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アメリカン・スナイパー(2014)

「レジェンド」の異名をとる米軍史上最強とうたわれた狙撃手クリス・カイル。「アメリカン・スナイパー」(原題: American Sniper)というタイトル。

映画の中のクリスはやさしい夫で、よき父親でとてもタイトルには似つかわしくない人でした。


アメリカ同時多発テロ事件から戦争が始まり、クリスは狙撃兵として戦場へ派遣されます。戦地では狙撃兵としての才能が開花、味方からはレジェンド、敵からはその恐るべき狙撃能力から懸賞金がかけられ、戦場では常に命を狙われることに。


数多くの敵を殺し、時には味方の命を守るために女子供でも射殺しなければなりません。

愛する家族とともに一緒に暮らしたい。しかし戦場で自分のことを信頼し、命を預ける仲間たちが待っている。守れなかった命、殺された味方の復讐など、複雑な思いを抱えながら苦悩しながらも、4度も戦地へ赴き、最後の派遣では命からがら戦場から帰ることができました。


過酷な戦場からようやく帰ってきて家族と過ごし、少しづつ平穏な人としての生活を営めるようになったところで、クリスは殺されてしまうのです。

クリント・イーストウッド監督の描いた狙撃手の物語。
クリスをかっこいい、同性が憧れる男の中の男といった描写は一切ありません。本当に普通のやさしい妻、子供を心から愛している優しいひとで、様々な苦しみに悶え、葛藤していました。

敵も妻がいて、子供がいて、日々の暮らしの描写があり、勧善懲悪の物語とはなっていません。戦場の記憶に苦しむ兵士の姿を克明に描き出していて、戦争っていったい何なんだろうと、だれも幸せにならないし、どちらも傷つきあうだけなのに、なんで命をかけてまで殺しあわなければならないのかと。観終わったあとも悶々としてくれる、そんな作品でした。




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