜだ。なぜ話が進まないのか?
 観光まちづくりの話も済んだので、この問いへの論文を読み始めた訳です。

今回の論文に至るまで

 今回は、「あいまいな状況下における意思決定ーゴミ箱モデルに関する基礎考察ー」で、木全晃周南公立大学教授の1999年の院生時代の論文です。
 話し合いが進まない理由を調べていたら「ゴミ箱モデル(Garbage Can Model)」なる変な理論を見つける。何度も話合いしてると参加者も変わるし、その都度議論の流れも変わるし、だから物事が決めらない、と、いうことを考えるものらしい。面白そうなので読んでみたら混乱する。
 Cohen(コーエン),March(マーチ)、Olsen (オルセン)たちが1970年代に言い出したものらしく、色々探すと古いのから新しいのからワラワラ出てくる。コーエンとマーチ、マーチとオルセンのそれぞれの組合せが登場したり、年数が違ってたりで、あれ?この関係よくわからんとなってしまう。その後の発展させた内容を読んでも出だしでつまづいてるので混迷が深まってしまう。そもそも英語が苦手なので日本語論文しか読めないし、Google先生に翻訳してもらっても読みづらい。
 結局、しばらく放置。
 しかし放置プレイは意外と効く。特に今回は観光まちづくり論文を読む縛りを自分に課した勢いを利用して、改めて資料検索をしてみて引っかかった論文です。前にも読んだような気がするのですが、よくわからなかった。それは前提知識量と論文を読んで自分に引っかかる部分が不足してたんでしょう。時間を置くというのは有効な手法ですね。

本論文の内容

 あいまいな状況で組織の意思決定てどうよ、と、いう内容に関する議論を整理し、ゴミ箱モデル以外のものにも触れています。1972年のコーエン、マーチ、オルセンによるゴミ箱モデルを要約してます。
 ゴミ箱モデルとは、「組織化された無秩序での意思決定を描写するモデル」だそうで、問題、解、参加者、選択機会の四つの項目で意思決定の課程を考えよう、というものです。会議が次々開催され、参加者がランダムに参加し、意見が議論の場の雰囲気に流されて結論が出たり出なかったりする様が、ゴミがゴミ箱にポイポイ投げ込まれ、ある程度溜まると捨てられるのと似てるので、ゴミ箱理論と名付けたそうです。
 そしてこの論文でいちばん助かったのが、1972年にコーエンら3名でゴミ箱モデルを発表し、その後、マーチとオルセンの2人で1976年にゴミ箱モデルの事例研究を発表していたということ。以前論文を読んで、1972年だったり1976年だったり、コーエンが居たり居なかったりした理由が理解できました。笑。すごいスッキリした。

しかし疑問は残った。

 ゴミ箱モデル至る議論の流れはこの論文で整理できました。ありがたい。しかし、今ひとつゴミ箱モデルが具体的にどういうものなのか他人に説明する、あるいは自分がみている現状に使おうとするほど腹落ちできないことに気づく。うーむ、基本は抑えたが、もう少し素人にも噛み砕いたものがないかと、思って同じ時期に検索した論文を並行して読んでみたところ、おや!と、なる。
 ちょうど時間となりましたので、次回はこちらの内容をご紹介します。今回の論文は以下で読めます。

https://meiji.repo.nii.ac.jp/records/9356


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