ITV出向2年間を終えての振り返り

人生2回目のnoteです。昨日4/4(土)、遂に1日で新たに確認された陽性の新型コロナウイルス感染者数が3桁を超えた東京。いよいよ迫るオーバーシュート、医療崩壊に恐れ慄きながら書いてます(本日時点でフルリモート11日目突入)。

ITVへの出向2年間の振り返りnoteです。もしかするといつか誰かの参考になるかもと思い、以下のことを書きます。

1.VC業界はどんなところか?

恐らく日本国内のVC/CVCの数は、ざっくり400社前後くらい(アクティブ/非アクティブどちらも含め)と、業界規模は小さく、各社平均で10人以下のところが多い印象です。ただ中にはジャフコなどの規模の大きいVCもあります(全体で100人近くはいそう)。ですが、基本的にVC各社ともに非常に少人数で運営しているところが多いです。(ITVは、私がいた時は投資部8名、管理部3名の11名体制。現在は10名)

なので、1年もこの業界にいると自ずと業界内の顔ぶれも大体わかってきます。そんな中で、同世代やどことなく感覚の近い人たちと繋がっていくことで横の繋がりが出来ていきます。他の業界でもあるような会社の垣根を超えた繋がりが非常に強い業界だと思います。(実際、そういった繋がりから投資に至るケースも多いです。当然、優良案件が広く出回ることはなく、一部の投資家の間のみで独占的に投資されるケースも多いです。カッコよく言うと"クラブディール"と言うらしい)。
また、20代から50代まで業界にも色々な世代の方がいますが、VC業界の良いところは、世代・所属に関係なく「VC業界全体で先輩が後輩を育てようという意識が高い」ことだと思います。社外の方で、忙しそうな方でも「会って下さい」とお願いすれば、意外と時間を作って会ってくれる方が多いです。もちろんその後も定期的に会ってくれるかは初回の内容次第だとは思いますが、社外にもメンターを求めやすいのは、VCだけでなくスタートアップも含めたベンチャー業界全体の良いところだと思います。

2.VC業務に求められる経験/スキル

投資業務は未経験の状態でITVに出向しましたが、結論、何とかなります。
ざっくり以下の考え方が出来れば基本的には大丈夫なのでは無いかと思いますし、情報収集が上手い、特定の業界に詳しい、人脈が豊富、とかはあくまで付加価値だと思います。(ただし、そういう付加価値が無いとそもそも投資の相談がなかなか来ない、という側面もぶっちゃけあります)

①投資検討するスタートアップのビジネスモデル/業界を理解し、
②現時点で考えられる事業リスクを洗い出し、
③顕在化した時に備えて事前に(契約書等で)リスクヘッジし、
④どんな条件でいくら投資する機会なのかを理解・交渉し、

⑤EXIT(IPO/M&A)でどれほどのリターンが出る可能性があるかを理解し、
⑥リスクを取ってでも投資する価値があるかをジャッジする

以上のような整理が出来れば、投資業務の経験が無くてもベンチャー投資に対する大枠の考え方としては十分だと思います。
あとは、いかに有力・優良(≒ローリスク・ハイリターン)な案件に投資する機会を見つけられるか、ということで、付加価値である人脈の豊富さや、特定の業界への詳しさ(例えば医療系スタートアップの起業家は、医療業界のビジネスを目利き出来そうな知見を持った投資家/VCに投資して欲しいと考える)などがこういう案件発見(ソーシング)に活きてくるのではと思います。

ただ、リスクやリターンに対する考え方は、VCによってもちろん違います。(アイデアしかない段階の起業家に投資するなど「時間軸的なリスク」を取るVCなのか、レッドオーシャン(競合多数)の市場に対して新しいプロダクトを出すような起業家に投資するなど「市場的なリスク」を取るVCなのか、一方で、一件あたりの投資金額は抑えつつもバラマキ投資により、打席数を増やしてヒットの数を稼いでリターンを狙うスタンスのVCなのか、打席数は絞る代わりひたすらホームラン狙い、一件あたりの投資額も増やすことでリターンの絶対額を大きくすることを狙うスタンスのVCなのか、など。色々な投資スタンスのVCがあります)

現在私が所属しているXTechVenturesでは、メインはシード・アーリーのスタートアップに投資していますが、ミドル・レイターへの投資実績もあります。バラマキ投資ではなく、ある程度の厳選投資を行いつつリターンを狙っていくスタンスです。ファンド自体の歴史は2018年に始まったばかりですが、昨年2019年末には、投資先のスペースマーケット社がマザーズへの上場を果たしました。
東京証券取引所マザーズへの上場に関するお知らせ

一方ITVも、同じく厳選投資を行いつつリターンを狙っていくスタンスのVCです。2000年からVC投資を行っており、過去EXITした投資先には、メルカリ、ラクスル、クラウドワークス 、スタートトゥデイ(現ZOZO)、などがあります。

VCの投資スタンスの違いは、主に以下の要素によって影響されます。
・ファンドサイズ
・ファンド組成状況(組成直後か、数年経過しているか、など)
・投資対象領域
・リード投資有無
・投資対象ステージ
・投資担当者の得意/注力領域
・市場トレンド
・投資目的(フィナンシャルリターン(利益)か(親会社等との)事業シナジーか)

この辺りは、以下のVCリストにある「月間投資件数」や「投資対象領域」「ステージ」「属性(ex:事業会社系であれば、そのファンドが属する事業会社とのシナジー狙いであることが多い。独立系は一般的にフィナンシャルリターン狙いが殆ど)」を見れば、各主要VCの業界内での大まかな相対的「バラマキ度合い(=厳選度合い)」や「投資スタンス」がわかるので、参考にしてみて下さい。(まだ120社ちょっとの掲載ですが、とりあえずはこのくらい抑えていれば十分です)

また、投資先に対して価値を出していくためのスキルについても、あった方が良いものはキリがないと思いますが、「事業会社での事業開発・運営経験」「特定業界の知見・人脈」「資金調達ノウハウ」「上場マーケットに対する知識」などは、非常に役に立つ経験/スキルだと思います。コンサル的なアプローチで、事業を俯瞰した上でアドバイスできるスキルも同じく役に立つと思います。実際、ITVで支援していた投資先についても、自分の知見や経験の無い領域で事業展開している投資先も多数ありましたが、そういう場合には、やはり汎用的なスキルとしての事業開発経験や、資金調達ノウハウ、上場マーケットの知識、コンサル的なアプローチが有効だと感じた場面が多くありました。

3.VC業界の魅力

色々と書きましたが、未経験からこの業界に足を踏み入れさせてもらうことができて、非常に幸運だったなと感じています。VC業界は、起業家・投資家(VC/CVC)どちらも非常に熱い人が多く、仕事・プライベート関係なくその先も長く関係を持ち続けたくなるような人達ばかりですし、投資したスタートアップの事業がどんどん成長していくその過程に併走し支援できることは、リターン云々という部分とは関係なく、本当に代えがたい貴重な経験で、他の仕事では得にくいこの仕事ならではのものだと思います。

最後に

私は、現在XTechVentuersというVCにいます。投資の御相談などはいつでもお待ちしております。
XTech Venturesは、主にシード・アーリーステージの企業へ出資することが多いファンドですが、それ以外のミドル・レイターでの投資実績もありますので、ぜひお気軽にご相談頂ければと思います。
Twitter、Facebook等どこからでも結構ですのでご相談下さい。

現在、「新規投資は引き続きアクティブ」ですので、ご連絡ぜひお待ちしております!(面談はZoomで実施しています)

■Twitter:https://twitter.com/furukawa_vc
■Facebook:https://www.facebook.com/kei.furukawa.10
■XTechVentures:https://xtech-ventures.co.jp/

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また、2年間出向させてもらっていたITVも、現在は新規投資アクティブですので、ご興味ある方は私にご連絡頂ければお繋ぎしますし、直接以下メンバーにご連絡頂ければ、ほぼ間違いなくレスがあると思います。(若干クセ強めの2名が即レスするはずです!笑)

■外苑前の黒和尚こと宮内:https://twitter.com/RyosukeMiyauchi?s=20
■外苑前のわがままBODYこと諏訪:https://twitter.com/ITV_SUWA?s=20
■ITV(伊藤忠テクノロジーベンチャーズ)会社HP:https://www.techv.co.jp/

これ以上コロナが感染拡大しませんように…どうにかピークアウトしてくれ…とは思いつつも、実態としてまだまだコロナ収束の気配が見えないことを考えると、そろそろ本格的にリモート業務環境を充実させておいた方が良いかもしれませんね!
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長文駄文にて失礼致しました。皆様もお体ご自愛下さい。

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