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6時45分、家長の責務

確か、金曜日。

燃えるゴミの日だ。

今日は2つあるのか。

フィット感などは全く感じられないサンダルを履き、右手左手にはゴミ袋。

自由になるのは頭部のみ。

今の僕は、ゴミを運ぶことしか出来ない男だ。

焦らなくていい。

正面向いて、大きな通りを真っ直ぐ進め。

ゴミ捨てだって、家族を支える仕事のひとつだ。

家族の笑顔を思い浮かべて、胸を張れ。

おや、誰か来た。

小型犬に引っ張られる、ご近所マダムだ。

意識を集中して、距離感を測る。

3メートル程度の完璧なディスタンス。

おはようございます!

挨拶は先手必勝。

上出来だ。

それなりに口角も上がっていたはず。

自己採点するなら85点といったところか。

ん?

挨拶が返ってこない。

新型の突発性難聴か?

いや、違う。

小型犬マダムの頭部は、確かに傾いた。

会釈オンリーでかわすタイプか。

なるほどなるほど。

この小さな町にも、いろんな人が生きている。

正解なんて無い。

考えるな、感じろ。

人生は、答えを探すゲームじゃないんだ。

ほら、ゴミステーションが見えてきた。

僕は僕なりに

金曜日の責務を全うする。

ただ、それだけだ。










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