漫才「実家」

A「この前裁判が早く終わったから久しぶりに実家帰ったんだけど」

B「当たり前みたいに裁判の話するな」

A「大丈夫、超スピード敗訴だったから」

B「全然大丈夫じゃないだろ」

A「親父と酒飲んだりして楽しく過ごしたよ」

B「切り替え早いな」

A「お前は最近実家とか帰ってる？」

B「もう何年も帰ってないね」

A「まあ道中にクリボーとかパックンフラワーとか居て危ないもんな」

B「いや俺の実家クッパ城じゃないから」

A「連絡は取ってるの？」

B「全然取ってないね」

A「やっぱり音楽性の違いとか？」

B「いやバンドじゃないし解散もしてないけど」

A「お前がPerfumeで父親が竹原ピストルか」

B「そこまで違ったら揉めないだろ」

A「でもたまには帰った方が良いぞ」

B「間が空きすぎると逆に照れくさいんだよね」

A「じゃあここで練習してみよう、とりあえず俺が3番目の父親をやるから」

B「勝手に複雑にするなよ」

A「お前はまず弁護士に連絡して」

B「裁判は再現しなくていいから」

A「（ガチャ）おおタカシ、久しぶりだな」

B「久しぶり、なかなか帰れなくてごめんね」

A「いいんだよ、いつもお前が帰れない理由で大喜利してるから」

B「えげつない趣味ができてる」

A「まあとにかく上がれよ、フリップもたくさんあるし」

B「いや参加するつもりはないんだけど」

A「仕事のほうはどうだ？」

B「ぼちぼちだよ」

A「父さんは経費でキャンピングカー買おうとしてクビになったぞ」

B「何してるんだよ」

A「今は速読術の本をゆっくり読んで過ごしてる」

B「活かそうとしろよ」

A「しかし今日はどうした？急に来たから秋かと思ったぞ」

B「息子と季節を間違えるな」

A「もしかしてカーテン買い替えるのか？」

B「いやカーテン買い替えるとき親に挨拶する文化無いだろ、普通に顔出しに来ただけだよ」

A「そうか」

B「あとこれお土産、一緒に飲もうと思って持ってきた（渡す）」

A「おお、パブロンか」

B「違うわ、誰が薬局で土産買うんだよ」

A「急いで水を用意しよう」

B「あれ飲み交わすもんじゃないから。お酒持ってきたんだよ」

A「酒か、ありがとう」

B「ところで母さんはどうしてるの？」

A「今ちょっと友達と海外旅行に行っててな」

B「そうなんだ」

A「ルナゴンタッペで芋掘りを体験してるらしい」

B「知らない国でめちゃくちゃ地味なことしてる」

A「昼は極寒で夜は暑いそうだ」

B「聞いたことない過酷な環境」

A「蜂がでかくて猫が小さいらしい」

B「なんか怖いな」

A「まあ四国の人のあくびが長いのと一緒だろ」

B「まずそれが初耳だけど」

A「あっ、話をしてたらちょうど母さんから電話がかかってきたぞ」

B「おお、久しぶりに喋りたいな」

A「（出る）もしもし、実は今タカシが来てて……え？！」

B「どうしたの？」

A「それは大変だ、すぐに俺もそっちへ向かう（切る）」

B「大丈夫？」

A「（走って離れる）」

B「おいどこ行くんだよ！何があったんだ？」

A「ちょっと待ってろ、今フリップ持ってくるわ」

B「いやこんな時に大喜利で答えようとするな、いい加減にしろ」