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飲みの誘いと関係性の話。

現在、あまり友人が居ない私だが、不定期に連絡を取り合う人は何人か居る。

その人たちとは、私が新卒の時に入社した会社で出会った。年齢も割と離れているが、上司・部下という間柄でもない。強いて言えば同僚というか、厳密には先輩・後輩の関係だろうか。

だが、彼らは、後輩の私に対して一切威張ったりすることなく、巷でよく聞くようなマウントかましてきたりとか、先輩風を吹かせてもこない。優しい人たちだ。

私がその会社を辞めてからも、不思議なタイミングというか何か思い立ったら、彼らから連絡が来て、それで仕事終わりに一緒に飲みに行くということを何度かしていた。ただ、特に休みの日にまで一緒に過ごすということはなく、あくまで仕事が終わってその夜に飲みの席をともにするくらいだ。

だから、友人とか仲良しだとかそういうのとは、ちょっと違う関係のような気がする。このパンデミックになってからそういう直接会う機会も無くなって、たまにメールでおじさん同士が近況報告の会話をするというような平和な繋がりになっていた。

それが先日、その人たちから「久しぶりに、7月に入ったらリアルで飲みませんか?」という飲みの誘いが来た。以前の私であれば「いいですね~」と言ってすぐさま快諾していただろう。

しかし今は、どうしようかと少し悩んでいる。

というのは、彼らの勤め先も、そして住んでいるのも都内。一方で、私は地方(埼玉)在住。そして、何より、私も一応都内の会社に勤めているものの、現在はフルリモートのため家で仕事をしており、全くと言っていいほど東京に行く機会も無い。

そのような状況で、わざわざ(と言ったら大変失礼だけれど)飲み会のためだけに、東京まで1時間以上かけて行く必要はあるのだろうか、と悩んでいるのだ。失礼な話は重々承知で、これは他の誰にも言うつもりもない、私の胸の内にだけ秘めた思いを形にして、このように記事にこっそり書いている。

もしこれが、プライベートでも仲の良い、よく一緒に遊ぶ友人同士の間柄だったらどうだろう。「ぜひぜひ!」と快諾しただろうか。しかしながら私の場合、それも若干怪しい。

現に先日、大学時代の友人で、昔は結構一緒によく遊ぶ仲であった友人が、都内で仕事があるからと言って、「夕飯でも食べないか」と連絡を私に寄越してくれたことがあった。しかし私はその時も、「ごめん、今はもう東京に行く機会無いんだよね。もし埼玉に来る機会があればまた誘って」と無下に断ってしまった。当時はパンデミックの感染状況も落ち着きつつあったし、最後に彼と会ってから5年以上は経過していたのにも関わらずだ。今に考えれば酷いことをしたと思う。申し訳ない。

一つ断っておくと、私は別にこの友人のことが嫌いというわけではない。大学時代は本当に良くつるんでいたし、今でも一緒に酒でも飲みたいなぁと思うことがよくあるくらい友好的に思っている。

親しい友人でさえそうなのに、ましてや、会社関係で繋がっている知人くらいの仲では、ちょっと、そのような誘いに乗るのも何だか気が引ける。

その理由は、私の恐ろしく打算的な考えで、やっぱり「家が遠い」その1点につきると思うのだ。以下に、なぜ消極的になっているのか少し掘り下げて記していく。


1.お金の問題

まず「家が遠い」ことは、すなわち「交通費がかかる」ということを意味する。

現在、私は上にも書いたように家で仕事をしている。そのため、仮に都内にあるオフィスに用事がある場合は、その都度交通費を支出して、経理部門に精算を依頼しなければならない。なぜなら、自宅から勤務先までの定期券はすでに解約済みだからだ。

そのため、今回のように都内で飲み会に行くという場合は、定期券も無いし、もちろん自腹で交通費を出す必要がある。完全にプライベートなので。その交通費も、現在私が住んでいる町から、東京都内の繁華街に行くとなると結構馬鹿にならない。

さらに「飲み会」というのは、それ自体でお金がかかる。「飲み会に行くので」とお願いして、家計から飲み代を出してもらう度胸は、ちょっと今の私には無い。そうなると、当然私のポケットマネーから出すしかないが、一般的には、料理とお酒だけで安いお店でも5千円くらいは余裕でかかるので、月2万円のお小遣いの私の懐事情的には、大ダメージは必至だ。

要するに、飲み会に出席するためには、飲み食いのお金はもちろんのこと、そこに至るまでの交通費(恐らく1時間以上かかる場所に行くことだろう)を支払う必要があるということなのだ。

2.時間の問題

そしてもう一つ、「家が遠い」というのは純粋に「酒宴の会場から離れている」ということを意味していて、それはつまり「飲んでから自宅に帰るまでに、それなりに時間がかかる」ということだ。

上でも少し触れたが、現在私は、埼玉県内の、割と長閑な場所に住んでいる関係で、最寄の駅から都内の繁華街に出るためには、少なく見積もっても1時間は要する。そして乗り換えやらを含めれば1時間を超え、場所によっては2時間程度はかかる可能性もある。

ところで、実は私は、飲みの場がそこまで嫌いではない(気を置けない人たちと飲む前提であれば)ので、そこそこお酒も飲む。そんなにガバガバ飲みはしないが、ほろ酔いで気分が良くなるくらいには飲む。そうすると、飲んで散会になって帰る、という段階に差し掛かった時、飲んだ余韻もあるし時間が経つにつれて若干の気持ち悪さも出てくるし、早く帰りたい気持ちになるのだ。

でも、帰る場所が物理的に結構離れているとなると、より苦痛な状態が長引いてくる。プレ二日酔い的な状態になりながら、1時間、もしかすると2時間も、電車に乗り続けたり、歩いていないといけないということになる。

また、それは個人のコンディションの問題に留まらない。

夜飲み歩くということは、その時間、家事とか子供の面倒見たりとかが、全て妻の負担になってしまう。そうするとどうしても、妻に対する申し訳無さがあるのだ。家が遠ければ遠いほど、帰ってくる時間が遅くなればなるほど、その負担は大きくなる。もしかしたら、私が躊躇している理由は、これが一番大きいかもしれない。妻は恐らく「行ってきていいよ」と優しく言ってくれるとは思うが、それでもやはり申し訳無さを感じざるを得ない。

昔飲み会で、恐妻家で有名だった先輩が「今日の飲み会に出席するために、奥さんに徳を積んできた(=家族サービスをしてきた)」という話を笑いながらしていたことがあったのだが、今となってはその気持ちが分かる。別に我が家は恐妻家ではないが、妻や子供に「何一人だけ飲み歩いてんだよ」と思われてやしないかと思うと、正直気が気でないのだ。

家族の時間も大事にしたい。飲みたい気持ちもあるが、それを犠牲にしてまで出かけていいものだろうか、という思いだ。


そういうわけで、以上のような理由から、現在「東京で飲もうよ」と誘われても、私はなんとなく弱腰になっているのだ。今流行り(もう流行ってない?)の「Zoom飲み」ならその両方を解決できそうだけれど、そもそもの今回の誘いが「リアルで」ということなので、それも難しいだろう。

「じゃあ断れよ」そういう声が聞こえてきそうだ。それも、ちょっとしにくい。というのは、高圧的だったり、嫌だなと思っている先輩からの誘いであれば、「無理なんで~」とはっきり言える(というか今までそういう態度を取ってきたゆえに、そういう人は私に誘ってこなくなった)のでいいのだが、上にも書いたが、彼らは「優しい人」「良い人」なのだ。だから、彼らと過ごす時間は割と心地良いし、できれば関係を断ちたくはないな、とも思っている。

本当に親しい友人であれば、経験上、誘いを断ってもいつかまたどちらからともなく、遊ぶ約束がフッと浮上してくる可能性は高い。思うに、どこかで縁は繋がったままの状態であるような気がするのだ(もちろん、人によってはそのまま疎遠になる場合もある)。

しかし、そこまで親しくない(ましてや今回のように仕事関係で繋がった)間柄の人であれば、一度断った時点で、その次に誘われる確率は恐ろしく低くなる。一度切れた縁は、恐らく再び繋がることは難しいのだ。「交友関係がここで切れるのは寂しい」そんな私のワガママで自己満足的な思いが見え隠れしている。

そういうわけで、現在、「行こうかな~、せっかく誘ってくれてるし、久々に話したいしな~」と「いや、でもな~、やっぱ遠いしお金も時間もかかるしな~」の狭間で振り子のように揺れている。そんな実に優柔不断な私。という話でした。

あっ、オチとか結論は無いです。単に、今こう思っているよ!という新鮮な情報だけでした。ただ、どのみち早く返事はしないと失礼だなぁ。誘っていただけているうちが華だしなぁ。でもなぁ。ということでもう少し考えて決めよう。後日談あればまた書きます。おしまい。

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