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怒りではなく、

「ブレッドウィナー/生きのびるために(原題:The Breadwinner)」
Netflixで観ていました。

タリバンのニュースを知ったあとSNSで本作が話題になっていて、少し前に一度観てみました。最初のほうのとあるシーンに愕然としてしまって、観るのを止めてしまいました。本作を観るためには私なりに少し覚悟が必要、と感じたためです。

さて、再度観てみました。本当に「悪い人」は作中に存在せず、誰も彼もが加害者にもなり得るし、被害者にもなり得てしまうのだと感じました。

主人公パヴァーナや女性たちに対して居丈高な態度を取り続ける男性たち。そのような人たちは更に立場が上の人から同じように不条理なことを押し付けられ、がんじがらめにされていて、彼らも黙って付き従うしかないのです。

例えそれが自身の生命を脅かすような行為であっても黙って、従順に、ある意味押し付けられた境遇に対して拒否することなど許されず、小さくなって感情を押し殺すしか術がない、そんな描写が静かに差し込まれていて、

「あぁ、この男性も本当はそんな不条理が辛かったのか」

っと気づかせてくれるシーンがあり、とても悲しくなりました。

パヴァーナは普通の女の子なのですが家族が日々の生活に困窮していき、何とかしなければと、自身の髪を切って男装し、街へ買い出しに出たり、懸命に働いたり、だんだん成長して強くなっていく。もう普通の女の子なので、本当に生きていくのが大変だというのに、優しくて、一生懸命で、そんな姿に感動しました。

女性、というだけでこんなにも理不尽なことがまかり通ってしまう社会、っていったいなんなんだろう、とか、女性の尊厳を徹底的に痛めつける男性をみていて何の権利があるのか、と強い憤りを覚えました。

今、こうして私は日々、穏やかに過ごせていますが世の中には本当にこのような大変な世界を懸命に生きている人たちがいる。私には何も、どうすることも直ぐにはできないのですが、このようなことをまずは知る、学ぶ、そして小さな声でも自分の口から誰彼と気にすることなく発信できる機会がある。このことを幸せに思います。

途中辛くなるかと思いますが、大変なことばかりではなくて、とても「人間らしい」登場人物たちはちゃんといて、救われました。


とってもいい作品なので、多くの人の目に留まるといいなー。

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