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ハセノボが流した涙とその未来

CSを逃した秋田ノーザンハピネッツは、ホームでの千葉ジェッツ戦が今シーズンのLASTGAME
富樫、原、金近など日本代表が揃う千葉ジェッツ。前回は外国籍がクックスのみの体制の千葉に7シーズンぶりに勝利したハピネッツ。その試合は、田口、藤永の千葉からの移籍組が活躍。ただ、7シーズンぶりとはいえ、満身創痍の千葉に完全勝利したとは言いがたい白星ではあった。

今回は、ムーニー、スミスもロスター入り。現時点での完全体の千葉ジェッツ相手にどれだけやれるかが見所。

GAME1
とにかくTOの連発。リバウンドが取れない。インサイドが全く勝負にならない。富樫の外のシュートは抑えたが、若手の内尾、小川に外のシュートを決められる。
ハピネッツは、シュートも入らず、TO祭り。ただただ強かった千葉ジェッツ。そして、ムーニーとクックス。

秋田は、熊谷、古川の不調、中山、田口も不発、藤永にいたってはPT3分程度。
だが王の3Pが決まったときは会場が沸いた。ありがとう、王。スリー打てるんだね。君の武器になるよ、きっと。
そして、ここ7試合好調なハセノボ(長谷川暢)。今回もチームTOPの13得点。シンプルな1on1が非常に有効で、どんどんペイントアタックしていく。
あれ、こんなに自由に攻めるんだ、、、と正直驚いた。
試合後の記者会見で「ピンクの服を着て応援してくれる人達が力になる」と発言。
今シーズンのPTの少なさ、起用のされ方を見ると、来シーズンチームに居るのだろうか、と思っていたが、この言葉で「移籍」がぼんやり見えた気がした。
そして、ここ数試合の吹っ切れたようにどんどんペイントアタックしたり、スリーを決めた後の顔は、今シーズン見ることの少なかった「自信に満ちた表情」だった。

GAME2
面白いようにショットが入る秋田。
ことごとく外のシュートが落ちる千葉。
GAME1で取られまくったリバウンドもファイとするようになり、1Qからリードを奪う。昨日に続いて、王のスリーは2本決まり、小栗、田口、赤穂のベンチメンバーが躍動した。2Qから出場したハセノボは早々に富樫にファールをつけたエンドワン。その後も好調を維持。
ハーフタイムを挟んで3Q
ここで秋田が一気に17点のリードを溶かす(溶かすの早すぎだよ)
3Qは7点しか取れなかった。しかもこの7点中6点は、ハセノボのペイントアタックによるもの。とにかく、1on1だけで6点を取りなんとか3Qを持ちこたえ4Qに繋ぐ。(3Qのスターターは責任を取れ)

4Qはお互い点の取り合い。そして残り3秒のザックのシュートが予想を裏切らず落ちたので最終節にしてOT(オーバータイム)へ
CSが決まっている千葉ジェッツブースターはまだ楽しみがあるが、秋田ブースターにとっては嬉しい誤算のOT。
4Q、何故かPTの無かったハセノボがOTのスターターに。
残り3分までどちらも得点無しだったが試合は動いた。
赤穂雷太からのパスを受けたハセノボが放ったスリーが決まり76-73に。
OT1はお互い5点ずつ取ってOT2へ。

クロージングでは必ず古川、熊谷を使ってきた前田HC。
ところが、この試合、残り約2分でコートに立ったのは、田口、ハセノボだった。
そして、この2人がフリースロー、スリーを決め勝負を決める。

23-24シーズンの最終節を勝利で終わることが出来た秋田は30勝30敗の勝率5割に戻してシーズンを終えた。

試合後のセレモニーでMIPに選ばれたのはハセノボ。
名前をコールされ拍手が贈られた時、彼の目からは涙が溢れた。
試合が終わる前からタオルに顔を埋めていた彼は、堪えきれない何かを吐き出すように大粒の涙を流した。
ひとり子供のように泣きじゃくるその小さな選手の隣に寄り添い、肩を抱き手を握り微笑む前田HCとその言葉に笑顔になるハセノボ。
その姿に会場からは拍手ともらい泣きをするブースターがそこにはいた。

インタビューでは、千葉に勝てたこと、その試合でHCから起用されたこと、今季、苦しいシーズンを過ごしたことが語られた。そして、どんなときもエールを送ってくれたブースターに感謝の言葉を述べた。

その後のファン感謝イベント、TVの生放送で「来シーズンは自分はいないが、チームは頑張るから応援して」的な発言がポロポロ出るものだから、ブースターをいちいちザワつかせているハセノボ(オイ)

もう、いいよ、わかったよ。移籍を選んだんだね。だから感謝の気持ちが溢れちゃうし、来シーズンのことも嘘がつけない性格だから、自分はいないんだということが透けて見えてる。

君は秋田に愛されてる選手だよ。

だから、退団→○○チームへ移籍が近々発表されたら多くの人は涙し、落胆するだろう。

能代工業復活の狼煙を上げてくれたハセノボ。能代科学技術高校を強くしようと奔走しているハセノボ。6年間秋田で成長し愛されたPGは、もう1度輝くために大好きなチームを、街を出る決意をしたのかもしれない。

どのカテゴリーでプレーするのか解らないが、シーズン終盤戦でみせた勝負強さ、得点力、持ち前のディフェンス、あのパフォーマンスがB1の千葉ジェッツ相手に出来るのであれば、もう怖くない。
能代工業に飛び込んできたときのように、早稲田大学でチームを牽引してきたときのように、もう1度輝け。

ブースターの前で泣きじゃくるあの姿は、新たなスタートを踏み出す前にハセノボが流してきた涙と同じ。
能代工業をセンターコートに導いた大濠とのあの試合
早稲田大学が優勝候補の大東文化大を破ったインカレ
青森ワッツでプレーしブースターに愛された日々
その最後の日に涙を流し、そしてまたスタートを切る。
そうして成長してきたんだよね。

ハセノボの未来は明るい。
そう信じて

(コレで移籍しませんでした~でも面白いけど、ま、それはないか)



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