漫才「金縛り」

A「俺この前初めて金縛りになってさ」

B「マジで?」

A「もう朝起きた瞬間から違和感があって」

B「そういうものなんだ」

A「物凄い寒気がするのよ」

B「うわ怖いね」

A「それで怖いな~と思いながら顔洗って」

B「え?」

A「怖いな~って歯磨いて」

B「動けてない?」

A「怖いな~って思いながら飯食ってバイト行ってさ」

B「ああこれ完全に動けてるね」

A「早めに着いて」

B「早めに着いちゃってるね」

A「その日は作業もすぐに終わって」

B「効率よく働けてるね」

A「昼過ぎに帰れたから久しぶりにフットサルしに行ってさ」

B「スポーツしようとしてるじゃん」

A「でも終盤とかもう全然動けないのよ」

B「いや体力の話はどうでもいいから」

A「年って怖いな~って思って」

B「知らねえよ」

A「そこで知り合った奴と飲みに行ってさ」

B「充実してるな」

A「すごい仲良くなっちゃって気が付いたら深夜よ」

B「金縛り中に友情生まれないから」

A「それでやっと帰宅して、朝まで寝れば治ると思ったんだけど」

B「もう治るとかじゃないだろ」

A「次の日起きたら全身バッキバキよ」

B「ただの筋肉痛じゃねえか」

A「金縛りって怖いよね~」

B「いやなってないから、朝が冷えただけの楽しい一日だから」

A「お前はなったことないの?」

B「俺は金縛りとかそういうのは無いね」

A「そうなんだ」

B「昨日も普通に目が覚めて」

A「うん」

B「アラームを止めようとしたけど動けなくて」

A「ん?」

B「バイトが始まる時間なのに動けなくて」

A「もう動けないって言ってるよね?」

B「せめて連絡はしなきゃと思ったんだけどスマホに手が伸びなくて」

A「手も動いてないもんね」

B「そこからしばらくは天井見ながらじっとしてたわ」

A「完全に金縛りだろそれ」

B「いやそういうのじゃないから、なぜか体が動かないだけ」

A「そういうもんなんだよ」

B「夜になっても動けなくて」

A「重症だよもう」

B「電話が鳴っても動けなくて」

A「怖くなってきたわ」

B「それでお前と約束してたネタ合わせにも行けなくて」

A「確かに来なかったな」

B「だから昨日は一日中布団の中でモンハンやってたわ」

A「いやめちゃくちゃ怠惰なだけじゃねえか!金縛りでもなんでもないわ」

B「だから違うって言ったじゃん、バイトがだるかったんだよ」

A「あの天井を見てた時間は何なんだ」

B「現実逃避だね」

A「堂々と言うな」

B「まあネタ合わせの件は悪いと思ってるよ」

A「じゃあ昨日できなかった分この後やろうか」

B「それはちょっと無理」

A「どうして?」

B「なぜか体が動かないわ」

A「いや引き続きサボろうとするな、いい加減にしろ」




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