スティーリー・ダンと私

こんばんは。ふろです。今年になってスティーリー・ダンのアルバム、Gauchoに収録予定だったトラックのテープが発見されるというニュースが入ってきていました。

スティーリー・ダン『Gaucho』収録予定だった幻の曲「The Second Arrangement」のテープを発見
http://amass.jp/138365/

ネット上ではThe Second Arrangementのデモ音源自体は何年も前から出回っていたのですが、初めて聴いたときから一発で気に入り、アルバムの何トラック目に入る予定だったのかなあと思っていた次第です。まさか2020年になって発見されるとは。今更って感じもありますが・・・

私がスティーリー・ダンを聴き始めたのは「キリンジは日本のスティーリー・ダンだ」という言説をどこかで見聞きしたからです。今思うとかなりいい加減というか、キリンジの当時のプロデューサー・冨田恵一氏がかなりのSD好きで知られており、音作りのあちこちにその影響が見て取れるというのが実際のところだったと認識しています。もちろんキリンジの堀込泰行氏、堀込高樹氏も当然そこらへんは理解してたと思います。Gaucho内だと「My Rival」の間奏は結構キリンジっぽいですが、部分的には似ていてもやっぱりバンドとしては全然別物ですね。

当時キリンジにアホほど心酔していた私は即座にSDのアルバムを全て購入(輸入盤なので安価だった)。片っ端から聴いてみたのですが、正直最初はあまりピンと来ず「なんか渋すぎるな・・・全然ポップじゃない・・・でもあのキリンジに影響を与えるくらいだから全部聴いてみよう」といった具合に、無理やり自分を納得させながら毎日のようにアルバムを聴いていました。なんて真っ直ぐな若者なんだ。

そこで、繰り返し聴いていても全然飽きないアルバムがあることに気づきました。かの有名な「Aja」の前にリリースされた「幻想の摩天楼」です。テクニカルすぎて何やってるかわからないベース、跳ねるギターソロ、スリリングなドラム。こんなかっこいいバンドだったんだ(スタジオワークをより洗練させるために、ミュージシャンをどんどん入れ替えさせていたというのは後に知ることとなります)。これ以降、ほかのアルバムを聴いたらなんかいい感じに聴こえてきたんですよね、なぜか。今思うとすごく都合のいい耳してるなという感じですが。

ドナルド・フェイゲンのソロも当然買いましたし、私にとってのSDはひとつの理想、完成形になってしまいました。全体的に歌詞がわかりにくいし聞き取りづらいんですが、よく聞くと社会のはみだし者、アウトサイダーがたくさん出てくるんですね。基本的に孤独な人間の曲が多くて、落ち着きます。バンドにおいて、ボーカルってそんな前に出なくてもいいのかーと思わせてくれたのも、SDのおかげですね。

そんなわけで、50年近く前のアルバムを未だに聴き続けているのでした。私の場合、あんまりうるさくない曲が聴きたいなーって時に聴いて、結局集中して聴いてしまうまでがパターンとなっています。こんなに長年聴いてるってことは好きなんだろうな。ウォルター・ベッカーも亡くなってしまいましたが、ずっと好きでいたいバンドのひとつです。

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