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死ぬかと思ったけどもしかしたら牛乳に救われたのかもという話。

安易に「死ぬ」とか書きたくはないんですけど、書いてしまいます。本当にそう思ったので・・。



先日、日課の朝風呂に入っていた時のこと。

身体も洗い終えて、その流れでいつも私は浴槽の掃除をします。バスマジックリンを浴槽に吹きかけて、しばらく放置した後にスポンジでゴシゴシして、「よし、これで綺麗になったかな」というところで、シャワーで洗い流します。

その時の私も、洗い場で椅子に座ったまま浴槽のフチに片方の手をかけて、もう片方の手でスポンジを持って、浴槽内をゴシゴシし始めます。

その時でした。


ツルッ





浴槽のフチにかけていた手が滑り、私は身体ごと浴槽内に転がり落ちました。そしてその際、


ゴンッ





と、浴槽の底面に頭部を強打しました。

厳密にはおデコの右辺り。思いっきり強く打ち付けてしまいました。同時に、本能的に受け身をとろうとしたのか、右腕も豪快に浴槽にぶつけてしまいました。

打った直後は「・・ってぇ。。」という声にならない声が出て、すぐに何が起きたのか理解ができませんでした。慌ててすぐに手で頭を触りました。よかった、どうやら血は出ていない。しかし、すぐに頭部の痛みが大きくなってくるのを感じました。

痛い。痛すぎる。

私は体勢を起こし直しましたが、痛くて動けなくなりました。浴室内でうずくまり、横たわりました。一人で何もできなかったので、力を振り絞って浴室のパネルにある「呼び出し」ボタンを押します。お姉さんの機械的な音声で「オフロデ、ヨンデイマス」みたいなのが、他の部屋に設置してある給湯パネルから聞こえてくるやつです。幸い、家族はすでに起床していたようで、お風呂場に妻が来てくれました。

「どうしたの?」
「頭打った。動けない。ごめん、とりあえずタオル頂戴」

当時、あまりの痛みにこれはもう救急車を呼んだ方が良いと私は思っていました。ですが、今にしてみれば本当にみっともないですが、丸裸の状態でしたので「こんな姿で救急車に乗せられたくない。せめてタオルで身体を拭いて下着くらいは身に着けたい」と、咄嗟に思ったのでした。こんなオッサンになっても外聞を気にするなんて、無様ですが仕方ありません。

痛みはどんどん増し、そして気持ち悪ささえ出てきました。やっとの思いでタオルで身体を拭き、下着を着ましたが、痛みは止まらず、手足が痺れてきます。

痺れ?いや、痺れとともに、どんどんと身体が強張ってくるのを感じました。

強張る。こわばる。自分では何も力を入れていないのに、右手が、左手が、グーッと強い力で握られていきます。身体の自由が利かない。恐怖を感じました。


「あっ、これは、死ぬ・・」




たとえは適切ではないかもしれないですが、私は、親父が死んだときのことを思い出しました。

親父は、私が大学生の時に病気で亡くなりました。最期を看取ったとき、心電図の波形がピーッと真っすぐになりました。何かのドラマで観たものと同じでした。

そして親父は、亡くなった瞬間、死後硬直を始めました。それまで彼の手足は恣意的に動いていたのに、その瞬間以降、何かに操られるように手や足がゆっくりと動き、ある一定の形に定まっていったのです。私はその時号泣していたものの、その瞬間を目の当たりにして恐怖を抱くとともに、どこか冷静に「これが『死』というものなのだな」と認識しました。

言わば、その時と似たような動きが、自分の中で起こっているのを感じました。手足が勝手に動く、力強く、握られていく。身体の自由が利かないのです。何かに操られるように自分の意に反して身体が動きます。まるで死後硬直を始めているかのように。

ですが、そのままの状態で十数分くらいじっとしていると、次第に手足の強張りはおさまっていきました。妻はその間、私の症状について調べてくれていたようで、どうやら「脳震盪」を起こしているのではないかとのことでした。

たしかにこれは、生命を守るために脳が本能的に反応しているような動きでした。本当に恐怖を感じました。

それから20~30分程度経ち、ようやく手足が自由に動かせるようになってきました。頭は相変わらず痛いままですが、救急車を呼ぶほどの状態ではなくなってきました。

実はこの日、ちょうどお休みをとる予定でした。

そのため、朝一番で脳神経外科を受診しました。問診をして、念のため頭部CTの検査を受けました。

結果、頭の骨も折れていないし、脳内にも出血は見られず、恐らく問題は無いだろうとのことでした。ただ、頭を打ってからあまり時間が経っていないために、検査では見つかりにくい出血が今後出てくるかもしれないため、3週間程度は様子を見るよう言われました。

そうして受診料を約5,000円を支払いました。

特に薬の処方もありません。問診と検査だけで約5,000円。いやあたしかにお医者さんも親身になって話を聞いてくれたし、処置というか診てくれたのも早急だったし、おかげで病院に行ってから一時間程度で診察まで終わったけれども。

うーん、それにしても5,000円。これを高いととるか安いととるか、正直私には、どちらにも受け取ることができました。しかし、仮に「何日か経ってから受診しよう」と思って放置したとして、その間に重大な症状が進行した可能性もあったかもしれません。

そう考えると、早くに検査して異常が無かったと確認することができたなら良かったのかもしれません。そう思うことにしました。

ちなみに、その日の夜は、よく分からない微熱が出ました。しかも関節がところどころ痛い。何なんこれ…。

熱が上がってきたとき、

「あっ、やっぱ死ぬんじゃね・・?」



と思いました。

しかし次の朝になったら熱はおさまっていました。何だろう。逆に治ってきてるのが怖いです。

おデコには、たんこぶが出来ていました。

よくマンガで見るようなプクッとしたやつです。「パパ、ボクシングで殴られたあとみたい」と家族が笑ってくれました。笑われるだけマシかもしれません。

ちなみに、今も腫れていてジンジン痛いですが、少し小さくなってきたように思います。これはもうしばらくすると、青アザになるような気がします。

とりあえず、生きている。それはたしかです。
良かった。



それにしても、年を追うごとにケガしやすくなっているような気がします。

多分ですが、運動する習慣が無いのと身体が硬くなっているのが原因なように思います。咄嗟の事態に身体がついていけてないんでしょうね。これは危ない。

幾ら毎日筋トレしていても、身体の使い方を自分でコントロール出来るようにしなければ、不測の事態に対応できないんでしょうね。気を付けないといけない。生きることに対して、より慎重になろうと思いました。

でも、骨に異常が無かったのは、なんとなくほぼ毎日牛乳を飲んでいて、カルシウムやたんぱく質をたっぷり摂取しているためなのかなと思ったりしました。

というのも、小学生の息子が、喉が渇いてもご飯時でも牛乳をガブガブ飲んでいるため、我が家は常に牛乳のストックがあるのです。私も、息子ほどではないにせよ、普段から割と多く牛乳は飲んでいました。そう考えると、もしかしたら牛乳に救われた生命だったりするのかな、なんて思いました。栄養素の因果関係とか分からないですけど。

ありがとう牛乳。


謎感謝。

とにかく、生きている。
良かったなと思いました。

とか言ってこれで実はこの時のケガが原因で、ある日ポックリ逝ったら残念だなぁ。

長生きしたいとは思っていないですけど、私の子供たちを見ることなく親父は旅立ったので、せめて、私はそれより長く生きてから死にたいと。そうだなぁ、せめて、子供達の孫を一目見てからかなぁ。割と本気で思います。そのためには毎日出来る限り悔いなく生きるしかないですね。おしまい。

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