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二の字

 昨年末から時々書いていた二行のなにかを「二の字」と呼んでみることとしました。元ネタは名句


  雪の朝二の字二の字の下駄のあと


です。ちなみにこの句は田捨女の作とされることが多いですが、異論もあるようです。

 同じくらいの長さの二行が「二の字」に見えるかどうかは微妙ですが、言い続けていたらそのうち見えてくるのではないかといい加減に考えています。

 「七ならべ」同様ぼくが自己満足で付けているジャンル名なので、一般化を目指すものではありません。


 そんなわけで、二の字近作。



雪に隠されてゆく街並みに刻まれた
架空の四季に音のない歌がながれる
(2023年12月14日)


ぼくだけが記憶の冬を捨てられなくて
きみはまた新しい歌を覚えたんだね
(2023年12月15日)


雪はやがて壊れる身体を重ねていく
記憶は体温に宿るしかないのだから
(2023年12月16日)


凍えた星が落ちてくる夜だから
それ以上は知らないままでいい
(2023年12月19日)


あなたの歌から満天の夜が降りそそぐ
変わってしまったのはぼくの方なのか
(2023年12月19日)


凍えた街を歩いてきみの面影
忘れることさえ許されなくて
(2023年12月20日)


雪はすべての音を奪い去り
伝えられない想いだけ残す
(2023年12月20日)


初夢は雪の幻想に翻弄されて
ぼくは寂しかったのだろうか
(2024年1月2日)


ただ存在しているだけでいい
冷え切った朝に愛をみつける
(2024年1月8日)


寒さが緩むようなぼくの油断が
きみを深く傷つけてしまったんだ
(2024年1月12日)


きみが送ってくれたことばですら
どこまでも白く汚されるのだろう
(2024年1月25日)


染まり始めたきみの空は
ぼくには眩しすぎたんだ
(2024年1月29日)

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