BTS⑥ 英国紙が、10月のオンライン・ライブをどう伝えたか(その2)
第1弾に引き続き、英国紙 The Guardian の評論記事より、PTDオンラインライブの記事をご紹介。
今回は主に楽曲について、この記事を書いた Katie Hawthorneさんがどんなふうに論じているか読んでみましょう。
closer to a greatest hits
ヒット曲集に近いもの
まずは、セットリストについて。最新アルバムを中心に据えた選曲ではなく、過去に遡って様々なヒット曲を聞かせてくれた今回のライブ。この記事ではこんな言葉で表現していました。
While BTS’ epic album Map of the Soul: 7 would have underpinned last year’s cancelled world tour, tonight feels closer to a greatest hits.
昨年予定されキャンセルされたワールドツアーであればBTSの名作アルバム「Map of the Soul:7」が(選曲の)ベースになっていただろうけれど、今夜のコンサート(2021/10のオンラインライブ)は、ヒット曲集により近いものに感じた。
2021年の夏にようやくARMYになった私にとっては、本当にうれしい選曲でした。Amazon Music の「BTS Best」や、YouTube などで聞いていた人気の楽曲がほぼ網羅されていたからです。
(ちなみに would have 過去分詞で「~だっただろうに」という仮定法過去完了っていう時制を使っています。)
更に、冒頭の3曲については、こう書いています。
On, Burning Up (Fire) and Dope – songs from three very different stages of the South Korean group’s eight-year career.
ON、Fire、そして Dopeは、この韓国のグループ(=BTS)の8年の歴史の中で、3つの全く異なる時期の曲である。
へえー、そうなんだ~と思いつつ、セットリストを発表年別に分類してみました(こういうことして、結構長い時間、仕事の手を休める)。
2015年「I NEED U」「DOPE」「Baepsae(=silver spoon)」
2016年「FIRE」「Blood Sweat & Tears」「Save Me」「EPILOGUE : Young Forever」
2017年「DNA」「IDOL」「Spring Day」
2018年「FAKE LOVE」「So What」「Airplane pt.2」
2019年「Boy With Luv」
2020年「ON」「Black Swan」「Life Goes On」「Dynamite」「Telepathy」「Dis-ease」「Stay」「Blue & Grey」
2021年「Butter」「Permission to Dance」
(wikipediaを始めとする、情報をウェブで公開してくれているARMYの皆さん、ほんとにありがとう!足を向けて寝れません。)
白状すると、「Dis-ease」「Stay」は、コンサートで初めて聞きました。アルバム全部を聞くってことをしなかったからですね。次までにちゃんと聞いておきます!
bleeds beautifully into Black Swan
Black Swanへ美しく移行する
序盤の見せ場が、Blue & Grey から Black Swanへの流れでした。ほんとに美しかった・・。記事にはこうありました。
They (中略) uncover unexpected thematic links: Blue & Grey, a soft, devastating ballad created during the pandemic, bleeds beautifully into Black Swan, a darkly theatrical song about the fear of falling out of love with music.
予想外にテーマが関連していることが明らかになったのは、次の2曲:パンデミックの間に制作されたソフトで破滅的なバラードBlue & Grey が、音楽を愛する気持ちが冷める恐れを描いた暗いお芝居のような歌 Black Swanへと美しく重なり移行していったのだ。
Black Swanってそんな歌だったんだ~。Killin' me nowとか言っているので、物騒な匂いは感じていましたが、改めて歌詞を見てみました。ButterとかPermission to Dance といった2021年の明るいポップな感じとは、全く異なるBTSですね。でも、それがまた、いいです。
heartbreaking closer Spring Day
心がはりさけそうになる締めの曲、Spring Day
最後から2番目の曲だったのが Spring Day。私も大好き Spring Day。記事にはこう書いてあります。
(略) and heartbreaking closer Spring Day, a song fans refer to as the “queen” for its beauty and grace.
そして心がはりさけそうになる締めの曲、Spring Dayは、その美しさと優美さから、ファンが「女王」と呼んでいる歌だ。
新米 ARMY である私には「Queen(女王)」って呼ばれているかどうか定かではないので、ご存知の方、ぜひ教えてください。
ちなみに、ここでの closer は「閉める(締める)もの」。この投稿の最初に出てきた「closer to a greatest hits」の closer は「close(近い)」の比較級で「より近い」。同じ単語ですが、品詞も意味も違って、ヤヤコシイですね。
so often described as a phenomenon
(社会)現象だと呼ばれることが多い
この記事の締めくくりは、ライターの Katie HawthorneさんのBTSへの敬意・愛があふれています。
This group is so often described as a phenomenon: they’ve broken long-held music industry records and smashed the assumption that pop should be in English for it to find global success.
このグループ(BTS)は(社会)現象だと呼ばれることが多い:彼らは、音楽業界の長年の記録を打ち破り、そして、ポップスが世界的な成功を収めるには英語の歌詞であるべきだという通念をぶち壊したからだ。
But to call them a phenomenon also implies that their star power is something of a mystery – and that is not true.
しかし、彼らを(社会)現象と呼ぶことは、彼らのスターとしての力が、何か魔訶不思議なものだと言っているようなものだ。そして、それは真実ではない。
彼らの成功は決して不可解なものではなく、当然至極なものだと、Katieさんは伝えたいのですね。この後、彼女は記事をこう締めくくっています(第1弾の冒頭にご紹介した部分です)。
To watch BTS perform – online, or offline – is to understand the tenacity, talent and passion that has fuelled them to these heights.
オンラインでもオフラインでも、BTSのパフォーマンスを見れば、彼らを高みに押し上げた不屈の精神、才能、そして情熱が理解できる。
というわけで、2回にわたってこの The Guardian の記事を見てみましたが、あ~、ほんとに素敵な文章でした。難しい単語は多かったですが、ARMYの皆さんなら楽しめるはず。ぜひ今一度、全体を読んでみてくださいね。