見出し画像

名もなき生涯(2019)

テレンス・マリック監督の作品、わたしは本作が初めて観た作品でした。
事前情報として、

①マリック監督、何十年も行方不明だった。②マリック監督は商業ベースで作品を作らないひと(好き嫌いは別れる)。③とにかく自然光にこだわるひとで、映像が本当に美しい。

と、お聞きしていたので、ちょっと敷居が高いかなと内心びくびくしながら観てみました。


第二次世界大戦の時代、ナチスドイツに併呑されたオーストラリアにおいて、善ではない指導者に従うことを良しとせず、自身が感じた心の赴くままナチスドイツのために戦うことを拒否し、自身の信念を貫き通すために静かに戦う農夫とその夫を支える妻の物語です。

収容所に投獄されている夫フランツと、静かな農村で夫の帰りを待つ妻ファニがやり取りする手紙を軸に物語は進んでいきます。収容所で日々不条理な生活を強いられるフランツと、静かな山間で村人から理不尽な仕打ちを受けながらも慎ましく暮らすファニと三人の娘たちの姿を対照的に描いています。

圧倒的な力により服従させられ、その結果服従させられた自分自身が何ら罪のない人に対して不条理な、不幸な結果をもたらすこと。それを拒否した場合には自身の尊厳は踏みにじられ、命を失ってしまうことになる。そんな状況におかれた際、あなたはどうするの?と、大変重い問いを投げかけられているように感じました。

画像1


作品を観ていて感動したポイントがいくつもあり、何度も繰り返し観たい、大変味わい深い、心に残る作品でした。

歴史に残らないような行為が世の中の全を作っていく
名もなき生涯を送り今は訪れる人もいない墓にて眠る人々のお陰で物事がさほど悪くはならないのだ
ジョージ・エリオット

ジョージ・エリオット(女性だそうです)の言葉が深い…。

すばらしい作品を観る機会をいただけて本当に幸せ。ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?