漫才「薬」

A「実は俺、最近自分で薬を作ってて」

B「それ人前で言って大丈夫?そういうクスリの話?」

A「そういうクスリの話ではない」

B「ああそう、よかった」

A「でも、いくら作り直しても副作用が出ちゃって使えないんだよね」

B「へぇー、ちなみに何の薬を作ったのよ?」

A「プリクラ撮りたいのに頭が痛くて撮りに行けない、ってことよくあるでしょ?」

B「えーっと、無いね」

A「これはそういう時に飲む薬なんだけど」

B「要するに頭痛薬ね」

A「ただ、やっぱりどうしても副作用が出ちゃって」

B「ほう、どんな副作用?」

A「肌に異常が…」

B「ああ、荒れちゃうとかそういうこと?」

A「いや、そういうことじゃなくて」

B「じゃあ何?」

A「どうしても透明になっちゃうんだよね」

B「え?」

A「頭痛は収まるんだけど、副作用で全身が透明になっちゃうんだよね」

B「いや、夢の薬できてない?」

A「ん?」

B「たぶんお前、とんでもない薬発明してるぞ」

A「いやいや、俺の話聞いてた?副作用があるからこの薬は使えないんだって」

B「いや副作用の方に用があるのよ、シンプル頭痛薬なら市販のやつ買うし」

A「どういうこと?」

B「だから、それって要は透明人間になれる薬でしょ?大発明じゃん」

A「でもこれじゃプリクラ撮っても体が写らないよ?」

B「どうでもいいわそんなこと、そもそも薬飲んでまでプリクラ撮りに行くな」

A「顔の下に『服用中』って文字入れたいじゃん」

B「そんなプリクラ見たことないわ」

A「とにかくこれは失敗作なんだよ、副作用があるから」

B「どう考えても透明になるのが主な作用だと思うけどな」

A「まあそれで俺は、この失敗を踏まえて2つ目の薬を作ったのよ」

B「ほう、まだあるのね」

A「これはプリクラ撮りに行きたいのに胃が痛む時用の薬で」

B「胃薬ね」

A「これもちゃんと効きはするんだけど、やっぱりまた副作用が…」

B「今度は何?」

A「これを飲むと体が宙に浮いちゃうんだよね」

B「お前天才じゃねえか」

A「残念だけどまた失敗だよ」

B「2個目の大発明だから」

A「だって浮いてる状態じゃプリクラの筐体に入れないだろ?」

B「もうプリクラ忘れろよ、お前は科学に生きろ」

A「いやいや、プリクラだけは譲れないよ」

B「何の情熱なんだ」

A「まあとにかく、今はこの失敗作の処分に困ってる状況なんだよね」

B「それなら俺にちょうだいよ、空も飛びたいし透明人間にもなってみたいからさ」

A「あー、それは無理」

B「なんで?」

A「この薬、単体では何も起こらないから」

B「え?どういうこと?」

A「なんか、この前クラブで謎のメキシコ人に貰った錠剤と併用しないと、何の効果も出ないんだよね」

B「いや結局そういうクスリの話じゃねえか、もういいよ」



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