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柏市議会におけるハラスメント防止の取組について#1 「これから議論を重ねていきます」

検討会初日


令和4年12月23日(金)、「ハラスメント防止のための条例制定に向けた検討会」第1回目の会合が開かれました。この検討会は議長の諮問機関として新たに設置されたもので、柏市議会において、議員同士または議員から職員等へのハラスメントを防止するための条例制定を視野に入れながら議論を進めていくことを目的としたものです。同日、私が座長として選出され、これから検討会の議論を舵取りしていく立場になりました。

検討会初日の会場。対面とズームのハイブリッドで開かれました。

地方議会をご存じの方にはご理解いただけると思いますが、日頃の私たちの議論は執行部に対する質疑や質問が中心に行われることがほとんどで、議員間での議論はあまり多くありません。今回のハラスメント防止で考えると、例えば執行部がハラスメント防止条例のような議案を議会に提案し、その議案に対して質疑を行うという形が一般的ではないかと思いますが、検討会の場において議員間で一から議論を積み上げていくというのは正に筋書きのないストーリーになります。
 私にとってこの記事が初めての投稿ですが、この筋書きのない柏市議会の取組を、私が見たまま感じたままに記事にしたいと考えました。地方議会の取組が見え難いというご批判を多くいただきます。また見えたとしても「議論の結果」が中心ですので、ぜひ「議論の過程」を見ていただければと思います。多くの方々にその必要性をご理解いただけるハラスメント対策をテーマとして、よりわかりやすくお届けできるように努めていきます。

検討会設置の背景

「ハラスメント防止のための条例制定に向けた検討会」は円谷憲人議長から設置の提案がされたものです。令和4年第4回定例会招集日の本会議閉会後に、内閣府男女共同参画局が作成した「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」を活用した議員研修会が開かれ、柏市議会としてこの問題に積極的・継続的に取組む方向性が出されたことが検討会設置の背景にあります。また全国的に地方議会議員による目を覆いたくなるような事例が報道されることも設置の後押しになったかもしれません。

内閣府男女共同参画局「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」より引用

この教材は内閣府男女共同参画局が全国の地方議会議員から収集した事例をベースに作成しているものであると説明がされており、特にセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの事例により構成される30分強の動画です。他議員がどのような感想を持ったのかはわかりませんが、私自身の研修会後の正直な感想は、平たい表現を用いれば「これは100%アウトでしょ」というような悪質な事例がほとんどであるというものでした。皆さまにも一度ご覧いただければと思います。
政治分野におけるハラスメント防止のための取組 | 政治分野における男女共同参画 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)

同教材より引用。先輩議員が後輩議員に対してお酒を強要する場面です。

もちろん、このような事例が実際に起きている現実をしっかりと直視した上で対応策を講じていく必要があることは言うまでもありませんが、気が付かないうちに相手に不快な思いをさせていたり、またこの研修教材が「議員同士」及び「有権者から議員」という事例で構成されていたことから、特に議員という立場で市役所職員や議会事務局職員の皆さんに対して高圧的ととられるような言動がないかという点を市議会としてしっかり議論していく必要があると感じました。

意外な意見

このような背景から議会運営委員会の場で議長提案という形で検討会の設置が求められました。私も私が所属する会派も議長提案に全面賛成の立場でしたが、意外にも他会派からは慎重(?)とも取れる発言が出されました。私が記憶している範囲で出された主な意見は以下の通りです。

  • この議論よりも先に行うことがあるのではないか

  • 条例を制定する必要性があるのか

  • 条例の対象は議員だけなのか

どれも真っ当な意見だと思いますが、日頃から人権尊重や男女共同参画等の必要性を強く主張している政党・会派からこのような意見が出されたことは少し意外に感じられました。身内からのお叱りを承知で言えば、このような議論に後ろ向きなのは私が所属する自由民主党ではないか、というのが皆さまの一般的なイメージだと思います。あまり深堀りしませんが、これも政治の一面であると考えます。

今後の議論

検討会初日に戻ります。正副座長の互選を行い、いよいよ本格的な議論ということになりました。座長用の次第書は当日の成り行きを見ながらフリーに進行するような内容でしたので、まず検討会の全メンバーに1人ずつ発言を求め、柏市議会におけるハラスメント防止の取組に対する各自の見解を話してもらいました。「民間と比較して相当遅れている」、「傍観者のような対応をしたことがある」、「自分の言動がハラスメントになっていないか考えた」、「実効性のない議論は意味がない」、「あまりルールを作りすぎると萎縮する」等々、生の意見が多く出されました。全メンバーの発言から真摯に取組んでいこうとする姿勢が共有されていると感じたと同時に、各メンバーがこのような意見を持っていながら、これらを具体的な仕組みづくりにつなげていくことが出来ていなかった点は、特に私を含めた期数が長い議員が大いに反省すべきであると痛感しました。
 これらの意見を踏まえて、私から「現状把握・分析」と「仕組みづくり」の2本柱での議論を進めてみてはどうか、という提案を致しました。後で考えればもう少し上手な表現があると思いますが、取り敢えず検討会当日に使用した表現でご説明します。

現状把握・分析

まずハラスメントをしたとされる当人にその認識が無い事例が多いなかで、ハラスメントの類型や基準を具体的にしていく作業が必要です。また議員によるハラスメントは表面化し難い可能性を考慮し、市役所職員、議会事務局職員、及び議員に対して第三者にお願いする形でアンケートを行い、そこから現状を把握・分析することが不可欠であると感じました。議員が関わらない第三者性の担保を条件として実際にこのようなアンケート調査が可能であるのか、また可能であればどのような形で実施することができるのか等について、次回会合までに調べることになりました。ハラスメントの種類としては、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを中心に議論することを確認しました。

仕組みづくり

今回の検討会は対策条例制定を視野に入れたものですが、それ以前に「相談窓口が無い」、「何か具体的な事例が発生したときに対応する仕組み自体がない」、「議員のハラスメントに対する意識が低い」等、すぐにでも取り組むべき課題には同時進行で対応することが重要であることは言うまでもありませんので、ここは別途適切な方法で対応策を考える必要があります。他自治体で制定されている条例を読むと、今後柏市議会が議論すべき内容が多く含まれていることがわかりましたので、各条例の構成をクロス表のような形で一覧表にまとめる作業を議会事務局にお願いしました。また議論を深めるためには専門家の招聘も不可欠ですので、この点も次回までに方向性を決められればと考えています。

このような取組を進めていくことは私たち議員自身に厳しい結果を突き付けることになるかもしれませんし、もしかしたら座長である私に最初のブーメランが刺さる可能性も否定できませんが、柏市議会としていつかは取り組まなければならない課題ですので、これを機にこの検討会でしっかりと議論していきます。

次回の会合は令和5年1月23日(月)を予定しています。

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