漫才「ファミレス」
A「実は俺、1度もファミレスに行ったことなくてさ」
B「マジで?」
A「うん、だからどういうシステムなのか全然知らなくて」
B「別に他の飲食店と同じだと思うけど」
A「この状態で行くの怖いから、ちょっと練習させてくれない?」
B「ああいいよ」
A「じゃあ俺が客やるから、店員お願いね」
B「はいはい」
A「ここがファミレスかー、早速入ってみよう」
B「……」
A「(しゃがんで手元をいじる)」
B「…ん?」
A「(ガチャ)よし、やっと入れた」
B「いやファミレスの入り口でピッキングするなよ!おかしいだろ!」
A「いや知らないから」
B「え?」
A「ファミレスの入り口でピッキングするのがおかしいことだって、俺知らないから」
B「いやそれくらい分かるだろ」
A「そもそも知らないから練習してるんだぞ?」
B「あまりにも初歩的なことすぎるでしょ」
A「俺まだゼロ歩だから。入ったことないってことはまだゼロ歩だから」
B「分かったようるせえな」
A「じゃあ続き教えて」
B「はいはい」
A「(ドアを開ける)」
B「いらっしゃいませ(お辞儀)」
A「あっ、どうも」
B「何名様でお越しですか?」
A「1人と1頭です」
B「はい?」
A「自分ゾウガメ連れて来てるんですけど、ゾウガメ用のイスとかってあります?」
B「あるわけないだろ!」
A「いや知らないから」
B「またかよ」
A「ファミレスにゾウガメ用のイスがないことなんて、俺には知り得ないから」
B「だからそれくらい分かれって」
A「アルダブラゾウガメのアドワイチャは250年以上生きたと言われてるんだけど、お前知ってた?」
B「いや知らなかったけど」
A「それと同じで俺はファミレスにゾウガメ用のイスが無い事を知らなかったんだよ」
B「知識偏りすぎだろ」
A「それはもう人それぞれだから」
B「そもそもファミレスにゾウガメを連れて来てるのがおかしいでしょ」
A「それも知らないから、教えてくれなきゃ連れて行っちゃうから」
B「ゾウガメはどこにも連れて行くな」
A「はいはい、これもう水掛け論になっちゃうわ、早く続き教えて」
B「何なんだよもう…」
A「1人です」
B「…1名様で。それではお席の方へご案内いたします」
A「あのー、奥の方の席にしてもらえますか?」
B「今ちょうど空いてるので大丈夫ですよ」
A「ありがとうございます、自分食事の時間はいつも壁と会話してるので」
B「いやファミレスの壁とトークしようとするな!」
A「いや知らないから!」
B「うるせえな!」
A「早速注文していいですか?」
B「…はい」
A「(ボタンを押す)(ボタンを押す)(ボタンを押す)」
B「いや店員と目合わせながら店員呼ぶボタン連打するな!」
A「知らないから!」
B「もうこいつ無敵じゃねえか!」
A「じゃあトトロ4枚で」
B「いや映画のチケット取り扱ってないから!」
A「知らない知らない!じゃあレタスとキャベツを5キロずつ持ち帰りで」
B「ゾウガメ用のテイクアウトやってないわ!」
A「知らん知らん!じゃあ…」
B「いやいい加減にしろよ!」
A「どうした?」
B「無知を盾に無茶苦茶しやがって!もうお前は一生ファミレス行くな!」
A「ああ大丈夫、こっちもそのつもりだから」
B「どういうことだよ?」
A「こんなに店員がキレてくる店、怖くて入れないわ」
B「いやお前がキレさせてるんだろ、いい加減にしろ」
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