臍下丹田呼吸法:呼吸と姿勢と脳
臍下丹田呼吸法はただの呼吸法ではありません。神道、修験道、密教、気(チャクラ)、武芸、忍法と絡んで1300年間、日本の國體(こくたい)を支えて続けてきた竜骨(りゅうこつ)でもあります。
臍下丹田呼吸には静と動、2種類の呼吸法があります。心を鎮め、不安やストレスを解消し、安眠にも導く忍法の肝ともいえる静の呼吸法と胆力を鍛え、強い心と戦闘力を高める武道の肝ともいえる動の呼吸法です。
(1)呼吸とチャクラと「気」
臍下丹田のポジションはチャクラでいえば、最も大きな「気」を出せる「第二のチャクラ」です。すなわち、武道における「気合い」の発生源です。
しかも、ここは発想力、洞察力、直観力をつかさどる「原初の脳」ともいうべき「腸」のポジションでもあります。さらにいえば、「免疫力」に欠かすことのできない腸内フローラのポジションでもあり、さらさらにいえば、ここは「生殖器」のポジションです。
柳生新陰流兵法目録事・宝山寺所蔵。
柳生新陰流の奥義書になぜ、天狗が描かれていると思いますか。
月岡芳年描く、鞍馬山で大天狗から剣術の指南を受ける牛若丸。
剣術、忍術と天狗。
これらの共通項は「修験道と気と精力絶倫」です。
多くの人が誤解していることがあります。それは、天狗の鼻を顔のパーツである「鼻」と思っていることです。天狗の鼻は、いわゆるところの鼻ではなく、これは「そそり立つ男性器」を示しています。
天狗の赤い色は、快楽ホルモンであるドーパミンを前駆体(ぜんくたい)とする興奮のアドレナリンの「赤」を示しています。意味するところは、精力絶倫です。
神道の宗教は月の女神を崇める「生殖信仰」です。これは全世界共通の原始宗教です。世界の宗教は月信仰(生殖)で始まり、そのシンボルマークとして精力絶倫の「蛇の交尾」が採択された。
医療のシンボルマークであるアスクレピオスの杖。
神界に住まわれる八百万(やおろず)の神々を奉った出雲大社(いずもおおやしろ)のしめ縄。共に、「蛇の交尾の図」が用いられています。
(2)姿勢と骨と筋肉と指
姿勢の悪さがもたらす弊害は、「脳(扁桃体)に作用を及ぼす呼吸法」だけでは解決できません。姿勢が悪いと常に下を向いているため、脳内で負け犬意識が定着してネガティブになることが脳科学によって立証されています。
また、骨の変形による圧を受けた内臓から救済信号が脳に送り続けられて、結果的に脳も変調をきたして「鬱」などの情緒不安定を誘発させてしまいます。
骨格を変形させ、内臓を圧迫する大きな因子が、毎日、7~8時間もの時を費やす寝床です。
次の大きな因子は「歩き方」です。歩き方の不具合がもたらす「巻き爪」は知っている人が多いかもしれませんが、「浮き指」についてはあまり知られていないようです。
浮き指とは、5本の指と足の裏で大地を踏みしめて立てていない状態を指し、結果として、バランスが取れずに、身体が後ろに倒れてしまいがちになります。それを支えようとして、頭を前に出しすぎて猫背になり、結果として「ひざ痛・頭痛・肩こり・腰痛」を発症させてしまいます。
桜美林大学の阿久根英安昭特任教授が10万人の足を調べた結果分かったのが、足の指が浮いている「浮き指の人」の多さです。
浮き指の比率
男性が60%、女性が80%。
浮き指でない正常な人186人のデータ。
ひざ痛0%。
頭痛19・4%。
肩こり19・4%。
腰痛39・7%。
浮き指の人450人のデータ。
ひざ痛8%。
頭痛41・7%。
肩こり62・8%。
腰痛66・9%。
浮き指の怖さが一目瞭然です。
従って、浮き指を直すことなく、マッサージやシップ、温泉などの対処療法などの措置を施しても一時的な解決策にしかならないことがおわかりいただけるかと思います。
骨格を矯正するためには、「歩き方」の他に「骨の形成」と「骨を支える筋肉のつけ方」も同時に知っておく必要があります。
(3)気と原初の脳と腸内環境
臍下丹田呼吸法の「気(チャクラ)」と絡む部位が、最初に造られる「原初の脳」と呼ばれる「腸」です。この脳は後発で造られる「頭脳」と異なる脳です。
頭脳は、体内の各部位から送られてくる情報を収集し、整理し、分類するAIのようなハードメカにすぎず、それ自体には、発想力や創造力などの「新しいことを作り出す思考機能」は備えられていません。分かっていることしか分からないハードメカにすぎません。
原初の脳は、最初に造られ、最後まで生き残る、体内で最大の臓器であり、それはヒトの意識とは別に「独立した意識を持つ巨大臓器」です。
人の細胞の数はおよそ30兆個にすぎませんが、腸には一千種以上の細菌が百兆個から千兆個の数で生息しており、腸が別個の意識を持っていることはラットの研究を通して証明されています。
原初の脳は、データの記憶や分析はできませんが、「直観力」「閃き力」「洞察力」などの「物事の本質を見極める力」を有している、「進化」に不可欠な能力を秘めた重要な部位なのです。
そして、ここを活性化させるために必要な力が、臍下丹田呼吸法によって生み出される「気」であり、腸内環境を整える「食生活」であったりします。
(4)諸々の効用
ここでは具体的な効用をあげてゆきます。
(1)ストレス解消とストレス耐性がつく
1か月続ければ、ストレスの対応力がつき、不安症や心配性も和らぎ、結果として、免疫力がアップして肌艶も良くなるはずです。
但し、睡眠時間を削ってはいけません。
あの先天的マイペースで成功した西村ひろゆき氏も、「どのように忙しくても、眠たくなったら、絶対に寝る。そもそも、寝る時間を削らなければならないような仕事は引き受けないし、そのような生き方もしない」と断言しているように、寝ることは人生において、相当に重要なポイントを占めています。
(2)胆力がつく
動の呼吸法を覚えると、わずか1分30秒で「気合い」が入ります。隙間時間を活用して、何時でも何処でも1分30秒で気合いをチャージする。
これを1か月続ければ、自然と「強い心」が備わっていくはずです。後に記す、大股歩行とプランク、スロースクワットを併用すれば、心身共にビシバシモードに突入しても不思議ではありません。
(3)ひざ痛、頭痛、肩こり、腰痛が劇的に軽くなる
正しい歩き方をマスターするだけで、ひざ痛がほぼ解消、頭痛が半減、肩こりが7割軽くなり、腰痛も3割は軽減されます。
また、姿勢が良くなるだけでネガティブも消え、鬱症状も改善されます。姿勢が脳内を正常化させるからです。すなわち、「ネガティブや鬱は薬で治せるような病気ではない」ということです。
ちなみに、精神絡みの治癒の多くに麻薬が用いられています。
なので、服用時は興奮作用でスッキリしても、薬物が切れてくると元に戻ってしまいます。これが医療機関の儲けの方程式ですから、罠にハメられないように気をつけましょう。
(4)1か月でくびれができ、ぽっこりお腹が凹む
私の体験ですが、1か月で腰回りがマイナス7センチ、ベルトの穴二つは軽く絞れます。
ぽっこりお腹(内臓脂肪)の減少は本格的なトレーニングをしても6か月はかかるのですが、本書のイージートレーニングだけでも1か月マイナス8センチは可能です。
つまり、ぽっこりお腹が「そこそこ出ている程度」には改善できます。たった1ヶ月で。これにクランチとかの筋トレを加えると半年以内に見た目スッキリのお腹になることも可能かと思います。
これは、丹田呼吸法、大股歩行、スロースクワットによって内臓脂肪が減る以上に筋肉がついて、姿勢が良くなり、ぽっこりが目立たなくなるからです。もう一度言いますが、内臓脂肪は簡単に減りはしません。
(5)精力が絶倫になる
これも丹田呼吸法とチャクラによる相乗効果です。天狗の鼻になる。実際、丹田(第二のチャクラ)を鍛えて、呼吸法をマスターすると、7時間程度の持続力は充分可能になります。
気もチャクラも見えないし、感じにくいものですが、相当なエネルギーを持つリアルエナジーであることは事実です。
(6)脳が良くなる
丹田呼吸法と腸内環境の改善によって原初の脳が活性化され、本質を見抜く力や直観力が磨かれることは事実ですが、同時に、心身が鍛えられた結果、集中の持続力が高まって頭脳の効率も良くなります。二つの脳の同時活性化という最強バージョンが得られることは、体験上、確かかと思います。
呼吸と姿勢と原初の脳(腸内環境)
この3つが備われば、精神と肉体が活性化され、病も患うことなく、老化にも対処できて、エネルギッシュな人生を送ることが可能になります。
風邪もひかず、毛髪や肌も衰えず、肩こりや腰痛、冷え性ともさようならできて、思う存分自由に生きることが可能になります。
心技体。メンタル、テクニカル、フィジカル。人生を豊かに渡り歩くために欠かせない三大ポイントを知り、かつ、使いこなすことだけが人生のテーマになります。
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